2023年はスターバックスの分水嶺。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:スターバックスを取り囲む不確実性。スターバックスの長期戦略とは。スターバックス労働組合をめぐる騒動解説。スターバックスの勝機はどこに?
米レストラン業界の現状
米レストラン業界に逆風が吹いています。
労働力不足、製品値上げ、消費者の購買意欲の減退に加え、昨年スターバックスで勃発した労組結成の動きが業界全体に波及しているのも、業界に暗い影を落としています。
スターバックスも例外ではありません。
スターバックス最大の市場である北米マーケットでは、お客さんが減ってきています。特に不要不急な消費である外食は動きが鈍いです。
今日はスターバックスのこれから、を占おうと思います。
スターバックスの現在地
昨年4月1日に、創業者のシュルツ氏から世界最大のコーヒーチェーンの舵取りを任された、新CEOのラクスマン・ナラシンハン(Laxman Narasimhan)さん。
他業種から来たので、コーヒーチェーンのオペレーションは素人です。
スターバックスは投資家からの期待度も高いので、プレッシャーがかかっています。
ナラシマンさんは、シュルツ氏からスターバックスの長期戦略を任されています。
それは、同社の成長のカギを握る、北米市場と中国市場を拡大することです。
しかし、現在その可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
スターバックスを取り巻く不確実性
戦争で世界的な供給が不安定です。特に農作物であるコーヒーは価格変動がつきものです。
アメリカの消費者の動きもはかばかしくありません。
ミシガン大学による消費者調査では60%の消費者が、インフレによる価格高騰で消費を控えています。
スターバックスはかろうじて、「なんとか手が届くプチぜいたく(affordable luxury)」のポジションにとどまっている、これが現状なのです。
冒頭でもふれましたが、米レストラン業界に勃発した労組結成の流れも、スターバックスに有利とはいえません。
同社の9200の拠点のうち260店が、投票で労組結成に前向きな姿勢を示しています。
正式な組織ではないにせよ、スターバックスの労組結成の動きは、従業員の不満がかつてなく高まったことによるものです。
スタッフ不足で労働者の負担が大きいこと、十分でない報酬、不安定なワークスケジュール、収益の7割を会社が確保していること、これらを解決しない限り、労組vs企業の不協和音はなくならないでしょう。
スターバックス反転攻勢はあるのか
BusinessWeek2023年1月16日号(タイトル:Starbucks could really use some caffeine this yearスターバックスは今年こそ本当にカフェインを使うかも)では、2つの可能性を示唆しています。
一つはサービスの迅速化、もう一つはバリスタの作業を軽減することです。
記事には具体的な方法は書いてありませんが、先日書いたトヨタの記事に習えば、要するにカイゼンすればいいわけです。
工場とスターバックスのコーヒー一杯を作る作業場の論理はまったく同じです。
導線をいかに効率化するか、そしてできるだけ機械化を進めることです。
コーヒーブレンダー(coffee blender )、コーヒーメイカー(coffee brewer)などに投資をして機械化を進めればいいと思います。
スタバの躍進はやはり人にかかってる
コーヒーって、違法薬物ではないが、やっぱり習慣性いや中毒性がありますよね。
その意味で、コーヒーは絶対に人類の生活に欠かせないものです。
コーヒーは文化でもあります。
スタバはコーヒー文化にスタバという文化を創造しました。
その意味でコーヒーとはまた違ったジャンルを創ってしまったと言ってもいい。
このインフレでもスタバはなんとか、手が届く贅沢品としての価値を認められています。
スタバ文化が確立したゆえ、といってもいいでしょう。
やっぱりネックは2つでしょう。一つは中国でのマーケティング、そして米国での労組対応です。
中国市場はアメリカよりはるかに大きいのに、店舗数はアメリカ15800に対して中国は8000に過ぎません。
ゼロコロナ政策で、中国スタバが影響を受けてないわけがありません。
しかし、コロナ政策一つ取っただけでも、中国政府の朝令暮改ぶりがわかりました。
長期の中国拡大戦略を掲げるスタバですが、問題はどう中国政府とおりあいをつけるかということでしょう。
労組問題については、これは中国問題よりも、もっと真剣に対処しなくてはなりません。
お膝元だからです。
重要な事実があります。
それはThe National Labor Relations Board (全米労働関係評議会)が、労働者との団交を拒否した件を、労働法違反と認定したことです。
スターバックスの労組運動は、これからも活発化していきます。
スターバックスの発展は、中国政府および米国内の従業員と、どう付き合っていくかにかかっていると言えるでしょう。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
じゃあ、また明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー