今年は「日本一ヤクルト」がグローバルに来る
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:「ヤクルト1000」大ヒットのお知らせ。リスクをはらむヤクルト中国戦略。ヤクルトvs外人物言う株主大バトル実況。結局業種に関係なく日本企業は今年グローバルに行かなきゃダメという身も蓋もない結論。
ヤクルト1000大ヒットなのに株価がおとなしい理由
日経新聞の昨年12月24日号は、「ヤクルト1000」大ヒットを報じています。
ヤクルトレディの皆さんの大活躍で、愛飲しているお客さんたちが一本80円のヤクルト400から130円のヤクルト1000に買い替えたことが功を奏した模様です。
ヤクルト本社は、2022年の3月期の予想を情報修正しました。
しかし、株価は上がりません。市場は同社の連結売上高の約4割、営業利益の5割以上を海外で稼いでいることを知っているからです。
頼みの中国市場に、少し暗雲が垂れこめてきたようです。
コロナ禍もあり、中国市場では昨年の1月の売上が前年同期を1.2%下回り、8月には子会社の上海ヤクルトが誇大広告で罰金刑を受けました。
記事は、中国でヤクルト1000を展開しようにも、ヘルスクレーム(健康強化表示)をつけたヤクルト1000が受け入れられるかが不透明としています。
中国ではコストのかかるヤクルトレディの割合が低く、利益率が高いので、成功すれば大きいのですが。
市場リスクが大きくなっている中国
ヤクルトは、明らかにグローバルにシフトしていますよね。
食品、飲料を扱う企業ならば当然かも知れませんが、なにせ人口減がこれからますますひどくなる日本市場からシフトは当然でしょう。
しかし、中国はチャンスもデカいがリスクもそれ以上です。
日経記事にあるように、中国は急に当局が方針を変えます。
コロナ禍で明らかになったように、中国共産党の主導で朝令暮改は朝飯前です。対日感情もくすぶっており、10数年前におこった対日デモ、不買運動等がいつおこらないとも限りません。
そして北京冬季五輪外交ボイコットがあいつぐ、先進国からの中国への反感が高まっていることが大きな懸念材料です。上海デモへの弾圧、新疆ウイグル自治区 人権問題を世界は見過ごしていません。
企業にとって、今年は中国リスクが高まることは間違いないでしょう。
物言う株主を受け入れたヤクルト
しかし、ヤクルトはグローバル・シフトに本気です。
The Wall Street Journal2021年6月29日号(B10)は、Cultured milk meets investor activism (発酵ミルク飲料会社、物言う株主とガチンコ)というタイトルで、ヤクルトが、新たに迎え入れたグローバルな株主と、悪戦苦闘しながらも関係を作り上げている様子が報じられています。
その企業は、オーストラリア日本車を持つ、資産運用会社VGIパートナーズで、ヤクルトの1%の株を保有しています。
彼らは日本の株主のように黙ってはいません。意見の対立はこんなことに及びました。
ヤクルトを見習え
このWSJの記事からは、ヤクルトは外国の物言う株主と、頑張って対話していると思うんです。これは日本の同じ規模の中堅上場企業は参考になると思うんですよ。
中国は当たれば大きいけれど、リスクが多すぎるから、欧米にシフトしたほうがいいんじゃないか。
そしてこういう手強いし、うるさいけれど、欧米市場や消費者について教えてくれる物言う株主とガチンコでやってほしいと思います。
飲食に限らず、もうグローバルで勝負するしかないじゃないですか。コロナで一つの市場で戦っているところはダメだってわかったじゃないですか。
でもそれには3つの条件があります。
これは明日の高校生向け記事に特集するつもりですが、もちろん、コミュニケーション能力やその姿勢が重要であることはいうまでもありません。
もう日本企業、いや日本の今年の方向性は明らかですよね。
グローバル。それしかないでしょう。
今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
ではまた明日また、あなたに会えることを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー