日本社会を同質化させている「閉塞感」という神の見えざる手。
この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:イノベーションとは何か。イノベーションの発明者としてのシュンペーターという学者。日本にイノベーションが起きないのは”神の見えざる手”で息苦しく、閉塞感を余儀なくされているからという珍説。トップ画はhttps://qr.quel.jp/pv.php?b=3oyteb5
テクノロジーよりイノベーション
きのうは経済原理その3,新しい効率を上げるテクノロジーこそが経済を発展させる唯一のものである、をやった。
そこにイノベーションという言葉が出てきたのを、覚えているだろうか。
きのうのテキストでは、このイノベーションという言葉は出てきたものの、あたらしいテクノロジーが主役になっている感じだ。
しかし、イノベーションこそが経済を動かすという説がある。
そして、イノベーションはあたらしいテクノロジーを含む、「変革」という概念だというのだ。
これを提唱したのが、かの有名なシュンペーター(Joseph Schumpeter )という学者だ。
きょうは、イノベーションについて見ていこう。
イノベーションの定義
イノベーションについては、いろんな経済学者がいろんな定義をしている。
5,6冊手元のアメリカの経済学の教科書を見てみたんだけれど、あんまりイノベーションの定義がのってないんだなあ。
いちばん簡単なのは、シュンペーターの言葉の本質を捉えたこれかな。
ティモシー・サンダーという学者は、イノベーションをこう表現する。
シュンペーター自身の言葉はこれだ。
どうしたらイノベーションを起こせるか
どうだろ、なんなくイノベーションってなんだかわかってもらえただろうか。
テクノロジーだけじゃなく、あらゆる新機軸のこと、これがイノベーションなんだ。
また、シュンペーターは、自由な市場での競争や”神の見えざる手”よりも、より効率的に新しい市場を生み出す、といっているんだ。
イノベーションを起こすには、どうしたらいいだろうか。
それは、きのうお話した新しいテクノロジーを生み出すために必要な要素を考えてみればいい。
教育と法律の整備、そして社会制度だ。
イノベーションを邪魔する日本社会に巣食う”神の見えざる手”
しかし、イノベーションは単なるあたらしいテクノロジーではないので、もう少し別の角度からの発想が必要だと思う。
シュンペーターは利益はイノベーションから来るのであって、そのイノベーションは資本や労働からもたらされるものではない、と言っている。(The Economics Book p148-149 DK Publishing 2012
イノベーションはカネ次第で生まれるものではないし、しゃかりきに働くことでもたらされるものではないんだ。
イノベーションをもたらすものは、言ってみれば”自由”ではないだろうか。
そして、失敗を恐れず、何度でもチャレンジできる社会、だと考える。
アメリカで生活して痛感するのが、日本はどうしてこう”閉塞感”が強いのかということだよ。
それこそ”神の見えざる手”(笑)みたいなものが、キミたちを同じ行動に駆り立てているようにみえるのだ。
「神の見えざる手の正体は何」って?
集団主義、目立つことを避ける習性、年功社会、忖度・・・いやいや、
それらもそうだけれど、やはり諸悪の根源は「個を殺す教育」だと思う。
これについては色々言ってきてるから、バックナンバーを見てね。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー