天下分け目の衆院選、枝野幸男は長州力になれるか。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:選挙戦はプロレスと同じだという真理の理解。政治家にとってのいまさらながらの言葉の威力。政治家がなぜもっとプロレスを観るべきかの理由。長州力が最高のプロレスラーという主張の真贋。以上に対する考察。
野党連合はプロレスをやれよ
ダメだなあ、野党は。
勝てるよ、今回は。
でも、やり方がなってない。
自分たちの政策なんてどうでもいいんだよ。
自民党みたいに、やれ新資本主義だとか、分配だとかいう必要ないし、それに対抗してベーシックインカムだとか、消費税廃止なんて言わなくていいよ。
野党連合の正しい選挙のやり方は、「プロレス」をやることだ。
いや、これは僕が言ってるんじゃないんだよ。アメリカの政治学の教科書が、政治学の権威が言っていることなんだ。
(Politics for dummies by Ann Delaney、2002年)
アン・デラニー(Ann Delaney)先生が教えるのは、プロレス、つまり ベビーフェイスvsヒール(Evil versus good 善対悪 )の図式を創れ、ということなんだ。
デラニー先生がこの教科書でおっしゃっていることを、俺流に言うとこうなる。
選挙戦って、よく選挙公約がどうのこうの言ったり、イメージを良くしようと愛想を振りまいたりするけれど、見当外れよ。大事なのは、敵をけなすこと。悪口を言うことよ。きれい事で、「核兵器廃止で世界を一つに」なんてダメ。トランプみたいに「移民を一人たりとも受け入れるな」で国を分断する発言が正しいのよ。人間はね、より感情をかきたてられる言葉のほうがずっと記憶に残るの。例えば、新しい消防署がオープンしました、っていうニュースより、消防士が何者かに殺されましたっていうニュースのほうが頭に残るでしょ。おんなじことなのよ。政治家はプロレスを見習うことよ。チャンピオンマッチは、善玉vs悪玉、ベビーフェイスvsヒールじゃないと盛り上がらないでしょ。
先生は、こう言い切ります。
「モチベーションをかきたてるのは、愛よりも憎悪。間違いない!」。
だから、野党連合は、自民党への憎悪を掻き立てることが、唯一の正しい選挙戦略なんだよ。
そのためには、ベビーフェイスvsヒールの構図を創ること。
おあつらいむけのがあるじゃん。
そう、モリカケサクラ、それにプラスしてコロナの恨み。
モリカケ、つまり森友学園、加計学園問題、サクラは桜を見る会の不正会計疑惑を消すためにリストまで消してしまった自民党の隠蔽体質。
コロナの恨みは、飲食業界、観光業界を始めコロナで大変な目にあった、いまもあっている大多数の日本人が持ってる。
どう考えたって、自民党がヒール(悪役)だろ。今回は。
それをさ、「えー、我が党の政策は、公約はぁ」なんて言ってちゃダメだよ。
枝野さんはまだなんとか及第点だな。モリカケ言ってるし、「変えよう」って言ってるから。
それ以外言う必要はない。
でも、もっともっとモリカケサクラで攻めないと。責め立てないと。
憎悪を駆り立てないと、自民党悪いんだからさ、悪役っていうよりも悪人なんだからさ。
僕ら日本人は、アメリカの大統領選のネガティブ・キャンペーン見て、やりすぎだとか笑ってるけれど、デラニー先生のいうように、あれでいいんだよ。
相手の悪いところをガンガン指摘するほうが、有権者は投票する前に「あいつには絶対に入れない」ってなるんだから。
そしたら、こっちのものでしょ。選挙民は悪いことを言われない方に一票入れるよ。
え? 立憲民主のほうがヒール? 悪は実は立憲民主?
わかるよ、民主党政権は大失政、そのトラウマがあるから、自民党の方がまだベビーフェイスのような気がする、って言いたいんだね。
その部分は、安倍ちゃんがうまいこと言ったよなあ。
「悪夢の自民党政権」って。
でもそれは振り切らなきゃ。枝野さんはちょっといいよ。「失敗した。だからこそ強くなった」みたいな返しをしているから。
とにかく感情に訴えることだ。悪夢なんて言われても気にせずに、モリカケサクラで攻めろよ、枝野。
だけれど、心配なのは、これ、挙党一致で野党連合がしっかりした「プロレス選挙で行くっ!」っていうコンセンサスをもって、徹底したヒール・自民党攻撃をやらないと効果ないよ。
東京8区でれいわ・山本党首がでるでないのすったもんだは、野党連合の足並みが揃ってないことが図らずも露呈されちゃったな。
でもまだ遅くはないよ、枝野さん、土壇場でのあなたの言葉の力、リーダーシップに期待する。
野党の政治家よ、もっとプロレスを見て学べ、と言いたい。
善vs悪の構図の作り方と、リーダーシップを学べ、といいたい。
プロレスラーは、リングで強いだけじゃダメなんだ、マイクアピール、試合以外でのことばの力でリーダーシップを発揮するんだ。それを学べ、そう言いたいのさ。
藤波が長州になぜかなわなかったか
11月7日、新潟プロレス10周年記念大会に、あの炎の飛龍・藤波辰爾が来る。
プロレスファンなら誰でも思い起こすのが、長州力との名勝負数え唄だ。
レスリングの実力では藤波が上だった。
でも、プロレスラーとしては長州力にかなわなかった。
「俺はお前の噛ませ犬じゃない」。
あの歴史的な一言で、一瞬にして藤波をヒールにしてしまったからだ。
こうして善vs悪の構図を創った長州力はプロレス界に君臨したのだ。
10月31日の大決戦、枝野幸男は長州力になれるだろうか。
僕も今日、期日前に行ってきたよ。
みなさん、選挙には必ず行きましょう。
野呂 一郎
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