陸軍中野学校に学ぶ「嘘と誠」(高校生向け)
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:陸軍中野学校その理念と実践。現代最重要人材としての”スパイ”。なぜ、スパイに「誠」が必要なのか。現代にどうスパイを活かすか。トップ画はhttps://qr.quel.jp/pv.php?b=3eMmuF0
現代最強の人材としてのスパイ
今日、人事労務いや、今は人的資源管理っていうんだけれど、その授業をやった。
テーマは「最強の人材としてのスパイ」。
ビデオ教材は、昔テレビ番組で特集した「陸軍中野学校」を使ったよ。
僕がこの授業で言いたかったことは、ただ一つ「情報をとることの重要性」だ。
経営学もつまるところ、そこに落ち着く。
あらゆる意思決定は、情報がなくてはできないからだ。
スパイは情報をとることが仕事だ。
しかし、その情報は国家の存亡がかかっている。
陸軍中野学校流情報のとりかた
ビデオによれば、こうだ
1. 一次情報をおろそかにしない
一次情報とは、新聞や雑誌ですでに公表されている情報のことだ。
各国に派遣された中野学校の精鋭たちはまず、現地の新聞に目を通すことを日課とした。
スパイというと秘密情報の収集を生業とするイメージだが、一次情報の習得は基本動作とでも言うべきもので、これをおろそかにしては何も始まらない。
2. 見たものを数値に置き換える
例えば、現地の鉄道に乗って、車窓から信号機、踏切の数、線路の形状などから、おおよその鉄路の長さを把握する。
3. 現地人と結婚する
夫婦でいると、一般人が入れない場所にも比較的怪しまれずに入れる。
怪しまれないことが、情報収集活動をスムーズにする。
スパイになる資質を持った人物だ、女性を口説くなんて朝飯前だろう。
4. 軍人らしさを消すこと
いかにも軍人という体は、情報収集に適さない。
いうまでもなく警戒されるからだ。
中野学校では、スパイ候補生たちは髪を長くし、軍服でなく背広を着て、敬礼もしなかった。
極力一般人になりきることで、情報収集活動が格段にやりやすくなるのだ。
5. 注意力と記憶力を鍛える
ビデオではこんなシーンがあった。
スパイとしての資質をみるための、面接試験である。
目の前のモノが散乱している机にいきなり布をかけて、「さあ、この机の上に何があったか、言ってみろ」と試験官が質問する。
無造作に転がっていたタバコの箱。銘柄まで言い当てないと合格はない。
情報収集には注意力と記憶力がとりわけ重要なのだ。
6.最新テクノロジーに精通せよ
ビデオは当時の様々な最新技術が登場する。
ペンの形をしたピストル。暗号解読技術など。
いつの時代も、常に最新のテクノロジーに親しみ、それを希求する姿勢がないと重要な情報はつかめまい。
情報収集より大切なこと
それは「誠|《まこと》」であるという。
どんな非道なことをしても、国歌の命運を左右する情報をとるのがスパイの仕事のはず。
そもそもスパイ活動というのは、非合法な情報収集活動ではなかったか、それがマコトとは笑わせる。まことちゃんかよ、とキミは笑うだろう。
僕もこのビデオを見るまでは、そう思った。
驚いたことに、しかし、このマコトという言葉が、陸軍中野学校の精神的支柱だというのだ。
どういうことか。
ビデオはインドの独立運動を写した。
イギリスの植民地という隷属から解き放たれ、真の独立と自由を取り戻すのだ、と民衆が蜂起している。
そこには中野学校のスパイが、笑顔で映り込んでいる。
インドに独立をたきつけて、イギリスと喧嘩させ、結果日本が間接的にイギリスに勝利するという青写真である。
ここにマコトがある、というのはなぜか。
それは嘘をついて情報をとることはできるが、嘘をついて人を動かすことはできない、という陸軍中野学校の信念なのだ。
インド独立運動には心から賛同しているし、損も得もなくインドを応援している。
そのこころがあるから、インド独立を応援するのである。
それが、誠、という意味なのだ。
情報をゲットするためには嘘を、人を動かすには誠を使え、なんて絵に書いたようなダブスタ(ダブルスタンダード)じゃんか、と君はいうかもしれない。
でも、後段の部分はあっている、としか言いようがない。
陸軍中野学校から何を学ぶか
キミは陸軍中野学校から何を学ぶだろうか。
高校生のキミに、僕はあえてこういいたいな。
「時代に対応する力」だ、と。
畢竟、陸軍中野学校を卒業したスパイの力とは、
「時代に適応する力」だと考える。
例えば陸軍中野学校出身者が、今どこかの国のスパイであるとしたら、
ネットを使って、ニセ情報をどう拡散させるかに血道を上げるだろう。
つかうSNSはTikTok か、インスタグラムか、それともあえてのフェイスブックか。標的は誰か、どうやってモデレーター(ニセ情報排除係)を篭絡するか、などなど、スパイのスキルをSNSにニセ情報を流すことに一点集中するだろう。
これこそが、国歌を転覆させるもっともリスクが少なく、コストパフォーマンスが大きい手法だからだ。
また機会があれば、スパイの研究をキミと続けよう。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー