マーケティングの神・コトラー、最新 10の金言
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:マーケティングの父・コトラー博士の最新インタビュー紹介。マーケティング4Pは死んだのか。デジタルマーケティングの行方。コトラーがアンチに吠える!
4Pは死んだのか
マーケティングといえば4P(Product製品、Price価格、Placeどこで売るか、Promotionプロモーション)と皆さんも教わってきました。
これはマーケティングの神(父とも呼ばれます)フィリップ・コトラー博士の発明です。
しかし、最近はこの4Pを否定する動きがあります。
例えばグーグル。グーグルは世界を支配する企業になったけれど、プロモーションなんて全然やってないだろ?
プライス?そんなのEコマースでなくなったでしょ?というわけです。
4Pじゃなくて、4Aだよ、という声も上がります。
4Aとは(Four As フォーエイズavailability使ってもらえるか, affordability買ってもらえるか, acceptability受け入れられるか awareness認知されるか)です。
ようするに消費者目線で「買ってもいいかなァ」と思わせる魅力があるかないか、ということを指します。
さあ、コトラーはこれらにどう答えるのでしょうか。
いまマーケティングの論文を書いており、3日後締め切りで間に合いそうもないのですが、結論部分はこのコトラー大先生のお言葉を借りたいと思っており、そんな折り、偶然に彼のインタビューを見つけたので(下のURLです)、それを引用させてもらおうと思っています。
ついでに、皆様にその一部をご紹介しようというわけです。
何がコトラーをマーケティングの神たらしめたのか
コトラーは自身の初の著書Marketing Management を1967に世に出して以来、今日まで3年おきに改訂版を書いているんですよね。
これはすごいことです。
マーケティングほど、環境変化に影響を受けるジャンルはありません。
コトラーはこの間60年、世の変遷にマーケティングを適応させ、進化させてきたんです。
だからマーケティングの生みの親にして、神様と呼ばれるのです。
今回偶然見つけたコトラーのインタビューですが、僕は率直に世にあふれるマーケティングは終わった的な言説の浅はかさを痛感するんです。
とりあえず、神様の最新のご託宣を一部皆様と共有しましょう。
金言に恐れ多くもわたしめがコメントを入れてみました。
最新コトラー金言
1.4Pは死んでなんかいない
コトラーは4Pは時代は変われど、マーケティングの王様(King)であると言っています。
2.マーケティングを広くとらえよ
コトラーはマーケティングを思想であり、計画であるとし、このパワーはマーケティングを広く捉えることで大きくなる、と言っています。
今のマーケティングはいかに効率的に人に気づかせ、買わせるかという近視眼的な技術に堕している、そうコトラーは批判したかったのではないでしょうか。
思想とは、求めるものを満足させること、だったはずです。
計画とは、消費者を生涯ファンにさせる長期計画のことだったはずです。
今やその2つは、ほとんど企業に見られなくなりました。
3.新しい市場を見つけ、ものにしろ
コトラーは常に新しいものが好きです。それがマーケティングだからじゃないのかな。
新市場にも興味津々。そこからまた新しい理論を創っちゃう。
コトラーさんを見ていると、マーケティングとは好奇心のことかな、と定義したくなります。
4.CMOは責任重大だ
コトラーさんの初期の著作にはもちろんCMO(チーフ・マーケティング・オフィサーChief Marketing Officer)なんて言葉はありませんでした。
コトラーさんの創ったマーケティングが大きく、普遍的な概念になり、マーケティングが経営において不動の地位を締めるようになったから、その重要性に鑑みて自然発生的に生まれたポジションがCMOです。
ある意味CMOは、コトラーさんがマーケティングに企業経営において最高の価値を与えたから生まれた言葉だと言えます。
コトラーさんは、そのCMOに重大な責任を負わせています。
「CMOはマーケティングの社内伝道者、調整役にとどまらず、新しい市場を見つけ、そこにあるチャンスは何かをはっきりさせる責任がある」と言っています。
5.SNSを使ったメッセージは、もっとよく考えて出せ
ソーシャルメディアの力で個人個人にあったメッセージをつくれることは、コトラーさんも、いいことだ、と言っています。
でも多くの企業のメッセージは、間違っている、というのです。
いいメッセージとはコトラーさんに言わせると
「ブランドに寄与してるかどうか」
です。
例えばグッチのバッグだったら、メッセージは高級品にふさわしい格調が必要です。
しかし、メッセージとは言葉だけではありません。
ウェブデザイン、環境に対する哲学、従業員の扱い、消費者とのコミニュケーション・チャネルに至るまですべてが、消費者へのメッセージとなります。
つまり、企業の生き様そのものがメッセージなのです。
6.ビッグデータを使え
コトラーさんは新技術にも積極的にですね。
デジタルメディアの発展、ビッグデータの登場は、マーケティングにとってよいことと評価しています。
特にビッグデータの分析から、ターゲットにすべき層も、投げかけるメッセージもわかるはずだといいます。
7.マス・マーケティングの時代は終わった
6とも関連しますが、コトラーさんは、「マスメディアを使った広告は失敗だった、大衆の1~2%しか興味を持てない単一のメッセージしか送れなかった」と語りました。
要するに、ワン・トゥ・ワン・マーケティングができてなかったということです。
8.コトラー理論は間違い?じゃあ、やってみろよ
もちろん、コトラー先生はそんな戦闘的なことは言っていませんよ。
でも、このインタビューで伝わってくるのは、自身の理論の根幹である4Pに対する自信と、異論に対しての寛容な姿勢です。
こんな感じなんです。
「色んな意見や考えがあっていい。いいと思うならば、市場で試せばいいじゃないか。それで答えが出るだろう」。
9.マーケティング部門を捨てる?冗談じゃない
一部でマーケティングを否定し、返す刀でマーケティング部門不要説をぶつ向きもある今日このごろ。コトラーはこの失礼な質問には、こう答えました。
「マーケティング部門を撤廃する企業の株は買わないよ」。
コトラーは言います。
「マーケティングとは企業に計画のフレームワークを与えるもの。そして4Pを色々工夫し、組み合わせることで、マーケティングの新しいアイディアや独自の差別化が生まれる」。
計画のフレームワークとは、マーケティングとは常に4Pに向き合うことであり、そうすると自然に次の手が見えてくる、つまり企業の事業計画も見えてくるという意味です。
10.これからの最強マーケターは、熱狂的なファンを持つ企業だ
コトラーはインタビュアーの、「現代の最強マーケターは誰だ」、という問いに答えて、具体名を並べました。
「ハーレー・ダビッドソン、レゴ、ナイキ、スターバックス」。
これらの企業の共通点は、新製品を創ることを支援してくれるほどに熱狂的なファンに支えられていることです。
コトラーが考える、現代におけるよいマーケター、マーケティングがこの答えではっきりわかります。
そうです、熱狂的なファンを創るマーケターであり、マーケティング、ということです。
さて長くなりました、僕も共感しています。
論文の最後、彼の言葉を引用させてもらうつもりです。
ではまた明日お会いしましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー