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プロレス&マーケティング第80戦 プロレスラーはもうSNSをやめろ、という暴論。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:プロレス界を発展させる原動力たるプロレス・ジャーナリズム論。第ニの「帝国書記官」岡本佑介を輩出することがなぜ急務なのか。

東スポ・岡本佑介記者しかいないのか

きのう、おとといとプロレスと言葉というテーマでお話しました。

いまは、レスラーが情報を発信する時代、だと言われています。

でもね、それははっきりいってプロレス的に言うと間違いですよ。

むしろ、それがプロレスをダメにしている。

プロレス的に言うと、世間に出す言葉はレスラーが言うのではなく、記者が「引き出す」べきなのです。

しかし、今それができるのは、東スポの新・名物記者、岡本佑介氏しかいません。

東スポで一番面白いプロレス記事を書く「帝国書記官」岡本佑介記者。https://x.gd/cGt9Y

「引き出すプロレス・ジャーナリズム」とは、プロレスに例えれば、猪木がストロング小林の無骨さの中から、狂気や強さを引き出した、あのやり方のことです。

あくまで記者とレスラーが「プロレス」、つまり究極の力のぶつかり合いを通じて紡ぎ出すのが、本当に読者が世の中が切望している「ことば」なのです。

たとえば、これ。

天才・岡本佑介氏の傑作です。

確かにレスラーの独白も面白いかもしれないし、それなりの意味もあろうけど、業界を知悉した手練れの第三者が自身の視点をレスラー本人にぶつけ、跳ね返ってきた抽象的なことばを大衆が理解できるように、時に捏造したり、フェイクを混ぜたりして「練り上げたメッセージ」が一番エキサイティングな読み物であり、世界に誇るべきプロレス文化である、そう僕は信じてやまないんです。

そして、それを読んだレスラーも、野暮な反論なんかしません。

そのメッセージの深い含蓄を理解する教養と頭のよさが求められていることを、わかっているからです。

そのやりとりで、プロレス界は発展してきたのです。

究極のプロレスジャーナリズムとしての「週刊ファイト」

「何だお前は、昨日言ってた「週刊ファイト」の流儀で書いたものが一番面白いって言ってんだな?」そうあなたはおっしゃるかもしれません。

まあ身も蓋もない言い方をすれば、そのとおりです。

ただ、その答えにプラスすることがあるとすれば、こうです。

プロレスとは「相手の良さを引き出すこと」であり、戦いからしかそれは生まれない、ということです。

つまり、記者がレスラーとぶつかって、よさを引き出す、つまりレスラーが持っている「めっちゃええ話」を引っ張ってくるんです。

その内容に多少の脚色とか、フェイクがあったっていいじゃないですか。

それを許容するのが、プロレスの文化ってもんでしょうが。

でもファイトの場合はときに「火のないとこから無理くり煙を出した」らしいんですよ。

それもプロレスらしい、ですよ、今から考えるとすごいな、と思います、プロレスの本質っていうものをレスラーや関係者よりつかんでる。

レスラーが発信することの是非

やっぱりね、何でもやるんならば、戦略がないと。

今ほとんどのレスラーがSNSをやっていますけれど、試合のスナップだったり、食事の写真だったり、つまらない愚痴だったり、要するに落書き帳なんですよ。

それが悪いとは言わないし、ファンもそれを楽しみにしていると思うんですけれど、僕はそういうありきたりな、フツーのSNSの使い方だと、かえってレスラーのブランドに悪影響を与えるんじゃないかと危惧しているんですよ。

一番いけないのは、半ば義務化した発信です。

眠いとか、疲れたとか、飯食った美味かったなどとつぶやくことに、何の意味があるんでしょう。

きょうラーメン食った美味しかった写真はこれっていうのも、ファンとの一体感を育てるかもしれませんけれど、ブランドは育ちませんよ

ブランドっていうのは、そのレスラーだけの「切れば血が出るような個性」のことですから

ツイッターに出す一つのポストだって、あだや疎かにできないんであって、適当に書いとけ的な投稿は、百害あって一利なしです。

ブランドを完成させる、っていうそういう意識すらないレスラーが、つまらないブログをやるんです、って言ったら言いすぎかな。

伝える側の責任

僕も勝手にプロレスを伝える側だと思っていて、責任もあると考えているので、毎回のこのnoteの記事も、業界全体の利益になるように書いているつもりです。

だからこそ、面白い記事にしなければなりません。

レスラーそして、プロレスともっと「プロレスをして」、もっと彼ら彼女らそして業界から「引き出して」やらないといけないと思っています。

まあくだらない暴露本騒動なんてありましたけれど、プロレスはロジャーさん*の言うように「底なし沼」なんです。

まだまだ引き出す宝は、無限に埋まっているのです。

プロレスを愛するあなたも、是非、底なし沼からお宝を見つけ出して、プロレスのすばらしさを世間に教えてやってください。

*ロジャーさん:
ど真ん中の最強プロレス論客
 https://note.com/00790080

野呂 一郎
清和大学教授



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