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「マイ・インターン」にみる年功序列の合理性。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:シニアが活躍する映画を見て、この主人公は年功序列で働いてきた日本人に違いないと錯覚した件。トシをとることの強みが確かに表現されていたし、老人はれっきとした貴重な労働力であることを認識した。企業はシニアをもっと大事にしないと。トップ画はhttps://x.gd/LZ0jz

「マイ・インターン」を見ました

ロバート・デ・ニーロ主演のThe Intern邦題「マイ・インターン」という映画を見ました。

ファッションサイト創業者の22歳の女性のアシスタントとして、ロバート・デ・ニーロ扮する70歳の老人が「シニア・インターン」として仕えるドラマですが、僕の専門であるHRM(人的資源管理)に示唆を得ました。

https://x.gd/484dB

その70歳の老人、なかなかやるんです。

同僚の若者に人生のアドバイスをするシーンが、良かったです。

「アンタは年上だろ、こういう場合どうすりゃいいのさ?」などと、頼られるさまが、なるほど、年令を重ねることは、仕事でもマイナスじゃないんだな、と何か忘れかけていたことを思い出させてくれました。

Because you are older(俺よりずっと年上だろ)という同僚の若者の呼びかけは、まさに年の功だと思いました。

設定はロバート・デ・ニーロが70歳、品格があり人間性も立派、耳は遠くなりましたが、どんな仕事でもその機転と培ってきた経験のチカラで、未知のシチュエーションにも臨機応変に対応できる、というものです。

年功序列を考える

なぜか、この映画を見て、僕は日本的な労働環境を連想してしまったのですよ。

特に年功序列、です。

日本の労働環境の現実である、年功序列は「人は経験を重ねるにつれ成長する」という一つの社会的な信仰です。

年功序列は、「会社は人を育てる」という社会的合意でもあります。

この映画のロバート・デ・ニーロを見ていると、彼はこうした日本的な労働環境で、キャリアを積み重ねてきたのではないかと感じてしまったのです。

デ・ニーロのたたずまいは、随所に日本的職場で長年働いてきた痕跡が感じられました。

人と接する術をこころえ、状況を的確に判断し、人間関係を慎重に判断し、適切な言動ができる。

こうした哲学と行動様式は、国境や文化を超えた、働く人の根本と言えるでしょう。

AIには絶対に代替できない、ある種、後天的に会社が絶え間なく与えた有形無形の試練で、否応なく身につけた、理想の働くもののスタイル、です。

結局仕事というのは、この形を身に着け、発揮することなのです。

どんな仕事でもそうです。

最初からこうした型を身につけることはできません。

ジョブホッパー、つまり転職を繰り返してきた僕などは、ロバート・デ・ニーロのマネは絶対にできないでしょう。

彼の演技から強く感じるのは、「信頼感」です。

それは、人間というものをよく知っている、人間であることの喜びも悲しみも、ということから来ているに違いありません。

サヨナラの意味

この映画では、日本を連想するシーンがニ回出てきます。

それは、インターン役のデ・ニーロが仕える若い女性CEOに「サヨナラ」とニ回あいさつをかわすシーンです。

デ・ニーロが年功序列の組織で揉まれてきた日本人に見えたのは、僕の思い過ごしでしょうか。

https://x.gd/UEaiT

いや、思い過ごしですね。やっぱり。

ましてや年功序列が真に実力のある仕事人間を創るなどに至っては、まさに噴飯ものです。

でも、それでも、日本の人間を信じ、育てる労働文化が、有為な人材を輩出し、戦後の繁栄を担ったことは、一面の事実ではないでしょうか。

欧米のデフォルトである弱肉強食のリストラ労働文化を、無理やり導入する必要はないのでは、「マイ・インターン」を観て、そう感じた次第です。

https://x.gd/bAbQH

野呂 一郎
清和大学教授



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