イーロン・マスクの新ビジネスモデル=政治✕ビジネスの是非を問う。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:イーロン・マスク氏に13人目のお子さんが誕生した模様。しかし、プライベートなことでもビジネスに結びつけるのがイーロン・マスク流。同時に政治的利益もプライバシーに結びつけ、政治の力も利用してビジネスを拡大するのが彼のやり方だ。SNSの時代が生んだ新しいビジネスモデル=ビジネス✕政治を検証する。トップ画はhttps://x.gd/Bd1vL
マスク氏の”出産商法”とは
「子供を持つことは、未来への一票を投じることである」
「子供を持つことは、誰でもできる最も楽観的な行いである」
最近、イーロン・マスク氏が放った言葉ですが、日本人のあなたならば、この言葉には色めき立つはずです。
まず女性を産む性ととらえていること、そして生殖ということに関してのデリケートで時にネガティブな側面を考えてないこと、この2つに違和感を感じるはずです。
でもマスクさんは、わざと言っているんですよ。
3つの利益があるからです。
何でもビジネスにするマスク氏の横暴
スター経営者が、マスコミのスポットライトを浴びて、それがビジネスにいい影響をもたらす事例は、別に今始まったことではありません。
いまだってメタのザッカーバーグ氏は同社のアイコンですし、ITで言えばマイクロソフトの創立者ビル・ゲイツ、アップルのスティーブ・ジョブズ、古くはGE(ゼネラル・エレクトリック社)のアイアコッカさんなど、枚挙にいとまがないですよね。
しかし、イーロン・マスクがその他と際立って違うのは、SNSを駆使して自分の政治的な主張をすることです。
その究極と言えるのが、ツイッター社を買収し、手に入れたそのプラットフォームのシステムを使い、堂々と共和党支持を謳い上げ、トランプ礼賛をぶち上げていることです。
SNSは公共のメディアであり、特定の個人が自分の利益を追求することは、禁じてしかるべきです。
旧ツイッターが、トランプのアカウントを停止したことは、ITプラットフォーマーとしての良識といわれました。
しかし、ツイッターを買い取ってXと名付け、マスク氏は堂々と政治活動を行っているわけです。
巨大SNSを取り締まる法律が整備されてないことが原因ですが、アメリカ政府もグーグル、アップル、メタ、アマゾンは自国に巨大なカネをもたらす存在なので、目こぼしをしているのでしょう。
政治✕ビジネスの新モデルは是か非か
マスク氏のほんとの狙いはどこにあるのでしょう。
テスラのクルマで世界の道路を一杯にし、スペースXで地球外にあらたなビジネス拠点を設けるというビジネス野心を満足させたいのでしょうか。
それとも、伝統的で保守的な価値観を大事にする共和党に、どうしても政権を取ってもらいたいのでしょうか。
政治的な野心に見えるものは、実は全部ビジネスのための道具、なのかもしれません。
しかし、このマスク流ビジネスモデルの背後にあるのは、政治的分断です。
それはアメリカの民主党vs共和党の図式にとどまらず、俗な言葉で言えばリベラルvs守旧派、左翼vs右翼という対立構造と言っていいでしょう。
しかし、このnoteで僕が繰り返し言ってきたことは、企業も消費者そして世間から、政治的立場をはっきりさせろというプレッシャーをかけられている、ということです。
現実に、いまアメリカでは「民主党支持の企業以外からは買わない」、といった層がでてきているのです。
政治とビジネスの距離が限りなく縮まっている時代、企業とリーダーのあり方が問われています。
野呂 一郎
清和大学教授