経営学の方程式で解き明かす「郷ひろみをどう見せるか」。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:きのう話し忘れた、「見せること」の意義。経営学とは価値を創造することだが、見せることが決定的に重要である。今、テレビで郷ひろみが出ているが、彼の価値創造と見せ方を検証してみようか、ためしに。トップ画はhttps://crea.bunshun.jp/articles/-/39724
経営学とは見せ方
きのう、下の図だけ置いてきて、解説をするのを忘れたので、少し説明させて下さい。
経営学の一つの考え方に過ぎず、また細かいところをあえてすっ飛ばしているので、異論もあるに違いないのですが、あえて下の図が経営学というものを表していると考えます。
要するに経営学とは、価値を創ることで、そのためには「どう見せるか」が決定的に重要だということです。
しかし、その価値を創るためには、それに関わる人々のモチベーション、つまり価値を創るために働く人をいかにやる気にさせるかがポイントなのです。
これはすなわち、人的資源管理とリーダーシップのなせるワザということになります。
下の図はもう一つ、経営学で大事なことがあることを示しています。
それは環境、です。
現在の環境は以下の5つのキーワードでまとめられるでしょう。
もちろん、この方程式は「誰に見せるのか」ということも考えなくてはなりません。
これは、マーケティングでいう「ターゲット」をどうするか、ということにほかなりません。
上の図は経営学の方程式であると同時に、マーケティングの方程式でもあり、さらに企業と個人の成功の法則といってもいいでしょう。
郷ひろみの価値創造と見せ方
今NHKのSongsという番組で、郷ひろみ特集がオンエアされていますが、たとえば、彼の価値創造と見せ方を考えてみましょう。
まずは、郷ひろみが誰に何を見せたいのか、を考えてみましょう。
事務所は別にマーケティング戦略など考えていないし、ターゲットなども考えてないかもしれません。
ここらへんは、郷ひろみや事務所次第ですが、例えば、「もっとファン層を増やしたい」というテーマを設定してみましょうか。
そうすると、お年寄りじゃなく、10代のファン、それも男性ファンを増やすのがいいかもです。
どう見せるか、10代の男の子に刺さる楽曲、演出、場所、プロモーションを用意すればいいわけです。
しかし、この発想は少し無理があります。
なぜならば、郷ひろみの個性を活かしてないからです。
もともと郷ひろみの魅力は女性的というのがはばかられるならば、中性的な美しさであり、それが彼の本質なのです。
今までの郷ひろみというエンタテイナーが創造してきた価値は、その彼の本質を活かそうと、本人と周りが努力してきた結果です。
その本質とこれまでの方向性を無下にして、少年ファンをつかもうというのは、無理があります。
もちろん、彼のアイドルっぽい路線から、大人のボーカリストへのシフトは、とても自然だったように思うし、留学やボイストレーニングなどの努力もあって、今の郷ひろみという新しい価値が生まれたのです。
僕がプロデューサーならば、今の郷ひろみに一つのフォーカスを与えることで、新しい価値を創ります。
それは「永遠の若さ」という価値です。
郷ひろみの新しい見せ方
カタカナが大好きな日本人マーケターが、最近ジュブナイル(juvenile若さ)という新語に飛びついています。
サプリメントや美容液にも、これからどんどんジュブナイルというワードがたくさんつくことでしょう。
郷ひろみほど、でも、このジュブナイルを体現している人物はいないでしょう。
天性のルックスを、努力と節制で保ち続け、若さを保持し、老いと戦っていることで、彼のジュブナイルは若さで輝いています。
でも彼が若く見えるのは、外見を整える努力だけでなく、本人もよく話すように、常にチャレンジを自分に課すという、内面の若さがあるからです。
永遠の若さというチャレンジは、経営学の方程式の「環境適応」にも合致します。
今、世界の人々が恋い焦がれてやまないものは、「若さ」にほかならないからです。
貧困から脱出し、世界はかつてのアメリカ並みに、豊かさを享受し始めました。
物質の次は、美です。そして、精神のありようです。
「若さ」こそ、現代人の恋いこがれる新しい価値ではないでしょうか。
それを追いかける郷ひろみ、という新しい価値にフォーカスすれば、郷ひろみの新・価値創造が完成します。
そのためには、彼は変わる必要はありません。
周りが、演出家、プロデューサーたちが、あるいは「チーム郷ひろみ」が、これからの「郷ひろみをどう見せるか」を考えればいいのです。
野呂 一郎
清和大学教授