プロレス&マーケティング第52戦 全日乗っ取り騒動、新日オカダ退団に見る組織の問題点。
この記事を読んで、あなたが得られるかも知れない利益:全日本プロレス乗っ取り騒動、新日本プロレスオカダ退団にみる、組織内部崩壊の兆しを分析する。全日の騒動は実は東スポが描いた壮大なアングル、という暴論。トップ画はhttps://qr1.jp/QfCBTS
プロレス進化論
プロレスの危機が叫ばれつつも、土俵際で持ちこたえるそのしぶとさに、進化論で有名なダーウィンの名言を重ね合わせることがあります。
オカダ退団で揺れる新日本プロレスという組織を考えれば、まさに新日本プロレスは、団体の危機に際して、常に変化をして生き延びてきました。
旗揚げ戦で猪木がカール・ゴッチと相まみえ、ストロングな正統派路線と思いきや、インドの狂虎タイガー・ジェット・シンとの抗争で「社会派三面記事路線」にかじを切ったり、UWFのムーブメントでは「潰し」たり、猪木vsアリで「プロレスを超え」たり、すべて猪木一流の時代の変化を目ざとくつかみ、対応してきたリーダーシップのなせるわざです。
変化に対応する局面には、常にそこに外敵がいました。
それはライバル団体とそして、世間です。
ライバル団体とは、ジャイアント馬場率いる全日本プロレスでした。
タイガー・ジェット・シンもカネとコネにモノをいわせて強豪外人を大挙連れて王道のプロレスを歩む全日本プロレスへの対抗意識でした。
「ロープに飛ぶプロレスはインチキだ」と猪木を挑発し、プロレスの刷新を求める新興勢力UWFはエリミネーションマッチで駆逐し、対抗戦でとどめを刺しました。
プロレス最大の天敵は、いつも世間です。
世間はプロレスが隆盛になっていくほど、世間のバッシングはひどくなる傾向にあります。
アリ戦を決行したのは、世間のやれショーだの、八百長だのの、ぐうの音も出ない口封じをするためでした。
敵は内部にあり
しかし、本当の敵は内部にあります。
東スポ1月21日号には、こんなセンセーショナルな見出しが踊りました
「全日本乗っ取り騒動、選手、スタッフが警戒 黒幕の正体」。
ヨシタツ、ブラックめんそーれ、石川修司等の離脱の背後には、内部でそれを画策している人物がいるという指摘です。
1月20日付け同紙は一面で「スクープ、オカダ新日退団」を報じています。
組織は外部からの攻撃には一枚岩になって結束し、これを乗り切りますが、従業員の離脱等内部からの反乱は、根深い問題が潜んでいることが常です。
メジャー団体の問題点とは
オカダ退団の真相は、オカダ自身が、1月11日の東スポのインタビューで答えているこの発言で明らかです。
要するに若手にチャンスを与えるために、自ら身を引いたのです。
ってそんなわけねえだろ、AEWもしくはWWEから声がかかったんだろうよ、中邑真輔がWWEに引っこ抜かれたように、と事情通のあなたは反論するでしょう。
いかにも、ですが、熱狂的なオカダファンはある事実に耐えられません。
それは、IWGP王者のオカダが、never6人タッグ王座についていることです。
職業に貴賤なしですが、プロレスのタイトルにはあります。
いや、昔の大木金太郎の保持していたアジアシングル王座なんて、NWA世界王座と遜色ないと思うんですが、今のタイトルは由緒も権威もへったくれもないので、あえてこれは暴言じゃないと思うんです。
IWGPとNeverは、雲泥の差ですよ。
オカダが気の毒です。
オカダ本人が何よりも、それを感じているでしょう。
どのタイトルを保持しているかは、その選手を会社がどう評価しているかを物語っています。
オカダは当然面白くないでしょうし、プライドはズタズタ、堪忍袋の緒が切れたのです。
今の新日本プロレスの組織の問題点は、選手のキャリア戦略が不在なことです。
先日SANADAについて論じましたが、考えてみれば、SANADAの問題は彼自身の問題ではなく、組織の問題なのです。
SANADAをどういうポジションにつけて、どういうキャラを作り上げて、どう引退させ、引退後のプランも考える、いわゆるサラリーマン社会で当たり前の、キャリアプランを作るべきなのです。
このままではSANADAもオカダと同じ運命をたどるでしょう。
全日本プロレス騒動の真相
いやあ、最近久しぶりに東スポが面白かったですよ。
すあま、いや諏訪魔が東スポの一面で「全日本プロレスを乗っ取ろうとしてるやつがいる!」なんて吠えたんです。
そして最近は連日「全日乗っ取り」関連のニュースが東スポ紙面を飾ってます。
昭和のプロレスファンならワクワクする展開、というか、試合じゃ全然面白くないから、こっちのほうがずっとおもしれえや、という感じではないでしょうか。
忘れていたプロレスの魅力、つまり、スキャンダル、です。
どうもこれって、東スポと全日本プロレスがタッグを組んで「やらせ」てるんじゃないかなあ。
黒幕はサイモン猪木氏だ、いや福田社長だ、いや福田社長に助言するアドバイザーの某だ、とか、かまびすしくて、面白い、いや正直、全日本プロレスのマット上よりエキサイトさせてくれます。
乱暴なモノいいですが、だから、今回の全日本プロレスの内紛は、プロレス的ないわゆるアングルで、業界全体に刺激を与えようとする東スポの深謀遠慮じゃないかと思うんですよ。
いちいち言わないけれど、東スポほど業界の発展を真剣に考えているメディアはなく、逆にこんだけのカンフル剤を打たなきゃならないくらい、プロレスは冷え込んでいる、とも言えるのです。
最後にマーケティング的にまとめるとこうなります。
プロレスにおけるマーケティングとは、選手を活かすことです。
新日本プロレスは、残念ながら、それが出来てないと言わざるを得ないですね。
野呂 一郎
清和大学教授
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