イーロン・マスクのやりたい放題を誰か止めてくれよ。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:ツイッター(現X)が出現して世界が変わったこと。それは第一にこれまでなかった怪物を生み出したことだ。トランプとイーロン・マスクがそれだ。言論の自由は守られるべきだが、フェアネス(公平性)はもっと大事だ。ビジネスと政治が結びつくことの恐ろしさ。トップ画はhttps://qr1.jp/0AYLHc
イーロン・マスクのやりたい放題
Xの最新ユーザー数のデータなどは、把握していませんが、その便利さ、扇情的な短いメッセージ、誹謗中傷、プロパガンダがあふれる世界的な電子掲示板としての存在感は健在です。
TikTok もそうですが、Xも、明らかな不都合を抱えているのに潰れないのは、便利さが勝っているからです。
短い動画というタイパ心理をついたTikTok 、アメリカ政府から営業停止が言い渡されているのは、ユーザー情報が中国の軍事目的にリークされているとの強い疑いがあるためです。
Xの不都合とは、Xが、電気自動車のテスラ社、宇宙開発のスペースXを経営する、イーロン・マスクの事実上の個人プロパガンダ拡声器に成り果てていることです。
誰かマスクを止めてくれよ
ニューヨーク・タイムズWeekly2024年5月19日号は、一面でMusk woos right-wing leaders(イーロン・マスクが右翼リーダーに求愛)との見出しで、マスク氏のツイッターを使った公私混同を非難しています。
一番新しいマスク氏の問題投稿はこれです。
「アルゼンチンに繁栄あれ!Prosperity is ahead for Argentina!」
です。
これは、2023年12月にアルゼンチン大統領に就任したハビエル・ヘラルド・ミレイ氏へのエールです。
ミレイ氏は、経済学者ですが、アルゼンチン中央銀行を廃止して、米ドルをアルゼンチンの通貨にしろなどの過激な言動から「アルゼンチンのトランプ」と呼ばれる人物です。
イーロン・マスクのツイッターもといXの投稿は、常に過激ゆえ、注目を集めます。
「ミレイ氏のスピーチは、セックスするよりずっといい」は、マスク氏のこれまでの投稿で最もビューを稼ぎました。
イーロン・マスクが、なぜこう露骨にミレイ氏を持ち上げるのか。
答えは「リチウム」です。
利害の一致
アルゼンチンは世界二位のリチウムの産出国で、ミレイ氏はリチウムを国際政治の道具として使うべく、リチウム採掘の強化に乗り出しています。
マスク氏にとって、そのリチウムはビジネスの命綱です。
だって電気自動車メーカーのテスラ社にとって、リチウムはまさに主力原材料だからです。
ミレイ氏を持ち上げ、これまでアルゼンチン製のリチウムを輸入していた実績をタテに、さらに安定的に獲得しようとしているのです。
ツイッターいやXで、イーロン・マスクが秋波を送っているのは、ミレイ氏をはじめブラジルのボルソナロ大統領、インドのモディ首相といったいわゆる大物の右翼政治家たちです。
言論の自由とアンフェアは違う
そうですよ、世界一の電子掲示板のオーナーが、こんなことしていいの?です。
マスクさんのXのフォロワーは1億8千200万人ですよ!
そんだけの影響力のある人が、自分の掲示板を使って、政治活動をしている。
それも、自分と自分のビジネスの利益のために。
ツイッターは言うまでもなく、公共の利益に反する、個人の政治信条をばらまくことを規則で禁じています。
マスク氏は、公明正大であるべきこの電子掲示板の主なのですよ。
先ず隗より始めよ、ということばを知らないのかな。
マスク氏のツイッター、Xでの影響は凄まじく、すでに穏健なリベラル派を過激なニューライト(New Right 新右翼)にしたと言われています。
ジェンダーなんかクソ食らえ、ブラック企業礼賛、などの新右翼的な思想が、世界に広がりつつあります。
ロシアを止める前に、マスクを止めないとダメなんじゃないか。
野呂 一郎
清和大学教授