ロックダウンで苦しむ上海の人々が見つけたコミニュティという光明
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:都会砂漠に突如現れた救世主としてのコミニュティの意味。上海の人々の知恵と人間性。
上海の人が手に入れたコミニュティというお宝
人を集め、リーダーを決めれば、あとはうまくいく。
これは、今コロナでロックダウン中の上海で、人々が助け合いの中で得た知恵です。
いま、上海の人たちが、当局のロックダウンにあい、食料を含めた生活必需品を入手できずに困っています。
テレビでは、食料が底をつき飢えた人々が口々に「食べ物をよこせ、餓死する!」と当局に抗議している画をしきりに流していますから、ご存じの方も多いでしょう。
「まったく全体主義の国は!。人の命よりも全体の秩序が大事なのか」、といきどおっていたところに、きょうのThe Wall Street Journalの記事(2022年4月16日)が飛び込んできたのでむさぼるようにして読んだんです。
題して「上海のロックダウンがEコマースをノックアウト。集団購買と物々交換が徒花。Shanghai’s Lockdown Knocks Out E-Commerce, Leaving Group Buying and Bartering」というものです。
僕が知りたかった「なぜ、中国政府はこんなことをやるのか」、は書いてありませんでした。
しかし、この騒動で上海の人々が“コミニュティに目覚めた”ことがわかり、大変興味深かったのです。
世界屈指の高性能サプライチェーンが崩壊
当局も配給を頑張ってはいるのです。しかし、絶対量が足りません。
Eコマースの大手にも協力を求めています。
しかし、こちらも絶対的な供給量が足りません。トラックドライバーもコロナ罹患や、感染可能性を恐れて、通常の10分の一しか稼働できていません。そして、道も混んでいます。
サプライチェーンの倉庫も足りません。コロナの隔離病棟が足りないので、大きな倉庫を臨時の医療施設にしてしまったりで、食品を保管するところもありません。
上海と言えば、世界にそのサプライチェーンの質の高さを誇ってきました。
アプリを操作すれば2,3回のクリックで、30分から1時間以内に品物が届いていました。
人々は朝5時20分に起きて、あと10分で始まるEコマースの食品宅配の争奪戦に備えます。
10分後のサービス開始の瞬間、スマホを前にして、満を持して操作を始めても、他の何千人の指のほうが0コンマ2秒早く、また今日も自宅宅配はおあずけです。
今や上海のサプライチェーンは崩壊しています。
絶望が勇気を呼んだ
しかし、人々はどっこい、たくましく生きています。
グループで物資を購入する、そして原始的な、物々交換を始めた人々も少なくありません。
お米とおむつを交換する。野菜と果物を交換する。
歩いて30分離れた場所に飼い猫を貸し出し、その代わりにオレンジ3つもらった、などと言う人もいます。
ネットのグループ購買仲間に入る人も多いです。
26歳のある弁護士は、勇気を出してこのグループに入りました。
グループごとに肉を買うグループ、野菜を買うグループ、おむつを買うグループ、グループごとに買うものが決まっているケースが多いといいます。
人間はどん底になると、自らのワクを飛び出すのですね。
コミニュティの人々はやさしい、です。
物資を受け取る順番も、老人、女性、子供と決まっています。
ボランティアの人々も、購買グループのお世話をしています。
中国当局のロックダウンは開いた口が塞がりませんが、災い転じて福、上海の人たちは、人間だけが持っているコミニュティのチカラに目覚めたのです。
今回の上海のロックダウンは、体制の維持のためには、民衆を苦しめても平気な中国を見せつけた事件でした。
しかし、同時にコミニュティの力を獲得した中国の民衆は、愚かな国家と対照的にどれだけ強く、素晴らしいのかを示した、ともいえるのではないでしょうか。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー