アメリカ人の語学ベタはフェイクニュースだ
上イラストはhttps://hajimeru01.com/posts/14898/
この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:国際性って意外とカンタンで、それは積極性のこと。国際性って、何のことはない、ドアを叩きづづけること。アメリカ人の持つガッツと集中力の恐るべし。僕ら日本人には合理的な語学習得方法が実はないのではないかという、真剣な疑い。
9.11ですべてが変わってしまったアメリカ
きのう、30年前の日本語教師をやっていた時代の失敗談を話したんだけれど、ちょっとその当時のアメリカの日本語教育界の裏話をしたい。
いや、高校生のキミにひょっとしたら役に立つんじゃないかと思ってさ。
えっ?アメリカの大学で日本語の講座があるとこに押しかけて、売り込んで、お前みたいに教えて、学費や食費を援助してもらえないか?って?
すごくいい考えだと思う。
だいたい日本人ってさ、最初っから「無理だ」、「ダメだ」って考えすぎるんだよ。
確かに80年代は、日本語ブームだったし、アメリカは外国に寛容だった。しかし9.11ですべてが変わってしまった。
外国人に寛容なアメリカ人はいなくなり、彼ら彼女らに残ったのは、異民族への敵意と警戒心だけ。
そしてこの2年間はコロナだ。ご承知の通り、コロナで今はアジア人はわけもなく襲撃される時代だ。
80年代の終わりに留学できた、僕はなんてラッキーだったんだろ、って思うよ。
積極性がすべてだ
ただ、今も昔も日本人の態度は変わってない。何事も消極的だ。
例えば、留学だとか、海外での就職だとかもそうだ。
叩けよさらば開かれん、ってのがないんだよ。
僕に言わせれば、普通に叩いてもダメなんだよ。
しつこくやるとか、ゲリラ的にやるとか、異常な熱意をしめすとか。
この前、激レアさんで、サッカーのアビコさんがでていたね。
40歳過ぎてJリーガーになった人だよね。今度は格闘家になるそうで、試合も決めちゃったのはすごい。
彼の何でもやるというゲリラ的な積極性は、日本人にはなかなかないものだと思う。
一昨日だったかのその番組では、彼は自分の自伝を出版社に売り込みに行ったエピソードをやっていた。
ノーアポで自伝執筆を売り込むんだからね。それも10回目で、編集者が動いたっていうんだからすごいなと思ったよ。
僕も同じようなことをしたことがあるよ。
片っ端から、出版社に電話した。
普通、電話でもなんでも、出版社は有象無象の原稿や企画書なんて受け取らないばかりか、電話もお断りってのが普通だ。
アビコさん飛び込みだからね。
なまじ、業界の慣習なんて知らないのがいいんだろうな。
それでも、叩けば開くアメリカという扉
アメリカはもっとオープンだよ。
もちろん、おそらく日本語の講師を募集なんて、今どの大学もやってないだろう。
でも僕だったら、学長に手紙を書くな。
どんだけ僕を採用すれば、あんたの学校がトクをするか、それだけを書くよ。
案外、そんなので決まってしまうのが、アメリカって国なんだよ。
でも、日本人はルールに書いてあることしかやろうとしない。
「募集がないのに、応募してもしょうがないでしょ」って態度だ。
いいんだって、手紙書いて、メールして、会いに行って、自分のやる気を伝えたって。
アメリカだけじゃなく、日本人のアプローチをみんな待っている、実はそれが本当のところなんだよね。
きのう、アントルプルヌアーシップ、企業家精神ってことを言った。
企業家精神って、自分から仕掛けていくだけじゃなくて、受けるときも積極的な精神を持ってるってことでもあるんだよ。
だから、何かみんな面白い話を待ってる。そんな話があれば、乗ってくる。
だから、とにかく高校生のキミには、海外でどんどん積極性を発揮してほしいな。
アメリカ人の合理性と集中力に驚く
さて、日本語の話なんだけれど、今日は2つの話をしたい。
1. 日本語教育の流派
2.夏季集中講座の話
1. について。
僕は昨日話したように、6ヶ月のアメリカ人学生に日本語教育をするための訓練を受けたんだけれど、びっくりしたのは、日本語教育はきっちりとした理論的な体系があることなんだよ。
僕らのそれは、昨日話したジョーダン先生の作った理論だった。
