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海外で合気道のデモを見せればキミはヒーローだ

いま、合気道ができる日本人は最高の民間大使だ

さて、昨日は孫子の兵法の6、前もって戦場(市場)を調べておくことの重要さをお話した。合気道の話になって、僕のこだわりから流派が違うことを理由に合気道部に入らずに後悔した、という馬鹿な話をした。そして後から、その変なこだわりは若気の至りだった、などとまた後悔しているなどと言った。

さて、今日はこの流れになったことをいいことに、合気道の話をしてしまおう。武道全体の話になるかも知れない。なぜならばこの連載は、キミたち高校生にグローバル・リーダーになれ、という半ば強制的なすすめを説くものだからだ。

合気道の話をすると、空手人気は相変わらずだが、合気道の武道としての深さに気づいてきた外国人がどんどん増えている印象がある。彼ら彼女らの関心は、武道の強さからその神秘性、精神性にシフトしているのだ。やるんなら、合気会、養神館共におすすめだ。

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海外で絶対ウケる武術のデモンストレーション

数年前もやったよ、下手な演武。スロベニアで、ケーススタディの国際合宿があったときに、課題としてやらされたのだ。

課題の題目は「武道マーケティング」。武道とマーケティングを考えるという、今から思えばかなり無理のあった演題だった。

そこで、棒術と空手の型を演じ、視聴者参加番組よろしく、観客を参加させて、ガチで殴りかかってもらい、それを武術の型で抑え込んでみせる、という出し物もつけた。観客の”協力“もあって、うまくいったよ。

合気道の演武は、30数年前、はじめて僕がアメリカで日本語を教えながら、MBAという学位を目指してウィスコンシン州の大学に通った、そのちょっと前、アメリカ人に日本語を教える半年の特訓を受けている時にやった。

そこは、ジョージア州のGeorgia Southwestern Collegeというところで、僕らメンバーが日本語をアメリカ人に教える講習を受けていた大学だった。

地元の人が「日本人のグループが来ている」ということで、我々を見に来た。そこに、日本の合気道の総本山・合気会(あいきかい)のアメリカ・ジョージア州支部の人たちがいたんだ。僕が合気道やるというので、たちまち打ち解け、近く大学で演武会をやるから「お前に出てほしい」となったのだ。

基本的な技をデモンストレーションしただけだが、けっこう反響があった。当時空手は知られていたが、合気道はまだ未知の武道だったこともある。

キミの中の「日本」を外人に見せるとキミは激変する

とにかく、海外に行くと「日本人なら武道の一つもできるだろう」ということで、必ずやってみせろ、と言われる。下手なのに、やる。するとまだ海外の人は上手い下手がわからないから、拍手などもらえる。そうすると、「日本に帰ってしっかりやって、今度は本当の武道を見せてあげなきゃ」という気持ちになるんだ。

そして、日本の武道の素晴らしさが実感できる。これはね、なかなか、日本にいると感じられないんだ。

やはり、外の目に触れることによって、自分たちが何をやっているか、またその意義が初めてわかるんだろう。外国に行かないと、自分が日本人だということがわからない、とよく言われるのはそこだ。いわゆる、アイデンティティに目覚めるということだ。

自分が日本人だとわからない状態、武道に限らないが日本独特の技術、スキルの良さを理解できない状態は、キミにとってよくない、もったいない。

この記事を読んでくれるキミたち高校生は、グローバルに活躍することに興味があるはずだ。ならば、大学受験が終わったならば、なるべく早く海外に行くことだ。そして、日本人としてちやほやされたいならば、なんか武道をやるべきだ。

で、合気道はおすすめだよ。合気道は女性もやりやすいと思う。

「実演」よりも「説明」を求める外国人

そして、英語で日本のことをしっかり説明できるように、今から準備しておくことだ。武道をやっているのならば、その術理を論理的に英語で説明できるようにしておくことだ。

今、世界の人が日本に求めているものは、現物じゃないんだよ。アニメならアニメはもう出ている。合気道も、空手もYouTubeでイヤというほど、その実演は観ることができる。そうじゃないんだ、彼ら彼女らが求めているのは「説明」なんだよ。

なんでこの技が効くのか、どうしてこの攻撃が生まれたのか、日常生活に同応用するのか、精神の持ち方がどう技の切れに関係するのか。武道の歴史もついでにひとくさりできれば、キミは尊敬され、仰ぎ見られることは間違いない。

武道に限らず、歌舞伎でも、お茶でも、相撲でも、能でも、きちんと英語で「説明」できる日本人は少ない。というか、ほぼいない。

外国人の関心は、もうその現物ではないんだ。「こころの部分」なんだよ。そこにある精神を知りたがっているんだ。それがないと、いつまでたっても日本は、日本人は理解されない。

キミが日本の話をするのを祈って待っている

僕がすごく危惧していることは、ネットが発達しすぎたせいか、海外に興味のない日本の若者が増えていることだ。

「アメリカ?犯罪にいつ巻き込まれるかわからない、日本のほうがずっといい国でしょ」てな具合だ。どこの国より、日本がいい、海外は危ないだけ、なんていうんだな。だから外国に興味なんか持たない、ましてや留学なんて考えもしない。

だから、英語習得の熱もない、ましてや行って日本のことを説明するなど、誰がそんなめんどくさいことをするんだ、と考えてる。

勿論そんなことは人の生き方だから、僕がどうこう言ってもも仕方ない。

ただ、いま言ったように、海外の人はキミが日本について教えてくれることを、心から待っている、楽しみにしている。それも祈るような気持ちでね。

今日も、最後まで読んでくれてありがとう。

また明日会えるといいね。

                         野呂 一郎

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