プロレス新連載②岸田政権、究極の一手としてのプロレス立国第2回Uインターの教訓
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:日本は、日本企業は、日本のプロレス団体は”日本文化”を核とした経済戦略が皆無であり、そのことの嘆きともったいなさの理解。Uインター幻のグローバル戦略。武士道とプロレスの関係。
「プロレス立国」三本の理論的支柱
昨日は、WWEの最新ビジネスの動き、新日本プロレスのグローバル化の現状、そして鈴木秀樹選手(コーチ)WWE解雇の3つのトピックを紹介しました。
そしてナゾ掛けのように、プロレス立国で日本経済立て直しなどと、アドバルーンをぶちかましたわけです。
この3つがどうつながっているかというと、日本のプロレスはアメリカのそれと違うということを認識し、そこにビジネスチャンスを見い出すことが第一。
第二にその違いは文化の違いであり、言い方を変えればプロレスは日本文化であり、それは武士道につながる大変価値が高いものだという認識です。
第三に、プロレスというアメリカ発祥の文化価値+日本文化としてのプロレスという2つの価値を併せ持った日本のプロレスを、WWEを少し見習ってグローバル戦略にし、これを従来のクールジャパン戦略の再構築の核としてことを起こせば日本の復活は実現する、つまり、プロレス立国になる、といういう目論見です。
ヒントはUインター
まだ読者の皆さんはピンときてないかもしれない。
例をあげましょう。
90年代前半のUインターです。
正式名称はUWFインターナショナル。いわゆる元祖UWFからスピンオフした、あの高田延彦をエースにかついだプロモーションで、プロレスの伝統と格闘プロレスUWFという先進性を売りにした団体でした。
ルー・テーズやダニー・ホッジ、ビル・ロビンソンといった正統派のビッグネームをタイトルマッチ立会人に起用し、興行面では、アントニオ猪木の異種格闘技路線を一部踏襲しました。
そのUインターは、その名の通りグローバルも見据えていました。
それが不定期にイスラエルで開催された海外興業で、その名もBUSHIDO(武士道)。これはイスラエルでこのイベントを中継したテレビ局の命名でした。
これが大人気を博すのです。
この人気爆発は、日本のプロレスがWWEとは違うことをはからずも世界に示したのです。
UWFインターは日本の武士道として、認識されたのです。
もちろん、従来のプロレスと違う、いわゆる”格闘ルール”だったので、純粋なプロレスではなかったじゃないか、といえなくもありませんが、プロレスに新も旧もなく、そこに根付く武士道的文化、価値観は同じであり、イスラエルの人々はそれに反応したのです。
Bushidoプロレスで世界布武せよ
やっぱり違うんですよ。WWEと新日本は。
昨日僕は、日米のプロレス文化の違いを「阿吽の呼吸のプロレス」vs「契約のプロレス」と言いましたが、まず、根底に流れる思想みたいなものが違うんだと思うんです。
それはまさに、Bushidoではないでしょうか。
きのう、世界を、世界のプロレスを二極化しろ、と言いました。
WWEと新日本プロレスに。
いい意味でのパフォーマンス・プロレスと精神的価値を重視するプロレス。
プロレスの可能性は両方あり、しかし、後者はまだ顧みられていません。
でも、グローバルな潜在ニーズは、ものすごいものがあるのです。
BUSHIDOに憧れる世界の人々がどれくらいいるか、数億じゃきかないでしょう。
どこがやってくれるか。
新日本プロレスじゃなくてもいい。
Bushidoを基底概念に日本のプロレスでグローバル化をになってくれる所があれば。
プロレスファンの読者の皆さんは気づいたと思うけれど、僕もGLEATはありじゃないかと思うんですね。
まさにUWFの後継団体ですから。
Gleatを率いる鈴木裕之氏(リデットエンターテインメント株式会社社長)はそのくらい考えていらっしゃるかも、です。
なにも日本文化とプロレスを無理やり結びつけて、クールジャパンとかにぶち込まなくても、プロレスビジネスは大きくなります。
次回はそのへんのことをお話しましょう。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー