尼崎市USBメモリー紛失事件はガゼだった?
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:情報の経済性の認識、セキュリティ、プライバシーについてあらためて日本が後進国だという事実。「カバンが見つかった」は実はガゼ、そのウラには国際的情報スパイ組織の暗躍がある、というまことしやかな話。
尼崎市USBデータ紛失はガゼ?
きのう話したよね、戦略って世間をだますこと、だって。
例の尼崎市の住民データが入ってたUSBメモリーが紛失して、入ってたカバンが見つかってっていうんだろ?
あれもだまし、だよ。
カイジのサブキャラ、利根川だったらこう言うだろう。
個人情報は抜き取られた?
国際的情報悪魔集団?
説明しよう。
というか、これもまた”カイジ”の福本伸行先生がすでに、カイジより名作の声も高い”金と銀”のなかで、主人公の銀さんに言わせている。
そうだ、銀さんは”カネより情報”が価値があることを、誰よりも理解していたのだ。
グーグルが、アマゾンが、フェイスブックが世界最大最強の企業になった理由は何か。
そうだ、情報だ。
情報を集めて自分のものにしたからだ。
巨大プラットフォーマーが直面する危機
しかし、昨日論じたトヨタや日産なんざよりも、世の中をだますことにかけては、奴らは天才だった。
タダで世界中から、個人情報をゲットしてそれをあらゆる金儲けに使ってきたんだ。
そんなことは、一言も言わずに、ね。
でも、企業が、政府がキミの情報を自由に奪って使う時代は、そろそろ終わりだ。
ニューヨーク・タイムズ2022年6月15日号は、この見出しではっきりとそう言っている。
「世界の国々が次々、デジタルデータの国境を構築している。More countries are building boundaries for digital data」
これまでは、あの巨大プラットフォーマー達は、なんの制限もなしに世界中からデジタル個人情報をタダで集め、それを加工し、売り飛ばし自分たちのビジネスをひたすら拡大してきた。
しかし、記事は、世界では個人情報に国境の垣根を作り、国家が管理する動きが急なことを報じている。
この動きを、ニューヨーク・タイムズは、「各国がデジタル主権(digital sovereignty)を主張し始めた」と表現している。
ニューヨーク・タイムズ紙は記事の冒頭で、こう述べている。
事実を冷静に書いているだけだが、いかに私が、あなたが日々スマホに、パソコンに入力している数字が情報が、GAFA等の巨大IT企業の利益に貢献しているかがわかろうというものだ。
データの流れが世界的に是正されつつあるのは、
が起こってきたからだ。
”デジタル主権”という新しい流れ
調査会社インフォメーション・テクノロジー・アンド・イノベーション・ファウンデーション(Information Technology and Innovation Foundation)の調べによれば、昨今はあきらかに情報の流れが制限されつつある。
2017年から2021年にかけて、特定地域に法律、規制、政策を通じてデジタル情報を留め置く命令がでたのは144件と、以前の倍になっている。
もっとはっきり言えば、個人、企業、政府が生み出したデジタルデータは、そのデータがやり取りされた国に留め置かれるべきだというのが、現在の新しい流れ、すなわち”デジタル主権”という考え方だ。
留め置かないでも、最低これらのデータは所有者のプライバシーが保護され、政策で守らなければならないのだ。
こんな最中なのだ、尼崎市のUSBデータ紛失事件が起こったのは。
僕は何らかの符合を感じるのだ。
雑誌ムーの読み過ぎだろうか。
利根川が日本人のデータを軽んじる姿勢を、情報プライバシー感覚が全然ないことを笑った。
あら、利根川に続いて、コナン君がこんなことをいい始めた(ようだ)。
「もうすでに、USB情報は抜き取られているよ」
「居眠りして、道路にカバンとその中に入ってたUSBをなくしたなんて、真っ赤なウソだよ」
「委託業者は日本の会社を装っているけれど、実は親会社をたどると某国もしくは某世界的なプラットフォーマーに行き着くんだ。ボク、調べたんだよ」
コナン解説
今後は、その国でやりとりされたデジタルデータは、国外流出ができなくなる。
今はまさにその過渡期。
このゴタゴタに乗じて、ある国もしくは某プラットフォーマーが日本の情報をどうにかして盗み出そうとしたのだ。
いや、盗む前に、日本という国がどれだけ、デジタルデータというものを理解しているかを試そうとしたのだ。
手始めに、地方都市の情報セキュリティをテストした。
傘下の業者に下手を打った体をとらせ、地方行政都市のデジタルデータの管理を、そして国の反応をチェックしたのだ。
この壮大なフェイク実験の結果は、以下だ。
「日本人は噂通り、情報セキュリティが甘々だ。社会全体のデータに関するプライバシー感覚もほぼない。
コナン君は、犯人が言ったとされる感想を覚えていた、という。
以上、架空の部分もあるが、この事件はどうやら世界が”データ主権”に目覚めんとする夜明けを狙った、壮大な実験なのかもしれない。
もしかしたら居眠りした男は、宇宙人の可能性すらある。
お人好しで、ぼーっとしてる国につけ入ろうとするのは、人間の国だけに限らないのだ。
うかうかすると、日本人はランサムウェア攻撃どころか、宇宙からの侵略を受けるかもしれない。
以上は、あくまで僕の妄想だ。
こんなおバカな心配は、杞憂だといいのだが。思い過ごしだと、いいのだが。
じゃあまた明日。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー