とんかつ屋で見聞きしました③災い転じて福となす?
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:断片の情報から全体を掴み、別のクリエイティブな作品に仕立て上げることはできるか。情報をなくしたことを奇貨にして、災い転じて福となす?を実現する実験をする。トップ画はhttps://x.gd/R8aFw
クリエイティブは創れるか
できます、できるはずです。
昨日あなたがブックオフで買ってきた、その小説、「新幹線のぞみ殺人事件」とあります。
まず、読まないでそのタイトルだけで、あなたはプロット(あらすじ)を考えるのです。
もしくは最初の1ページだけ読んで、本を閉じて、あとの展開を考えるのです。
大方のストーリー展開が思いついたら、あとは自然に筆が進むでしょう。
と、よくある作家訓練法ですが、僕はこれは日本人にはとても有効なクリエイティブ鍛錬法だと思っているのです。
なぜならば、我々は、「教わること」ばかりやっているからです。
教室では、ひなが親鳥からご飯もらうよろしく、口を開けて待っています。
先生がいうことを鵜呑みにし、黒板に書いた一字一句を大事にノートに写し取り、あまつさえ暗記さえします。
僕はそんな学生たちに、こう呼びかけます。
「キミたちね、もしキミが『おい、野呂そこどけ!今日はお前の代わりに俺が教えてやるよ!』って教壇ジャックしたら、それだけで単位Aいやその上のSあげるよ」。
こういう、先生が教えるのをひたすら受け身で待っているから、クリエイティブが育たないんです。
まず、白紙の状態から、考える、僕は学生に限らず日本人に足りない姿勢はそこではないかと考えるのです。
数学の問題は、最初に解法を教わってしまう。
「底辺✕高さ÷2で、面積だよ」なんて、教え込む。
他にも解き方はあるかもしれないのに、考えさせない。
おとなになっても同じ。
コンサルなんて頭でっかちの権威主義を呼んできて、また解法を教えさせ、あなたはそれを考えもせず、ありがたくノートに取ってメモする。
ひどいところだと、ご丁寧に人事がその解法を覚えたかどうか、テストする。
こんな調子です。
だから、皆さんの優等生アタマに楔を打ち込むべく、ブックオフで買ったその小説は、全部読まないでつまり解答を見ずに、自分で考えてみましょう。
独自のやり方で解こう
たとえば、その「新幹線のぞみ殺人事件」。
マーケターのあなたならば、まず差別化を考えますよね。
「タイトルからして間違ってるな、こんな平凡な題じゃ誰も買わん。ブルートレイン猟奇殺人?いやこんなのは西村京太郎あたりがもう使ってるはず、じゃあ、新幹線のチェック役、最近引退した”ドクターイエロー”殺人事件はどうだ?えっ?乗客が乗ってない?じゃあ・・」
などという具合にアタマが回転しますよね。
かと思えば、統計派のあなたは、推理小説✕殺人で過去のすべての殺人パターンを洗い出し、新しい殺しのパターンを作り出すことでしょう。
最初のページで、引きこもりの少年が犯人っぽいとわかった、社会の価値観の変化に敏感なあなたは、「ひきこもり=問題を起こす」という展開は、作品が世にでても炎上すると判断、設定をクルド人に変えました。でも、最近になってそのワードは差別を想起させることがわかり、宇宙人犯人説に急ハンドルを切りました。
白紙から始めよう
マーケティング派も、統計派も、社会派も、勉強のし過ぎかもしれません。
なんでも、白紙から始めたほうがいいんじゃないでしょうか。
僕らは、知らず知らずに知識ばかり、詰め込んでいます。
それを開放するのです。
常識や、過去のデータや、権威の言うことなんて一切取っ払って、幼児に戻って、あなたの本能や、感性だけで物語を作ってみましょう。
えーと、例のニューヨーク・タイムズの記事は「経済成長は人間を幸せにするのか?」というテーマだったので、僕はまっさらの状態からこのテーマを考えてみたいと思います。
大事な情報をなくしたのは、「てめえの頭で考えろ」、という天の啓示だったのかもしれません。
野呂 一郎
清和大学教授