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メジャーリーグ粘着物質問題で考える野球のグローバル化という課題


メジャーリーグ粘着物質問題

「アスレチックス セルジオ・ロモが粘着物質チェックでズボンを脱ぐ」

こんな見出しがネットのスポーツニュースを賑わせています。大谷選手もこのチェックを受けましたが、ロモと正反対の審判員に対してのうやうやしい態度を絶賛されたことで、日本の野球ファンもご存知のことでしょう。The Wall Street Journal2021年6月25日号はスポーツ欄でこの問題を取り上げています。まとめてみましょう。

経緯


シーズン前に大リーグはこれまでのデータを精査、ピッチャーが粘着物質を使っていたケースが相当広がっていると判断、審判団に以下を要請した。

証拠はたくさん上がっており、大リーグ機構はもうこの問題をほっておけないと判断した。先発投手へのチェックはゲーム中最低一度は実施すること。リリーフピッチャーも登板時、降板時の2回。チェックはピッチャーだけでなく、キャッチャー、コーチにも行う。違反者は退場、もしくは10試合の出場停止処分。

事実

・従来からピッチャーはボールのグリップ(握り)を良くするため、マウンドではロージンバッグを使っていた。しかし、松ヤニとかサンスクリーンを使うこともあった。

・ピッチャー優勢の現状。メジャーリーグ全体のバッティングアベレージは2割3分9厘、シアトルマリナーズ2割1分6厘、ミルウォーキーブルワーズに至っては2割1分2厘である。

粘着性物質を使っていた投手の言い分

・松ヤニ等を使ってグリップを良くすることは、ボールコントロールを安定させバッターの安全につながる
・特に寒い、蒸し暑い、汗をダラダラかくような天気のゲームでは特に有効

メジャーリーグ機構の懸念

・スパイダーアタック(Spider Attack)と呼ばれる粘着物質は、投球パフォーマンスを向上させ、アンフェアな有利をピッチャーに与える。これを使うとスピードも出て、スピンの回転率が上がり、ボールが動き、打者の直前で曲がる。

問題点

・ゲームが中断され、長引く。ゲームのスピードアップが求められている現状に逆行
・予想されたとおり、審判vs投手のいざこざ発生。空港検疫官にボディチェックをされて憤慨する客に例えられ、国民にパロディー呼ばわりされつつある

この記事で最高に面白かったのは、以下の記述です。

「なんといってもこの一件での最大の被害者は審判だろう。ただでさえファンにその判定はおかしいと文句をつけられ、ピッチャーには低めのストライクをとらないと罵られ、バッターにはファーボールが少ないとなじられ、マスコミにはロボットと代われと野次られる。

それに加えて、今度はマウンドでピッチャーをムッとさせる仕事もおしつけられたのだ。スポーツで最も感謝されない仕事が、ますます感謝されなくなった。」

野呂の分析:MLB兵動会長説

アメリカはフェアネス(fairness公平さ)の国と認識しています。

勿論スポーツ然り。しかし、それはあくまでもフェアを装わなくてはならない、という意味です。

昨日偶然「カイジ」を見直したら、帝愛の兵藤会長が、カイジのパチンコ勝負の巻でおんなじことを言っていました。

「フェアでなくてはならぬ。しかし、それは客にフェアにやっていると思わせればいいのだ。カイジの言うことを聞いてやれ。そうすれば帝愛の客は帝愛はフェアにやっていると思うだろう。客に帝愛を愛させるのだ、フェアにやっていると思わせて。すべては客からもっと金を巻き上げるためだ」。

偶然ですが、僕はメジャーリーグも兵藤とおんなじことを考えている、そうこの記事を読んで感じたのです。

メジャーリーグが五輪や世界野球なんかに興味がないのは、自分たちのメジャーリーグというビジネスが第一と考えている、とはよく言われることですが、僕もそう思います。フェアネスを主張するその舌鋒の裏にカネが透けて見えます。

投手優位の現状を見かねた、ということでしょう。もちろんボールの反発係数を高めるなどはできると思いますが、ボールがバットに当たらないことにはどうしようもないでしょう。

日本の野球関係者は真のワールド・ベースボールに向けて立ち上がれ

しかし、メジャーリーグは相変わらず野球を世界のメジャースポーツにしようなどとは考えていないようです。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)には協力しないし、ルールの世界基準化も考えてないようです。

粘着物質をいう前に、野球を世界に広めるために、世界共通ボールとか球場の大きさの統一など、課題はあるはず。世界目線から見た野球改革などまったく興味がないようです。真のワールドベースボールを確立したほうが、結局は儲かるのに。

コロナ禍真っ只中でオリンピックが開催される非常識を憂いますが、野球がこのままでは五輪種目に定着しないだろうことも恐れる次第です。

野球界のリーダーも、立ち上がり、野球を世界のメジャースポーツにする努力をすべきです。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

また明日お目にかかりましょう。

                              野呂一郎

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