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「スポーツより東大」が日本を三流国にする。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:なぜ、武道は世界に広がっているのに、そこに日本のイニシアチブ(リーダーシップ)がないのか。それは武道への偏見が日本人の側にあるからだ。いや武道だけじゃない、他のスポーツもそうだ。結局身体を使う芸術は東大に劣るという抜き差しがたい意識が、日本の国際化を防げている、という暴論。トップ画はhttps://x.gd/xm7ow

ある空手師範の述懐

昨日の記事で、「日本が広まらないのは、我々が日本の良さを理解してないから」などとお話しました。

こんな話があるんですよ。

もう20年くらい前の話なんですが、空手界では誰も知らない者はいないと言われる、何度も世界王者になった、有名な先生がこんなことを言っていたんですよ。

「海外では空手師範というと、誰もが尊敬し、仰ぎみてくれそれなりの対応をしてくれる。でも、日本に帰ってくると、しばしば逆の事が起こるんだ。なぜ、日本では我々は下に見られるのだろう。」

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これは当時、その師範が所属していた空手団体の会報にも出ていた話で、掛け値なしの実話です。

僕はやけにその話が生々しく聞こえ、いまでもはっきり覚えているんです。

空手が日本で広く知られるきっかけになった映画「姿三四郎」で、ヒーローの柔道家の敵役になったのが空手だから、そのイメージを引きずっているんだ、だとか、粗暴なイメージが一部であるから、などという人もいますが、そうではないと思います。

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空手だけでなく、武道そのものがどこか冷ややかな目で見られているのです。

もちろん、柔道は世界のジュードーですし、剣道だって合気道だって、日本の武道の代表です。

でも、彼らが海外でそうした武道家たちが受ける尊敬に比べれば、日本では武道家たちは特権的な社会的ステータスはない、と言い切っていいでしょう。

邪推に過ぎないかもしれませんが、それは海外での評価が大げさすぎるのではなく、どこか日本人が武道というものを無条件に絶対的なものとして受け入れてない、からではないでしょうか。

国家的連帯感という問題

実は、これは武道だけに限ったことではありません。

アニメにしても、他のスポーツにしても、確かに日本人は熱狂はするものの、どこかで「たかがアニメ、スポーツ」という意識があるのではないでしょうか。

野球は国民スポーツと言っていいのに、なぜ世界に広めようという機運が起こらないのでしょうか。

柔道は講道館一本でまとまっていますが、空手は連盟や団体が乱立、いつまでたっても一つにまとまりません。

こうした内輪もめのような文化が長らくオリンピック種目になるのを遠ざけており、世間はそういった感覚を特殊なものとして、冷ややかに見ているのです。

そこへ行くと、韓国はよくも悪くも愛国心で一致団結し、テコンドーだろうがBTSだろうが、韓国をPRすることに躊躇がないですよね。

スポーツより東大という文化

偏見かもしれませんけれど、日本の海外文化政策(海外投資戦略)が振るわないのは、いや、そもそもそれに真剣に取り組んでないように見えるのは、漫画やスポーツよりも東大、という文化が根強いからではないでしょうか。

言い換えれば、日本は勉強があくまでメインストリーム(主流)という社会ということです。

おっとここで言う勉強とは、形式的な中身のない受験勉強のことです。

これだけ世の中が変化しているのに、人々の興味や意識の中心は常に東大です。

ITの世紀であり、AIの時代なのに、こうした分野の天才は顧みられず、あくまで東大を出てないと世間は認めないのです。

戦後今に至るまで、世の中の東大信仰は年々強くなっていると感じます。

東大至上主義がなぜ、これほど変わらず強いのでしょうか。

結局、日本は多様性などと世間の方向には合わせているものの、中心にある価値観は東大、なのです。

しかし、東大という価値観は内輪である国内でしか通用せず、世界はアニメ作家や空手師範にこそ日本の価値を認めているというギャップ。

東大至上主義を捨てなければ、日本の海外投資は成功せず、日本のGDPは韓国だけでなく、ベトナムにもまもなく抜かれるでしょう。

結局グローバルなどは、掛け声だけで、麻布や開成からハーバード行かせるなんていう先進的な親は、東大至上主義の親からは冷ややかな目で見られているのが現実なのです。

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それほど、東大信仰は根強いということです。

ハッカーに年間5億回襲われるという日本企業のIT防衛が問われていますが、この分野に若者が参入してプロになるという流れはありません。

「AIの専門家になるよりも、東大行くほうが利口だ」、優秀な若者はそう判断し、あたら優秀な頭脳を今日も東大の過去問が詰まった「赤本」を隅々まで読み込み、解答のパターンを頭にいれるのです。

こういう国家的な才能の無駄遣いをしている限り、日本はいつまでたっても、グローバルな先進国として世界に尊敬されないままではないでしょうか。

野呂 一郎
清和大学教授



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