それは言語理論に基づいた、科学的な体系だ。
ダイレクト・メソッドと呼ばれることもある、それは、教師はクラスで英語を一切使わないで教えるやり方だった。
詳しい話は明日するけれど、それは分厚い教科書にまとまっている、きちんとしたものだった。
ただ、実際にアメリカ人に教えて思ったのは、このスタイルは学生を選ぶ、ということだ。
僕が昨日話したように、やる気のない中学生相手には、まったく向かない、それどころか、彼ら彼女らを苛立たせる。
でも、学習理論や体系を理解するやる気のある、優秀な学生相手ならば、非常にうまく機能する。
僕が勉強になったのは、相手によって教え方や、教えるスタイルを変えなきゃならないんだな、ってことだ。
経営学を教えていても、まったく同じことを感じているね。
もうプロレス経営学はやってないよ(笑)
25年くらい前から経営学は教えているけれど、昔はプロレスだったよ(笑)
プロレスの映像流して、それを経営理論にムリクリ😁当てはめて、っていうやつだった。それはひどいものだった(笑)教室でワザかけてたし。
その時はプロレスブームもあって、結構ウケた。マスコミも取材に来て、本も書いた。
しかし、これが完全に邪道かと言われると、そうでもないとも言える。
ある大企業の人事部長が「プロレス経済学」で研修やってほしい、って言ってきたんだ。
なんで?って聞いたら、
「社員の頭を柔らかくしたい」。
って真顔でいうんだよ。
集中講座みたいなテイで、その後も2回呼んでくれたね。
でも、今はプロレスなんて一切出してないよ。
なぜか?「プロレスって何?」っていう若い人が普通になったからだ。
もちろん時代背景もあるし、学生とのケメストリー、化学反応てのもあるよね。
今は普通に教えることもままあり、昔のドタバタ劇場みたいな講義しか知らない学生にびっくりされることもある。
ジョーダン先生のやり方を批判する人達もいる。
アメリカの日本語教育界は狭く、理論や考え方で派閥みたいなのがあるんだ。
W大学の某教授は、あからさまにジョーダン先生の悪口言ってた、いや批判していた。
今思うと、僕も一つだけじゃなく、2つ、3つくらい日本語の教え方をマスターしておくべきだった。
いまは、人を見て法を説く、じゃないけれど、学生に合わせて講義するように、しているけれどね。
日本も徹底した語学夏期集中講座があれば・・
アメリカ人を知っている人はよくこういう。
「アメリカ人って語学弱いよね。あれってさ、英語が世界語だから、他の言葉を学ぶモチベーションがなくなっちゃうからなんだよね」。
僕もそう思っていた。
でも、インディアナ大学の、日本語夏季集中講座で、お手伝いをした時、その認識を改めた。
そこはジョーダン先生の教え方でやっているんだけれど、2ヶ月のロングランの集中講座なんだ。
世界中から、日本語を集中して勉強したいっていう学生が集まるんだ
日本でも語学の夏季集中講座はあるだろう。しかし、その徹底ぶりがおそらく違うだろう。
とにかく、1日8時間位のスケジュールで、休みなく2ヶ月なんだよ。
僕はここに、アメリカ人の強さを見た思いがしたんだ。
まずそのタフさ、集中力。
毎日セッションというか、ジョーダン方式で日本語を話しっぱなし、宿題、小テストの繰り返しで、2ヶ月後には最終試験もある。
学内の寮に泊まり込みで、そんな修行僧みたいな生活を2ヶ月続けるんだ
ジョーダンメソッドって、ムダがないから、その分だけ集中しなくてはならない、学生に相当負荷がかかる。
日本人は絶対無理だ、そう思った。
超合理的なシステムを作って、超短期集中で、何かをマスターしようとする。
そのアメリカ人の合理性と、集中力の半端なさに、僕は戦慄を覚えたんだよ。
受講生はインディアナ大学で日本語を履修している学生が多かった。
超一流大学だから、優秀な学生が揃っていることもあって、2ヶ月後には皆相当力をつけていた。
アメリカ人が語学ベタなんていうのはあたらないんだな、そう思ったんだ。
今日はこのくらいで、明日はジョーダンメソッドについて話をしたい。
今日も最後まで読んでくれてありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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