「消滅可能性自治体問題」は知事の責任。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:日本の弱さは中央頼みの伝統的価値観、つまりお上だのみの風土だ。今盛んにテレビをにぎわしている「消滅可能性自治体」問題を国のせいにするな。地方のリーダーシップが今こそ求められている。アメリカの国vs州を引き合いに、地方自治の長はどうあるべきかを論じる。トップ画はhttps://qr1.jp/ZBfeaQ
消滅可能性自治体問題とは
民間組織の「人口戦略会議」が“消滅する可能性がある自治体”を公表しました。
消滅可能性自治体の定義は、2050年までに子どもを産む中心の世代となる20歳から39歳の女性が"半数以下"となる自治体のことだそうです。
さて、気になるのは某知事の「これは国家的重大問題であり、国がなんとかしろ」との発言です。
僕はここに日本の弱さを見るのです。
つい最近もnoteで主張したのですが、
地方公共団体の責任者がそんなことを言っているから、日本はダメなんです。
アメリカがコロナを乗り切ったのは、ひとえに地方、つまり州が中央を頼らずに、知事が独自の判断と勇気と行動力で頑張ったからです。
例えばニューヨーク州知事のクオモさん(Andrew Cuomo)は、連邦政府がコロナ検査キットの導入に手間どっていた時、国に先駆けこれを実施、結果的にコロナ最大の震源地ニューヨークで、拡大を阻止しました。
ペンシルベニア州知事のトム・ウルフさん(Tom Wolf)は、コロナの真っ只中で全米でロックダウンがディフォルト(最大公約数的対応)だったのを、あらゆる業種からのリアルタイム情報を仕入れ、一部の業種のロックダウンを行わず、州経済の悪化を防ぎ、州民の生活を守りました。
州と県は違うよ、と言われそうですが、僕が言いたいのは、「地域のことは地域が一番知っているはずだろ、またそうじゃなきゃいけないだろ、地域愛はどうした!」ということです。
この問題で非常に示唆深いのは、米国でコロナロックダウンのさなかに発表されたニューヨーク・タイムズの記事Federalism and the lockdown(連邦中心主義とロックダウン)という考察です。
この記事のポイントは、州が連邦政府に対して持っている4つの優位性です。
原文の翻訳から離れて、俺流の解釈でその4つを並べてみましょう。
1.知事が地域の資源を知悉していること
コロナでどの競技場を病院に即改造できるかなどを、知っている。
2.知事が地域の弱点を知悉していること
例えばハブ空港の都市ならば、州在住以外の人々が感染をもたらすなどの知識がある。
3.知事がある種の独裁を行えること
先のクオモ知事。独断で政府ができないことをやった。
国家的危機に際しては、AIや統計を無視し、独断で行動することも必要。
4.知事が間違いを認め、訂正できること
先のウルフさん。
ペンシルベニア州もロックダウン推進派だったが、全業界から「俺達の業界はロックダウンいらね!」の大合唱に翻意、全面ロックダウンを辞めた。
バイデンではこうはいかないのだ。
国家リーダーは立場上、前言撤回はできない。
これらはそのまま、日本の県が国に対して持っている優位性と置き換えることができます。
県知事はよそ者でいい。
知事ってさあ、そこで生まれて、地盤を持っている人じゃなくてもいいよね。
僕が今日言ったことって、「地域愛」ってのもそうなんだけれど、「能力」ってこともあるよ。
地域愛って、身を挺して地域を守る責任感のことだよね。
それがあれば、地域出身者じゃなくてもいい。
大規模災害に備えて、実行プランをしっかり創れる人であれば、その土地出身者じゃなくてもいい。
実際、全部じゃないけれど、地方自治体の首長って、カネと権力しか興味がない手合が多かったと思う。
今更、パワハラとかセクハラとかやっているという、レベルの低さなんだよ。
防災対策なんて何もやらず、プロレスやってるってなんなんだよ!
県民の皆さんは、いいひとを自分からスカウトして立候補させるくらいでいいんじゃないか。
4つの優位をしっかり理解し、使い、県民の命と生活を守れる人ならば。
消滅時自体問題、だって、知事の責任だろ、そもそも4つの優位を持ってるんだから、まずは知事がイニシアチブを持って原案を出せよ!
そこで、「国にこうせい、ああせい」っていうのなら、筋が通るって。
途中で熱くなってタメ口になってしまい、ごめんなさい。
野呂 一郎
清和大学教授