プロレス&マーケティング第46戦 猪木IGFが天下を取れなかった理由。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:なぜ、猪木の団体IGFが中途半端に終わったのか、昨日の英国スーパーの考察をヒントに考える。
DNAには勝てない
昨日、ロンドンのスーパーが続々セルフレジ廃止の動きを見せていることを報じました。
この動きのさなか、ブース(Booth)というスーパーが面白いことを言っています。
DNAと来たら、やはりプロレスファンとしては、イノキ・ゲノム・フェデレーション(IGF)を思い出さずにはおれないですよね。(笑)
遺伝情報を担う物質がDNAで、DNAのすべての遺伝子情報がゲノムと呼ばれるものです。
まあゲノムとは平たく言えばDNAで、イノキ・ゲノム・フェデレーションとは、猪木の遺伝子を汲んだプロレス・格闘技団体というわけですね。
アントニオ猪木はなくなりました、しかし、猪木の最晩年、IGFはすでに活動を停止していました。
今もその復活の動きは見えません。
要するにIGFは、ビジネスとして、プロレス団体として成功しなかったのです。
それはなぜか、僕は前述の英国のスーパー、ブースの宣言「客を喜ばせることが、ブースというスーパーのDNA」というがその答えだと思います。
DNAに合わないことはやるな
ブースのこの宣言は、逆に言えば「DNAにそわないことはやるな」という金言です。
それはDNAとは何か、を考えてみるとよくわかるでしょう。
DNAとは何でしょうか。
遺伝子のことです。
あなたも私も、人間はすべて遺伝子の影響を受けています。
これは逃れられない現実であり、人間はすべてDNAに支配されているのです。
企業にも、DNAはあります。
もちろん生物学的なものではなく、それは企業に根付いた伝統とか文化、哲学のことです。
ブースというスーパーは、今回反省をしたのです。
それは、他社がセルフレジをやるから、自分たちもやる、とそれにならったことです。
しかし、考えてみればセルフレジは一見便利だけれど、同社の哲学や文化である「お客を喜ばせること」にマイナスを及ぼす行為でした。
ブースのDNAがこれに激しく反発したのです。
全日本プロレスがなぜダメなのか
たまに忘れちゃうんですよねえ、僕がじじいになっただけじゃないと思うんですよ、全日本プロレスのエースって誰だっけか。
宮、宮島だったか、いや違うな、そうだ宮原だ、宮原健斗だった、という具合です。
全日本プロレスがダメだ、というわけじゃあないんです。
青柳優馬もいるし、諏訪魔もいるし・・えっ、諏訪魔はノアかぁ?
あぁ、迷っている迷ってる・・・
でも、プロレスに少し詳しい僕がこんなんだから、世間にはもっと伝わってませんよね。
これって、全日本プロレスのDNAと、今の全日本プロレス所属選手のDNAが違うからではないでしょうか。
全日本プロレスのDNAは、「激しく楽しい王道プロレス」でしょ。
言葉を変えると、ジャイアント馬場が好きだった「大型でプロレスの王道を表現できるファイト」ということですよね。
そういう意味では、違いますよね、やっぱり。
猪木のDNAはすでにない新日本プロレス
ノアの遺伝子は、三沢光晴です。
ノアはかろうじて、三沢のDNAを引いていると言えるでしょう。
DDTは、かつてDDTのアイデンティティといわれた、飯伏幸太ではないでしょうか。
自由で、プロレスを無限に開いているイメージです。
飯伏が新日本プロレスを去った理由は、やはりDNAの違いに求められるのではないでしょうか。
しかし、その新日本プロレスには、もはや猪木のゲノムはありません。
それがいいとか、悪いとかの問題ではなくて。
結論として、今日僕が言いたいのは、個人にせよ、組織にせよ、DNAとは言わないまでも、魂の底からの叫び、というのはあるはずなんですよ。
なにかに突き動かされるかのごとくの、熱情、美意識、揺るがない価値観。
それに忠実であれ、ってことです。
どんなに生成AIとやらをみんなが使っても、あなたの、貴社の魂がそれをよいとしなければ、使ってはなりません。
使っても、うまく行かないでしょう。
ロンドンのスーパー、ブースのようにね。
プロレスも、団体の価値観と選手のそれが合致した時、最高のパフォーマンスが生まれるのではないでしょうか。
野呂 一郎
清和大学教授
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