日本のGDPは実はもっと大きい。でもその分あなたは不幸だ。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:女性の労働をカウントしないGDP(国民総生産)は男性主導社会の象徴という批判。GDPは経済の負の部分を意図的に無視した、環境の時代に逆行する指標だという指弾。日本の”感情労働”はGDPにカウントされない分、日本の真のGDPは高いが、それは経済でも何でもないという皮肉。トップ図はhttps://qr.quel.jp/pv.php?b=3IM0qVG
GDPはそもそも女性差別的な指標だ
参院選でにわかにスポットライトがあたったのが、日本の女性議員の少なさです。
結果として、女性議員が史上最も多く誕生したということですが、この問題はそもそも、日本だけじゃなく世界が女性を差別しているからなんです。
えっ?ノルウェーやスウェーデンじゃ、女性が首相なのを知らないのかって?
いや、それは知ってますけれど、それをぶっ飛ばすようなもっと明らかな証拠があるんですよ。
GDP(国民総生産)です。
世界共通の経済指標であるGDP、こそが女性差別の最も明らかな証拠だというのです。
なぜならば、GDPは女性の労働が反映されてないから、です。
GDPという経済を測る世界の代表的な指標自体が、男の労働しかみとめてない、のです。
これはもちろん僕の主張ではありません。
ニュージーランドで初の女性議員になった、マリリン・ウォーリングさん(Marilyn Waring)が1988年に「もし女性がカウントされていたらIf Woman Counted」という本で問題提起したのです。
売買という商業活動で取引された年間の総量を勘定する指標がGDPですが、女性が子育てをしたり、料理をしたり、家事をしたりという労働はカウントされていません。
女性が現実的に頼られることが多い、家事、チャイルドケア、老人介護等々は労働の再生産に必要不可欠であり、明らかに経済的有用性があります。
しかしほとんどの場合、その労働には対価が支払われず、GDPに反映されません。
ウォーリングさんは、この指標としてのGDPは意図的に、制度的に女性を差別している、そう世界に向けて告発したのです。
GDP、もう一つの欠陥
通常の企業アカウンティングには、depriciation (経年劣化による価値の下落=減価償却)という概念がありますが、一国のアカウンティングにほかならないGDPでは、地球の劣化はカウントされていません。
森林伐採という経済活動は、木材が何本売れたということでGDPに数えられますが、かけがえのない自然という資源が消費されたことは、GDPには反映されないのです。
企業が公害を撒き散らしても、GDPはあくまでモノが売れた金額を計算するだけで、生物多様性が失われたり、国民の健康が損なわれたりという都合の悪い事実は、無視されます。
一国において売買された取引のすべてと、現実に起こった経済活動がイコールではないのです。
日本のGDPに反映されてない”経済活動”とは
女性差別もそうですが、「何でもかんでも金銭的支払いがなされないと、経済活動とみなされない」GDPのおかしさ、ということが、私の今日の主張なんですが、みなさん、なにか思い当たりませんか。
日本です。
日本のGDPは、もっと大きいはずです。
サービス残業がカウントされてないでしょ、飲み会のつきあいも、社内運動会も、あなたがいつもやってる他部門のヘルプだって、反映されてないはずですよ。
それらがきちんと計算されていたら、日本のGDPははるかに実際より上じゃないかな。
もうひとつあります。
それはその”タダ働き”が何の役にもたってないということです。
最近、経営学で「感情労働」という概念がさかんに言われます。
非常に気を使う電話オペレーターとか、苦情対応の仕事とか、をイメージしていただければおわかりかと思います。
しかし、この記事を読んでくれてるあなただって、感情労働に等しいことを日々やらされていて、それはGDPにも反映されないし、給与にも反映されないのではないでしょうか。
問題はそのGDPにカウントされない余計な仕事、上司への気配り、組織内のややこしい色々、そんなのが多すぎて、あなたを疲弊させて、なにか新しいことにチャレンジする余裕を奪ってることです。
人間関係にまつわることで、余計に気を使い、それどころか時間もカネも身体も使って、あなたをクタクタにしているその仕事は、ボーナスや昇進に反映されておらず、GDPからも抜け落ちているのです。
でも、それはいいや。
その”がんばり”が会社を、日本をよくしているならば。
でもそんなことはないんですよ。
つきあい残業、上司の愚痴を聞くだけの飲み会、行きたくもない社内旅行、時代錯誤の運動会、あなたの心身を疲弊させているだけです。
日本全体の生産性を下げ、給与を上げてない元凶がそのよけいな”経済活動”なんです。
日本経済がアメリカに勝てない本当の理由
僕はアメリカで働いてみて、「これがアメリカの強さなんだな」と痛感したことがありました。
それは”日本独特の感情労働”からは自由だったことです。
その象徴が、夕方5時きっかりに仕事から開放されることです。
ふふ、あなたは夕方5時きっかりに帰ったことないでしょ。
かわいそうに日本人のサラリーマンたちは、この開放感を知らない。それが、明日の活力に結びつくことを知らない。
無理だよね、日本では。
アララ、今日は、「GDPは男社会の独裁の現れだよ、気がつけよ」、と女性の皆さんに警告しようとしたんですが、ちょっと別の主張になっちゃったな。
まあでもいいや。
今日の結論です。
今日は言いきってやった。(笑)
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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