オレ流日産再生計画 その弐 新製品を出してモチベーションを高めよ。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:結局、グローバル市場で勝つには、自動車業界に限らず、グローバルに通じるリーダーシップが必要ってことだ。でも、今の日本にはそういう人材が見当たらない。新しい大学教育、社会人教育が必要だ。トップ画はhttps://x.gd/3rTjL
外人トップでいいよ
結局日産の体質って、ゴーンさんがCEO(最高経営責任者)に就任した1999年から変わってないんだよ。
要するに果断な意思決定ができない。
ゴーン氏は村山工場の閉鎖、子会社の統廃合、下請け会社の選別、早期退職制度を含めた2万1千人のリストラと、要するに日本人がやりにくい、欧米では当たり前のコストカットの王道をやったわけでしょ。
日産の攻めの姿勢のCM「やっちゃえ日産」も、ブランドイメージを変えようとしたゴーン氏の遺産だった。
スピード感を持って、矢継ぎ早にやるべきことをやったゴーン氏。
逆に言うと、日産の体質はそれができないから、ゴーンさんに丸投げしたとも言える。
日産の体質は、意思決定が遅すぎ、戦略の基本である「選択と集中」ができてないことにあるよね。
EVもハイブリッドも中途半端だし、ルノーと三菱自動車との協力関係もはっきりしない。
切り札はCOOのグプタ氏だ
いいんだよ、日産はもうグローバル企業なんだから、トップはまた外国人でも。
結局、グローバル競争の舵を取るような人材は、日本企業からは生まれない、ってことじゃないのかな、残念ながら。
きのう、内田氏じゃなくて、元ソニーCEOのストリンガーさんをトップに据えろといったけれど、一人だけ候補がいたよ。
それはCOO(最高執行責任者Chief Operating Officer)のグプタ氏(Ashwani Gupta)氏だ。
彼はインド出身の51歳、日産に来る前は現パートナーの三菱自動車、ルノーで働いていた。
彼の日産改革論はシンプルで、僕はしびれたんだ。
グローバルなリーダーシップが問われている
結局、戦略なんて言うけれども、不確実性の時代、誰も近い未来でさえ読めないんだって。
(以下、越中詩郎の口ぶりで↓)
どんなクルマが売れるのか、EVがどうなるか、ハイブリッドが主流になるのか、すら。
だから、とにかくやってみながら、だめだったら調整する、でいいんだよ。
大事なのは、パートナーシップとコミュニケーションだろ。
グプタさんのいうように、「ロケットサイエンス(rocket science複雑な理論)はいらない」んだって。
パートナーと話し合って、お互いが得をするよう、うまくやればいいだけなんだって。
グローバルな市場にでたら、グローバルな連携が不可欠で、日産はルノーと株式の持ち合い関係にあったわけだ。
三菱自動車とは、ある種日本語が通じるから、ツーカーなところはあった。
でも、ルノーとのコミュニケーションはどうだったんだ。
ゴーンさんのうまいのは、そこだったんだ。
語学が堪能って言うだけじゃない、彼は自ら人に飛び込んでいくタイプのコミュニケーターだった。
私利私欲でルノーを利用したところはあったかもしれないけれど、ルノーとの意思疎通はしっかりやってたと思う。
内田社長は、その点どうだったんだろうか。
口角泡を飛ばして議論するには、自動車業界はもちろんのこと、世界情勢や技術についても深い知識が必要だし、ディールとまではいかないが、ディベートに長けているトップである必要があるよね。
一般論だが、今の日本の教育では、社内教育も含めてだけれど、グローバルなリーダーは育たないって。
問題を解決できない男とは結婚してはならない
日産は、ホンダと結婚したってうまくいかないって。
僕がホンダさんという女性だったら、こうタンカを切るって。
「借金を作った原因をさがしあててして、それを返す手だてをはっきりさせなさいよ!それができなきゃ、アンタとは結婚なんかしないわよ!」
ゴーンさんも最新The Wall Street Journalの記事で「だめだ。なぜならデュプリケーション(重複duplication)が多すぎるから」って言ってるね。
重複とは、同じような自動車を作っていて、同じような開発をして、同じような販売をしてるってことだよ。
ホンダも昔あった先進性なんか、なくなっちゃっている。
それじゃあ、1+1が3以上にはなれず、相乗効果なんか出るわけもない。
マイナスを相手に押し付けるようなM&Aは結局、両者の従業員の多くがクビにされて終わるだけだって。
何か舞台裏で政府が暗躍してるのかもしれない。
いや、悪い意味でなくてね。
だって、どの国も自動車産業は、関連会社が多く裾野が広すぎて、GDPの13%を占めるとも言われる経済波及効果がある。
どの国も、業界を潰さないように必死になるのは当たり前だからだ。
とにかく、これからの日本はグローバルビジネス版松下政経塾みたいのを創らないとダメかも知れない。
でも、誰が教えるの、って話か。
武智倫太郎先生を学長にお迎えすりゃいいや。
おっ、タイムリーなのも出てるぞ。
野呂 一郎
清和大学教授