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軍事費も「公共財」でいいのか。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:公共財とは何か。政府が経済活動に介入できる理由。軍拡と国葬は「公共財」でいいのか。トップ画はhttps://www.mod.go.jp/pco/saga/reserve/index.html

政府が経済に介入する理由

経済原理その8は「政府だけが公共財を供与できるGovernment can provide public goods」です。以下見てみましょう。

公共財の必要性が、エコノミストが政府の経済に介入を認める理由の一つだ。

無私の博愛精神で企業が公共財を提供することは、なくはない。

しかし、多くの公共財は、とても私企業には高くて手が出せない。税金を使わない限り製造、運営できないのだ。

企業が作ったモノやサービスは公共財とは呼ばれない。公共財は社会にオープンでなくてはならず、私企業が持つことが許されないからだ。

企業は公共財を生産しても利益を上げることが出来ない。

故に公共財を作り、管理するのは政府の役割になる。

政府は私企業と違って、公共財の製造や使用に対し税金を使ったり、税の備蓄を使ったりできる。

公共財は軍事費、灯台、警察、公園、基礎研究などである。

例えば灯台は、その警戒地域に航海するすべての船舶に警告のサービスを与えている。船長たちがそのサービスにカネを払う、払わないに関わらず、である。

一般企業が灯台を運営したら、破産してしまうだろう。

Economic for DummiesP352

軍備も公共財

公共財の特徴は、すべての人に開かれていることです。

国の行事を祝う花火があったとすれば、あの人は花火を見ていい、でもこの人はダメ、ということはありません。

ロシアのウクライナ侵攻以来、日本でも軍事費拡大の声が大きくなってきました。経済学で言うと、戦車もミサイルも「公共財」ということになります。

https://motor-fan.jp/mf/article/25014/

そう、話の流れから「例の国葬も公共財か」ということになりますよね。

Yesです。葬儀(funeral service)はサービスですからね、公共財はモノとサービスを指しますから、いいんです。

しかし、考えてみると、公共財って平等性を欠いていて、時として政府に都合がよく使われかねませんよね。

誰もが使える、誰もが参加できる、とはいうけれども、使いたくない、参加したくない人の利益は無視されているからです。

でもその使用料は税金からだから、強制的にカネは払わされているわけです。

NHKって公共財なのかなあ。

https://president.jp/articles/-/59395?page=1

国防費は公共財でいいのか

僕の愛読書、Essentials of Economics by Gregory Mankiw によれば、最も重要な公共財は、国防費(national defense )基礎研究(basic research) 貧困撲滅(fighting poverty)とあります。

基礎研究、貧困撲滅が公共財というのは納得できますが、軍事はねぇ。どうなんでしょうか。

いま日本では、ロシアのウクライナ侵攻以来、軍事費を増強すべきとの論が強くなってきました。

これは、もちろん、是非を問うべき問題です。

しかし、このアメリカの経済学の教科書は、小さい政府を主張するエコノミストも国防費を公共財だと認めているといいます。(国防national defenseとしているのが微妙ですよね、軍事費とは言ってない。でもこれはプーチンが戦争を特別軍事作戦と言ってるのと同じ?)

国防費に関しては、古いデータですが、アメリカの一人当たり国防費の負担は2004年で年間1500ドル(約15万円)だそうです。

僕はあえて経済学に文句を言いたい、国防費は公共財でいいのか、と。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022070200312&g=pol

国防費は、個人的な意見ですが、もうこれは政治の領域ですよ。

でも経済学がこれを公共財として是認している。

内心の自由や多様性に関することが、社会科学の中に規定されているんならば、それは科学じゃないんじゃないか。

ごめんね経済学、いまウクライナとか国葬とか、デリケートなことばかりで、僕も混乱しててさ、キミにあたってしまって。

今日ははからずも原爆投下の忘れてはならない日です。

決して忘れてはならない日、です。

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。


 
                             野呂 一郎
               清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー






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