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人事の明日を占う⑨今年、人事担当者は、2つの新しい部門を設置せよ。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:これからの人事は、組織体制にも口出ししなければならない。人の問題とは組織の問題であるからだ。いままでのような、古いルールでの査定をやるだけの人事を、あなたが変えろ。トップ画はhttps://x.gd/oxzte
新部門設置は人事喫緊の課題
組織の新設は人事の担当じゃないと言われればそれまでですが、フジの騒動を見ても、今や人事管理は人事部が従業員をしれっと査定したり、評価していればいいという時代ではなくなりました。
人に関することすべてをイニシアチブ(主導権)をとって、組織革新の先頭に立つべきなのです。
で、新部門とは何か。
それは、「正直部門」と「科学捜査部門」です。
正直部門とは何か
正直部門といえば、NHKでやっている「正直不動産」というドラマを思い出す方が多いかもしれません。
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僕はいまそのことに思いが至ったのですが、正直不動産がウケているのは、一つの時代の反映でしょう。
英語のことわざ「正直は最良の策Honesty is the best policy」をひくまでもなく、正直さこそ企業においても、昔から変わらぬ最強の戦術なのです。
ましてやインターネットだSNSだと、現代は衆人環視の時代です。
言い繕っても、どこからか真実は暴かれる運命にあります。
そう、今回のフジテレビのように。
「コンプライアンス部門にすりゃいいのに」とおっしゃるのですね、
「正直部門」と「コンプライアンス」部門が似て非なるものなのは、
前者はプロアクティブ(自ら攻める姿勢)であり、後者がリアクティブ(世間の様子見という態度)であるところです。
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昨日も述べましたが、フジに世間が求めているのは、プロアクティブに自らの倫理観に照らして行動することです。
コンプライアンスをわきまえることは当然で、それを超えた自らが信じる「組織はこうあるべき」という行動をしていかなくてはならないのです。
この部門は正直な組織であるためのルール作り、実行、チェックをおこないます。
科学捜査部門とは何か
企業のお客様に提供するモノやサービスの安全性、健全性について、独自の科学的調査をし、それを踏まえてお客様の安心、安全を第一に整える部署のことです。
例えば食品会社であれば、厚労省が許可したからと言って、お客様がすこしでも不安に感じている食品添加物があれば、自らが独自に科学的検査をして、安全性について判断を下し、それを消費者に伝えるということです。
例えば、こうした但し書きを商品広告に入れます。
「当社のフライドポテトの揚げ油は、10%のトランス脂肪酸が含まれております。これは当社の独自の検証、調査によりお客様の健康を損ねない量であり、安心してお召し上がりください」。
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物事には必ず、プラスの側面とマイナスの側面があります。
企業の広告は、食品であれ、情報であれ、消費者にとって売らんがための耳障りのよいことだけを伝えてはなりません。
20年も前の話ですが、「この食品を食べればやせる、病気が治る」というたぐいの番組が流行ったことがあります。
食品のプラス情報だけを報道し、マイナスにはほとんど触れませんでした。
フジテレビは、例えばマグロが健康にいい、という番組をこれから創るならば、自らの科学的な検証を必ず入れましょう。
プラス情報:
マグロはタンパク質、ミネラル、ビタミンが多く含まれ、トリプトファンがセレトニンの分泌を助け、心の安定に役立つ
マイナス情報:
食べすぎると水銀が脳にたまり、認知症のリスクを上げる。
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マグロの漁法も、一本釣りならば環境に不可を与えないが、トロール漁法、定置網漁法はエコシステムにダメージを与える。
ただ、こうした一般的なネガティブ情報を提供するだけではなく、フジは一歩進んで、科学捜査部をもうけ、「えーっ、我々の独自調査では、一週間にマグロ320グラムまでであれば、認知症のリスクはありません。安心して召し上がりください」とやるのです。
フジの再生には、この正直部門と科学捜査部門が欠かせず、人事のエースあなたは、明日にでもトップに掛け合うべきではないでしょうか。
ディレイ中継はあり、か?
今回のフジの会見はリアルタイムより10分遅らせて中継した、とのことです。
いわゆるディレイ方式(delayed system)ですが、確かにこれは不適切な放送をそのたびに編集でカットできて便利ですが、これは若干臭いものに蓋をするきらいがありますし、社員教育という部分でもよくありません。
番組の構成、出演者の選択、演出の適否などがしっかりしていれば、放送事故は起きないはずで、ディレイは制作側の緊張感を奪ってしまいます。
かといって、放送の命はアドリブにあるはずです。
MC(司会)役である、アナウンサーは非常に重要で、彼、彼女を育てるのも、人事のエースのあなたです。
フジテレビを救うのは、「正直部門」と「科学捜査部門」の意味がわかる、今の時代にあったアナウンサーなのかもしれません。
野呂 一郎
清和大学教授