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プロレス&マーケティング第19戦 まだ生きている国際プロレスの”呪い”

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:プロレスのポスターという型についての考察。プロレスの新マーケティング理論「AAの法則」とは何か。トップ画はhttps://www.google.com/url?sa=i&url

国際プロレスが生きていた

このあいだ、所用で函館に行ったんです。

空港の近くの街を歩いていた時でした。

古びた電柱に貼ってある、あるものが目を引いたんです。

目を引いたというよりも、語りかけてきたんです。

「もし・・・あなた・・」と。

それは、往年の国際プロレスの興行を知らせるポスターでした。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=400DRUN

これはその時の実物ではないのですが、間違いなく今から半世紀ほど前に、この地で行われた国際プロレスの興行を知らせるものでした。

そのポスターは電柱にのりで貼ってあり、ところどころ破れて剥がれ、それでも逆エビをかけて憤怒の表情のラッシャー木村は、こちらを見つめています。

「国際プロレスを、俺を忘れないでくれよ」という声が聞こえたような気がしました。

プロレスを大衆娯楽にしたのは、かつて街角の電柱に雑然と貼られていた、ポスターという”型”ではないでしょうか。

フェティシズムを掻き立てるポスター

プロレスのポスターは、大型のカレンダーほどの大きさで、その興行に出場するレスラーの写真がレイアウトされています。

顔だけのものもあり、ファイティングポーズを取っている外人レスラーもいます。

プロレスのポスターは、プロレスという小宇宙であり、一つの芸術作品ともいえるでしょう。

グッズとして今も変わらぬ人気を誇っているのは、プロレスという特殊概念とプロレスラーという存在の持つ、色気(オーラ)のせいなのかもしれません。

その恋愛にも似た関係は、プロレスファンとプロレスラーだけの間のみに、存在しているものではあるのですが。

フェティシズムということが言われます。

いわば所有したい、自分のものにしたい欲望です。

ポスターはプロレスグッズの中でも、非常にプロレスファンのフェティシズムを掻き立てるのです。

プロレス・ポスターとは呪いである

プロレスが嫌いな人は、ふん、あんなモノ、芸術作品どころか適当に、当日出番のプロレス座の役者を並べてるだけだろ、雑然と、とおっしゃいます。

しかし、それは違うのです。

ポスター一つ巡って、骨肉の争いが展開されることもあるという事実を、我々は知らないのです。

ポスターに映る写真は、レスラーの格(人気、実力、知名度)に比例して大きさが違います。

下のポスターは、1980年の国際プロレスのものですが、右にエースのラッシャー木村が配置され、左には木村のIWA世界王座に挑戦する大木金太郎がいます。

おや、その間にスパイク・ヒューバーというマニアでも聞き慣れない外人の写真が。

おお、その下には”放浪の狼”ジプシー・ジョーが。グレート草津、マイティ井上、アニマル浜口は顔だけです。

この写真の大きさと位置関係は、選手の格を示しているとはいえ、レスラーはときに非常に神経を尖らせて、「なんで俺の写真があいつより小さいんだ」となるのです。

このポスターも、大木金太郎が、なぜ俺が右側じゃないんだ、とクレームを入れたとか入れなかったとか。

担当者が「いや大木さん、威厳のあるガウンを着ている大木さんのほうが上ですから」と、釈明した、そんな話があっても不思議ではないのです。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3ytvK7f

ポスターが、プロレスファンを引き付けてやまないのは、プロレスのポスターの裏側に渦を巻いている憎悪やら嫉妬やら様々な感情が、ファンに伝わるからではないでしょうか。

そうです、いつも言っている「呪い」です。

ポスター追放がプロレスの衰退を招いた

現在、プロレスのポスターはほとんど見られなくなりました。

それは電柱に貼るポスターへの、風当たりが強くなったからです。

もともと条例でポスターをどこかに勝手に貼ったりするのは、禁止のはずでしたが、昔はおおらかだったのです。

そういうことがやかましくなり、プロレス界も社会的な存在であることを意識させられる世情になり、自粛せざるを得なくなりました。

人が寝静まった夜中にポスター貼りをするバイトを動員するカネも不自由になった団体側の財政事情もあるでしょう。

ポスターが消えると同時に、プロレスも消えてしまったのです。

マーケティングの法則とプロレスポスター

マーケティングの基礎的な理論に、アイドマの法則、というのがあります。

それは、消費者が広告を認知してから、購買までの段階を説明したものです。

1.Attention(注意)
2.Interest(興味)
3.Desire(欲求)
4.Memory(記憶)
5.Action(行動)

この一連のプロセスの頭文字を取ったものが、アイドマ(AIDMA)の法則と呼ばれるものです。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3LcTzI4

要するに消費者の注意を引いて、興味をもたせれば、買いたい欲求が起こり、それを覚えていて、最後は買うという行動に出る、というわけです。

プロレスのポスターはアイドマの法則にかなう、というわけですね。

僕は、プロレスのポスターは、このアイドマの5つのプロセスを高速(光速)で回す働きがあると睨んでるんですよ。

なぜならば、先に申し上げたプロレスのポスターは、そのサイズ、様式、背後の目に見えないストーリーという3つの要素で構成された”型”を持っているから、プロレスファンは、それを遠くで見ただけでも「おう、プロレスやるのか、じゃあ行こう」となるからです。

要するに「注意」→「行動」がダイレクトなり、興味、欲求、記憶のプロレスをぶっ飛ばしちゃうんですよ。

プロレス・ポスターという型が、合理的というゆえんであります。

今日のプロレス&マーケティングを他業種に応用する

1.即売会、講演会、演奏会、キャンペーンのお知らせのポスターを創ろう

もちろん、プロレス的に(笑)

主催者のあなた側に一人、ゲスト側に一人、スターがいると、対決の体を生み出し、プロレスになる。

2.プロレス流アイドマの法則を完成せよ

プロレス流とはAAの法則となる。Atttention(注意を引いて)→Action(買わせる)だ。

それはジャンルを確立し、それに強烈な固定ファンを付けることが前提になる。

3.チラシやポスターは紛糾しながら創れ

感情のぶつかりあい、激高するやり取り、ときに喧嘩して造り上げた作品には呪いがかかり、それが色気となって見るものに何かを感じさせる。

4.フェティシズムを掻き立てるグッズを創れ

例えば、ねこっぱちさんが今日の演奏で使ったばかりのピック、とか。

ファンは自分の所有欲を隠そうとします。それをグッズとしてオープンにして売ってあげましょう。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

じゃあ、また明日お目にかかりましょう。

野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー


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