世界マーケティング7大トレンド③マーケターに求められる3大能力とは。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:これからのマーケターに求められる3つの能力。ビッグデータ、AI、リモートがマーケティングとマーケターをすっかり変えてしまったという現実。
マーケターに求められる3つの新しい能力
さて、世界マーケティング7大トレンド③はbuilding the intelligent creative engine(知的でクリエイティブなエンジンを構築する)です。
副題に「どうやって今までなかった“能力ストラテジー”をお客様へのマーケティングにつなげるか」、とあります。
”能力ストラテジー”とは、どんな能力を持った人材を集めるのか、現存のスタッフの能力発揮、能力開発は、どうあるべきか、従業員の能力をどうマーケティングに結び付けていくのか、ということを意味しています。
クリエイティブなエンジンとは、こうした個人の能力が組織構造に組み込まれていなければならないことを示唆しています。
トレンドとしての、これからのマーケターの持つべき能力は、次の3つです。原文の英語のほうがわかりやすいかも、です。
1. アナリティカルな能力(analytical talent)
2. コラボレートできる能力(collaboration talent)
3. リモート環境に対応できる能力(hybrid-optimizing talent)
1.アナリティカルな能力(analytical talent)
クリエイティブからアナリティカルへ
マーケターと言えば、クリエイティブ、これが通り相場でした。
クリエイティブとは創造的、もしくは創造力で出来上がった制作物を意味します。
クリエイティブと言えば僕ら日本人は電通をイメージします。電通=マーケティング=クリエイティブという図式は、今だ「カッコいい」の代名詞でもあります。
しかし、もはや新しいマーケティングから、クリエイティブは駆逐されつつあります。
もちろんクリエイティブ、創造性は大事なのですがそれよりも大事にされる要素が出てきたのです。それは、カタカナでそろえるとアナリティカル(analytical 分析的能力)です。
アナリティカルを具体的に言うと、もっとわかりやすいでしょう。
データサイエンティスト、です。要するにデータを科学的に分析する専門能力が、クリエイティブにとってかわられたのです。
それはもちろん、AI(人工知能)とビッグデータのせいです。
これらの新しいテクノロジーが出てきたために、これにもっとも親和性のあるデータサイエンスが、マーケターに求められるようになったのです。
さて、マーケターに求められるものはそれだけではありません、クリエイティブももちろん、デザイン、セールスは欠かせないし、消費者に接近して情報をとるという新しいスキルも必要になってきました。
今の時代なんといってもマーケティングが一番欲しいものは、消費者の本音、なんです。
英語で言うと、nuanced message (微妙で分かりにくい本音)なんです。
それは、アナリティカルに冷徹に分析しても、出てこないのです。
読む必要があるのは、データに出てこないいわば僕がいつも言う”行間“です。
マーケターは、ブランドと消費者の間を縦横無尽に行き来し、そこらへんの”微妙な空気をかいでくる嗅覚“も求められます。
2.コラボレートできる能力(collaboration talent)
コラボ能力こそがマーケターに求められる時代
デロイトサーベイによれば、企業トップが最も求めるマーケターの能力は、コラボレーション能力です。
マーケティングは一つの能力では完成しないので、いろんな能力を持っている人々がチームを組んでマーケティングを行います。
その時にマーケターに求められるのが、自分にない能力を持っている専門家とコラボする能力です。
チームワークをつくる能力と言ってもいいでしょう。
それは、社内を上から下まで駆け巡って、関係者を説得するコミニケーション能力でもあります。
またお客さんのネットワークを作り、そこで情報をとってくるという、アクティブな行動力も必要です。
それを毎回のプロジェクトで、迅速に行うのです。
プロジェクトのコンセプトを立てて、専門家を集め、チームとして機能させ、素早く分析して仮説を立てる、そういう足腰が要求されます。
分析力、コラボ力、チームワーク、コミュニケーション、こうした力を持つマーケター軍団が、新しいマーケティングの知を動かす。これが新しいマーケティングエンジンのイメージです
3.リモートワークに対応できる能力
ハイブリッド(リモート+対面)やらない日本はもうダメ
お気づきかもしれませんが、原文はハイブリッドを最適化する能力、です。
ハイブリッドとは、現在コロナ禍で主流の働き方、つまり、リモートが主で対面が従という労働形態です。
日本はオミクロンが猛威を奮っているというのに、よほどテレワークが嫌いなのか、対面のオフィスワークにほぼ戻ってしまいました。
ハイブリッドとは混合という意味、すなわち、リモート+対面のことを指しているのですが、日本ではこの言葉は使えないようです。
あとで述べますが、この時点でももういいマーケターは来てもらえないでしょう。
先進国はすでにリモートがやや優先のハイブリッド労働環境をデフォルト(基本初期設定)に決めています。
このハイブリッド環境で、マーケターは最高の能力を発揮しなくてはならないのです。
コロナで有能なマーケターが集まるわけ
世界第3のトレンドとしての、知的でクリエイティブなエンジンとは、分析力、コラボ力、そしてリモート環境で活躍できる能力を持った集団、ということです。
一見、こんなハイスペックなエンジンなんか、大企業でなきゃ実現できない、そう思われがちですが、このチャンスはあらゆる企業に開かれています。
それは、コロナの恩恵です。
コロナでハイブリッドを余儀なくされているので、リモートで働きたい有能な人材が、地域や国境を超えて着てくれる可能性がぐっと広がりました。
しかし、デロイト・サーベイによれば、このハイブリッド環境で大事なことは、対面も大事だということです。
やはりなんだかんだいっても、マーケティングはクリエイティブが大事だからです。
そのためには、Zoom会議ばかりではいかんともしがたいのです。
ですから、新時代のマーケターに求められるものは、やはり従来の対面でのコミュニケーション能力は欠かせないのです。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
それではまた明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー