ウクライナ危機で考える「日本も長期的な難民受け入れ政策を」
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:アメリカでグリーンカード(永住権)を取る方法。アメリカの移民受け入れ原則の立派さ。移民(難民)受け入れ政策いかんで日本が発展するかもしれないという仮説。
アメリカの移民政策を改革せよ
BusinessWeek2022年2月21号の社説は、胸がすくほど切れの良い主張を展開しています。Biden's Immigration policy needs urgent fixes(バイデンの移民政策は今すぐ改革せよ)です。
ざっくりいうと
今回日本政府は、ウクライナからの移民を受け入れる決定をしました。
人道上の配慮として、西側諸国の応分の負担として当然でしょう。
しかし、この際、長期的、戦略的な移民対策を考えたらどうでしょう。
その意味で、このBusinessWeekの社説はシンクロニシティというか、タイムリーと言うか、ヒントに溢れているので、ちょっと皆様と共有します。
アメリカの移民政策、2つの原則
まず、BusinessWeekは移民政策改革を唱えていますが、アメリカは移民受け入れの根本的な哲学を持っていることをほめています。
僕もここは大事な部分と思い、紹介しますね。アメリカは移民受け入れにあたって2つの原理原則を持っているというのです。
2に関しては、不法移民を入れてはならない、ということです。
記事はこの2つの原則のおかげで、アメリカの経済のダイナミズム、税収の拡大、人口減防止が実現し、国の安全保障につながっていることを評価しています。
僕らはトランプ政権下で、アメリカが不当に移民を排除しているようなイメージを持ったかもしれませんが、もともとアメリカは移民を積極的に自国の経済と社会の礎として位置づけてきたことを忘れてはなりません。
移民に頼るしかない日本の構造的な問題
コロナで、日本は30年間賃上げがないことが明らかになりました。失われた10年という言葉が、知らぬ間に30年になっていたのです。
色んな理由がありますが、そろそろアメリカの移民原則に思いをいたす時期じゃないでしょうか。
「イノベーションと長期的な経済成長を達成しつつ、国境は法的にガッチリ守る」ということです。
アメリカ移民政策の決定的な不備
しかし、今回BusinessWeekが米政府に噛み付いたのは、移民政策がアバウトなことが理由です。
それは、移民の家族が優遇されすぎていることです。
すでに永住権を取得しているものと家族的なつながりがある70%が、移民として認められている現実があります。
あとの4%はいわゆる”多様性くじびきdiversity lottery"というシステムで、認められています。
これまで移民としてあまり認められてこなかった国の出身者を優先して、移民認定とするやりかたです。
BusinessWeekはこう主張します。
正論というべきですね。
グリーンカードはくじ引きだった
僕も米留学中、グリーンカードの申請をしたことがありましたが、まったくのlottery(くじびき)なんですよ。
当時MBAは取得していたんですが、どこかに就職して、そこで有為な人材として認められて、会社から申請しないとなかなかとれないと聞いたことがあります。
アメリカのビザ認定が、必ずしも大学院の学位を持っている外国人に与えられない理由は、ひょっとして中国人の問題があるのでは、と僕は見ています。
アメリカに来ている中国人留学生は、おおむねすごく優秀なんですよ。
日本人がアメリカやカナダの一流大学に近年入るのが非常に難しい理由の一つは、間違いなく中国人学生がすぐれているからです。
外国人枠があり、優秀な中国人がみんな占めてしまい、日本人がはじき出される。
これは僕の知り合いの海外在住の日本人が、口を揃えますね。
中国人留学生は、中国政府や中国企業から派遣されたエリートも多く、容易にビザを認めると、アメリカ人の労働市場を奪ったり、中国に国家機密やそれに類する技術を持って行かれる、それを恐れているのではないか。
日本は世界に尊敬される国になる必要がある
脱線しましたが、僕もBusinessWeekの主張に乗っかって、難民受け入れを積極的に、戦略的にやれと言いたいのです。
その一番の理由は、西側先進国として、これから色んな理由で増えると思われる難民に対し、人道的な配慮をすべきだということです。
もう一つの理由は、冒頭に述べたイノベーションと、長期的な経済成長を目指すために、必要だから、ということです。
その理由はここでくどくど言うと、きりがないので、やめますけど。
最後に、もうひとつあります。それは、
世界における日本の価値を高めること
です。
ウクライナ危機で考えるのは、移民のこともそうですが、僕らは地球人としてあらゆる危機をこれからは共有しなくてはならない、いや否応なしにそうなりつつあるということです。
そして、日本人ならではの視点と問題解決能力をもって、世界に貢献しなくてはならないということです。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
じゃあ、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー