![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/116111106/rectangle_large_type_2_9ce3a6ff9644d691c8874f3974fbccf7.jpeg?width=1200)
「もし、ニクソンがトランプだったらウォータゲートはなかった説」を検証する。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:なぜ4度も起訴されているトランプが強いのか。アメリカの政治を変えたものとは何か。ニクソンとトランプの違いとは何か。トップ画はhttps://qr1.jp/qjlp7d
ニクソンがトランプだったら?
4度の起訴、罪状は91件。不倫の口止め料を虚偽記載、国防に関する機密書類の持ち帰り、大統領選の結果をひっくり返そうと国家を欺こうとした男、ドナルド・トランプです。
なぜ、こんな男が共和党の次期大統領候補に、ダントツの強さをみせているんでしょうか。
それはトランプがインターネットとSNSが産んだ、モンスターだからです。
アメリカ大統領で、悪人といえば、ウォータゲート事件で失脚したリチャード・ニクソンをおいていません。
![](https://assets.st-note.com/img/1694613570176-q9N9m26Q8R.png)
ウォータゲート事件は、ニクソン政権が敵対する民主党本部に盗聴を仕掛けた件で、ニクソンが大統領弾劾を恐れて、事前に辞職をしたという事件でした。
共和党はそんなことをしなくても、大統領選に勝てたのに、なぜこの事件が起こったかはまだミステリーですが、この事件が、仮にトランプが主役だったらどうなったでしょうか。
トランプは知らぬ存ぜぬどころが、逆ギレして「陰謀だ、ディープステートの仕業だ!」などとわめき、ネット民はそれをはやしたて、喝采を送ったのではないでしょうか。
パワーは政党から政治家個人へ
ウォータゲート事件の背景には、共和党vs民主党という背景がありました。党の影響力が全面にでており、政治=政党だったのです。
しかし、今はどうでしょう。さっき軽くトランプをその次代にワープさせて軽く検証を試みたわけですが、やっぱりトランプは開き直っておしまい、ですよね。
インターネットとSNSが政治を変えたのです。
昔はパワーは政党にありました。しかし、今のトランプを見てごらんなさい。
悪いことをたくさんして起訴されたって、平気で支持率も落ちません。
それはインターネットで、ソーシャルメディアで、大衆に発信し、訴えることができるからです。
嘘でも何でも言って自分を信じ込ませ、あまつさえ、カネまでもらう、これがトランプの手法です。
政治家にタブーはなくなった
ロジックやリクツや証拠などはいりません。
必要なのは「俺はやってない」「悪いのは奴らだ」「陰謀だ」のような感情的な短い言葉と厚かましさです。
ニクソンがあの時、トランプの100万分の1でも、図々しく開き直ることができたら・・ウォータゲート事件なんておきなかったのに。
いやいや、歴史は遡れないし、トランプにしたってデジタル時代の申し子だからこそ、平気で嘘をつけるし、開き直れるわけで、トランプはSNSが生んだモンスターなのです。
ハーバード大学の政治学者で、近著「How democracies die」を著したスティーブ・レビスキー教授(Steve Levitsky)はこのあたりをこう説明します。
![](https://assets.st-note.com/img/1694613807802-lj5UmL00ct.png)
「政治家が有権者と自由にコミュニケーション出来るようになったことで、政党が政治家個人の行動をコントロールすることが、どんどんできにくくなっている。」
レビスキー先生はこう続けます。(一部加筆訂正)
「政治家はもはや平気でタブーをおかす。昔なら所属する政党をこき下ろしたり、スキャンダル一発で政治生命は終わりだったが、今やそれが勇気だったり、群れたがらない独立心ともてはやされる。
もはや、口汚く身内であってもエスタブリッシュメント(指導層)を罵ったり、対立姿勢を明らかにすることはタブーでもないし、命取りでもない。むしろ新しい政治家の出世につながる態度なのである。スキャンダルも、そうだ。」
トランプが大統領に返り咲くシナリオは、もはや現実味を帯びてきました。
野呂 一郎
清和大学教授