今年は紙の新聞、雑誌が復権する
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:現代社会におけるデータの意味。紙の雑誌が今年かならず来る理由。経験価値の時代。
ひろゆきに反論する
ひろゆきは、そんなデータどこにあるの、とよく言います。
しかし、データとは所詮過去の数字に過ぎません。この秒単位で変化する現代で、どのくらい意味があるのでしょう。
別に僕は賢者じゃありませんけれど、次のデータに僕はある兆候をみたんです。
このデータは、ひろゆきが納得するような普遍的なデータではありません。
あるイギリスの出版社のデータです。
その出版社はフューチャー(Future)といい、いろんな紙の雑誌を出しています。
マリ・クレール(Marie Claire)、PCギター(PC Gamer)、ギタープレイヤー(Guitar Player)、 ホームズアンドガーデンズ(Homes & Gardens)などです。
数年前までは紙媒体離れで赤字すれすれの経営だったのが、2021年にには1億4千ポンド、ドルに直せば1億9400万ドル(約200億円)の売上で、収益率は23%という記録的な数字を出したのです。(The Wall Street Journalの2021年8月12日号)
記事はいろいろ分析をしています。
一つは、もちろんパンデミックでインドアでの趣味で時間を過ごす人が増えて、紙の雑誌もその恩恵を受けたんじゃないかということですよね。
でも、コロナが収束すれば、みんなデジタルに帰るから、紙の雑誌が売れてるのはそのタイムラグに訪れたつかの間の幸せ、そんなものだという見方が大勢である、とも記事は書いています。
僕は、そうじゃなくて、紙の雑誌の復権の兆候と見ます。
その理由は、人々が紙の雑誌の芸術性に気がつき、改めてその良さに気づいたんじゃないか、と思うからです。
例えばマリ・クレールの表紙ですが、好みは別としてやっぱりアート感はあると思うんですよ。
人々は表紙を見てそれを手に取る、五感で何かを感じ取るというプロセスがそこにはありますよね。
こういう良さを、コロナは改めて気づかせてくれたのじゃないか。
デジタルは雑誌の芸術性を殺していると思います。表紙には作る方も、見る方もウェイトを置かないでしょう。
表紙は社会に必要な”スキャンダル”の媒体
そして、雑誌の表紙は、社会的な存在でもあります。そこに登場する人物のチョイス、写すアングル、そんなものが社会に大きな影響を与えてきました。
プロレスを例に取ると、週プロ(週刊プロレス)の表紙は、プロレス界という社会に大きな影響を今も与えて続けています。
プロレスラーにとって、週プロの表紙になることは、大変な栄誉であり、それをレスラー人生の目標としているレスラーも珍しくありません。ファンも、今週号の表紙は誰だったかを話題にします。
しかし、デジタルに移行した現代では、雑誌の表紙がニュースになることは、ほとんどなくなりました。
ところで雑誌の”社会性”というのは、時に”スキャンダル性”になります。この2つは同義と言ってもいい。
メディアがデジタルに移行すると、街で雑誌を買う人がいなくなり、プロレスファンも、タブロイド雑誌ファンも騒ぎようがありません。
人々は雑誌の表紙が媒介する”スキャンダル”に飢えているのです。
コロナ禍で、雑誌を手にとるようになった人々は、自分たちの内なるアートを求め、スキャンダルを求める気持ちに気がついたのです。
イギリスで紙雑誌が売れ始めたのは、紙復権の狼煙だ
そうじゃないっ!
そう僕は言いたいんです。
経営学的に理屈をつければ、「経験価値の時代」ということでしょうか。
経験価値とは、製品やサービスが醸し出す、ひとが五感で感じる魅力のことです。
デジタルは単に点なので、経験価値というプロセスは提供できません。
レイアウトという芸術&経験価値
雑誌が提供しているのは、表紙のデザインを愛でるとか、スキャンダルを巻き起こすだけではありません。
レイアウトも一つの経験価値です。文字の組み方、記事の大きさ、写真をつけるかつけないか。ここに読者は読みやすさという利便性を獲得するのです。
そして、読者はレイアウトから、新聞社の価値判断もみます。
これも経験価値だと言えましょう。デジタルでは、レイアウトはA4画面にテキストと写真の平坦な構図だけです。
僕はThe Wall Street Journalのデジタル版を今読んでるんですが、このレイアウトの単調さは、好きになれないですね。人間味が感じられないのです。そこに新聞社の感情が感じられないのです。
レイアウト一つで、人間って創り手の感情もわかるんだ、逆に言うとそんな発見もしました。
経営者よ、いま、動け。
今日僕が本当にいいたいのは、紙雑誌の復権とかいうことでなく、
たとえば、この記事を読んで「紙雑誌が来たな」と思ったら、
紙雑誌の逆襲キャンペーンをやりましょう。
紙媒体の雑誌の臨時結社を作って、新聞に全面広告です。
電車やバスにラッピング広告、です。
全関係者に説得力のあるデータなんて待ってたら、時代が変わっちゃいますよ。
さて、明日は紙媒体マーケティングvsデジタルマーケティングについて、話をしてみるつもりです。
今日も最後までお読み頂きありがとうございました。
ではまた明日、あなたにお目にかかることを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー