モラル欠如のTikTok マーケティングのあやうさ。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:Tik tokの勢いが止まらないのはなぜか。ミレニアルズ、ゼネレーションZにばかりフォーカスするマーケティングの危険性。マーケティングの二面性。
子どもたちに刺さる悪魔の刺激
今日の問題提起は、倫理の問題です。企業は儲かれば何をしてもいいのか、ということです。
このnoteで私は盛んにマーケティングは倫理の時代に入った、と力説しています。
いちいちそれは振り返りませんが、その象徴的な現象が、消費者のプライバシー情報を勝手に使うことができなくなっている現実であり、13歳以下の子供にSNSを使わせないような圧力が社会に出てきたことです。
しかし、一方で消費者は感覚的な刺激に弱いのも一面の事実です。
マーケティング用語にシズル感というのがあります。
シズルとは(sizzleジュージューという音)美味しそうなステーキの写真や動画のように、「それを見た消費者が即購入したがるような見てくれ」のことです。
楽しそうな、美味しそうな、やってみたくなるようなヴィジュアル、これはすべて広い意味での”シズル”です。
それをオンラインで最高に上手に表現したのが、Tik tokです。
15秒の動画だからつい見てしまう。
結構面白いと感じるのは、時間の損失を覚えないからです。
何と言っても15秒ですからね。
動画は人間の動くものに興味があるという本能をおさえています。
結果的に、Tik tokは現代における最高のシズルを実現しているんです。
意図的か偶然か、結果的に時短思考、エモさにからっきし弱い現代のゼネレーションZ、ミレニアルズ世代に刺さる最高の作品になったのです。
Tik tokの強さ
2021年に最もダウンロードされたソフトが、Tik tokです。
ユーザー数は10億を超えます。それでもフェイスブックやインスタグラムのユーザー数には劣るものの、ユーザーの熱に関しては完全に逆転しています。
モバイル関係の調査会社Data.ai社によると、一ヶ月の平均視聴時間を比べるとインスタグラムが8時間、フェイスブックが16時間に対して、TikTok は29時間です。(2022年調べ)
BusinessWeek2022年6月27日号(P16-18)は、「TikTok が金儲けマシーンに。TikTok turns on the money machine 」のタイトルで、企業がいかにTikTok を広告宣伝戦略の中心に位置づけているかを報じています。
この記事を読むと、数字はないものの、企業からのTikTok がいかにマーケティング戦略において、頼りにしているかが伝わってきます。例えばこんな声です。
ユーザーフレンドリーという強さ
結局ね、僕が思うには、インスタとかTikTok といった動画SNSの収益エンジンって、スターユーザー、つまりフォロワーを100万人単位でもっているインフルエンサーがどれくらいいるか、ってことなんだと思うんです。
TikTok はそこをしっかり抑えていて、新しいタレントを発掘するためにファンド(資金提供)を作っています。
BusinessWeekはタレント・ウォー(talent war 新しい才能を持ったクリエータ育成競争)などと形容していますが、インスタはただこのシステムを真似するだけです。
そもそもインスタは、15秒動画も、Reelsというシステムを作ってパクっています。
インフルエンサーがなぜ、TikTok を離れないか。
それは使い勝手がいいからです。
具体的に言うと少ない投資(労力、資金)で、大きな成果(フォロワー数、視聴数)を挙げられるからです。
あるTikTok ユーザーは、「インスタの半分の労力で、倍儲かる」とうそぶいています。
いかにシステムとして、ユーザーフレンドリーになることができるか、これが戦略の要ですが、そんなこともメタ(インスタ母体)はわからなくなっちゃってるんでしょうか。
中国が凄いのか、アメリカが弱いのか
TikTok に関して、こういうことを言うのは初めてじゃないけれども、まだ言い足りないんです。
なぜ、SNSの祖であるフェイスブック(現メタ)が、中国企業に勝てないんだよ。
そして、もう一つは、企業の倫理のなさです。
子どもたちがたくさん使っているから、マーケティングに都合がいいんだよ、と恥ずかしげもなくTikTok を使う企業。
それでいいのですか、と問いたい。
僕が懸念するのは、子どもたちの情操、教育面です。
やっぱり色んな意味で知識や自分で考える力もなく、刺激に脆弱なティーンたちに無制限に動画SNSをやらせるのは、どうなのかということです。
あれだけフェイスブック(orインスタ)が、子供用のSNSを創ろうとして国中で叩かれたのに、なぜTikTok がおとがめなしなのか。
ちょっと謎です。
予言めいたことを言うと、でも、TikTok はこのままでは行きませんよ。必ず・・・・。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー