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「悪の論理」にやられた?ロシア丸亀製麺の”やっぱり”。

 この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:政治的リスクとはなにか。ロシア丸亀製麺で明らかになった政治的リスク評価の重要性。地政学こそ、海外ビジネスの必須項目(じゃないか)。

丸亀製麺の悲劇

少し前に、カントリーリスクについて書きました。

バドワイザーを擁するビール大手のロシア離脱の遅れを論じたものでしたが、そもそもロシアに進出した意思決定そのものが、間違っていたんではないでしょうか。

それは我が国のロシア進出企業が、いみじくも証明しています。

あのさぬきうどんチェーンの王者、丸亀製麺です。

ロシアを離脱したはいいが、勝手にブランド名を「まる」に変えられ、機材を全部勝手に使われたあげく、お店はそのまま営業継続中です。

丸亀製麺の日本本社がそれを、「認めていない」のは、もちろんのことです。

政治リスク判断の重要性

前回はカントリーリスクということで包括的に論じましたが、
経営学では、もう少し厳密な”政治的リスク”という概念を唱えています。

僕の使っている国際経営のInternational Businessというタイトルの教科書は、政治的リスクの典型例を7つあげています。

7つの典型的な政治的リスク

1.見返りとしての報酬は迅速に支払わず、適切な対価も払わず、外国企業の資産を没収する

2.進出先の国営企業に、外国企業の株を帳簿価格よりもはるかに下回る価格で強制的に売り払う

3.規制や法律の適用に関して、外国企業に差別的な扱いを行う

4.外国企業が自社株や自国通貨を本国送還する際に、理不尽な障壁をもうける

5.テクノロジーもしくはその他の知的財産の剥奪。たとえば特許や 商標
 
6.経営意思決定への介入

7.進出国の政府高官が、勝手に契約の合意を変えたりキャンセルする

前掲書

今回の丸亀製麺のケースは、3と5と7が該当すると考えていいでしょう。

政治的リスクをどう乗り越えるか


さて、この7つの政治リスクを最ももっている国はどこでしょう。

そうです。ロシアです、そして中国です。

しかし「そんなの百も承知、リスクを取るのが経営だ」という反論もありましょう。

しかし、リスクを取るならば、計算したリスクを取ることです。

最悪のシナリオを描いて、それでもメリットがあるのかどうかを見極めないとなりません。

その際に考えるべきことは、まさに国と国との交渉と同じ心得が求められるでしょう。

それはその国の地政学的要件、国民性、歴史、リーダーシップの本質と変遷を精査することです。

中でも、ビジネスリーダーが勉強すべきは、地政学、です。

今こそ地政学を勉強すべきだ

80年代にベストセラーになった、「悪の論理」という本がありました。

今で言う地政学の本で、当時は地政学が知られておらず、「悪の論理」というセンセーショナルなネーミングで、地政学を日本に知らしめた一冊でした。

この本にこんな一節があったのを覚えています。

「日本は他国からの侵略がなく、植民地になってないのは、島国という地形が大きい。しかし、ロシアのような広大な平地がどこまでも続き、他国との国境が地続きである地域は、常に領土を巡って侵攻されないか、人々は気が気でないのだ。戦争の歴史がそれを物語っている」。

うろ覚えです

今回のロシアによるウクライナ侵攻は、NATOが東方への軍事拡大を進め、アメリカがそれを支援していた現実に、ロシアが過敏に反応したせいだという説があります。

地政学的にうなずける話です。

外国進出企業に対しての先の7つの警告は、すべて地政学がなせるワザ、僕はそうとらえるのです。

それはあくまで想像でしかありません、つまり、地形というものが人間のすべてを絶対的に支配するのではないかという、直感です。

特にそれはスロベニアに行った時、イタリアがまさに地続きであったことに驚いたことで、確信になりました。

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さて、皆さんはこれからどの国でビジネスを、投資をやりますか?

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
 
                            野呂 一郎
              清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー





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