評価面接は制度疲労を起こしている件。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:最新米企業の労務管理のキモである”評価面接”を巡るもろもろ。コロナが、そして未曾有のインフレが従業員の意識を変えているという現実。評価面接は制度疲労しているという指摘。トップ画はhttps://www.elearningmarketplace.co.uk/product/appraisal-interviews/
バック・トゥ・ベーシックス
昨日の続きで、アメリカ企業の評価面接の実態をレポートします。
・マッキンゼーアンドカンパニー のHR(人的資源)担当のニール・ガンディさん(Neel Ghanchi )は、人材育成の専門家です。
彼の言い分を聞いてみましょう。
彼は「コロナで大変な従業員に、また意地悪をするのか」という批判にはこう答えます。
カーパーツ・ドットコム(CarParts . Com inc )の新しいCEOデイヴィッド・ミニアンさん(David Miniane) は4月にその職に就いたばかりですが、ここのところずっと従業員におんなじことを繰り返しています。
「バーを上げろ。パフォーマンスのスタンダードあげろ!」。
彼も評価面接に手をつけました。
年に一回の評価面接(pefromace review)を2回にしたのです。
ミニアンさんによれば
ということです。
「それでこそ従業員が企業にとって、もっとも重要な仕事に常に優先順位をおいて働く」ことが実現できる、という考えです。
変化に気づけ
ミニアンさんは、今そこにある変化に気づけと言うのです。
まあ、皆さんいちいちごもっとも。
従業員側の言い分
ミルウォーキー在住の、組織開発部門で10年間働いている女性の言い分。
ワシントンのサイエンス関係の非営利組織で働く女性は、評価面接にもいいところがあるといいます。
しかし、内心複雑で、ミックスト・フィーリング、いい感情と悪い感情が彼女の中で交錯します。
「でもつい、評価面接ではパンデミックの前と現在の私を比較しちゃうの。こうあるはずの自分がいまいない、っていうか。コロナがなかったらどうなっていたかしらって考えちゃうの」
現実に打ちひしがれる労働者
労働者はいま、ひどいインフレとリセッションに悩まされています。だからこそそんなときに評価面接はイライラするんです。
先の彼女はこう言います。
評価面接のリスク
多くの専門家がこう警告しています。
「評価面接は、たしかに経済が下降傾向のときは経営側に有利なツールかもしれないが、企業がこれに傾倒するのは危険だ」。
元グーグルのエクゼクティブで、現在アップル・ユニバーシティで教えている、キム・スコットさん(Kim Scott)さんはこう言います。
「個人のパフォーマンスを、レイオフ(一時帰休)に結びつけようとするのはミステイクよ」。
しかし、これは”評価面接あるある”の代表的なひとつなんですよねぇ。
キムさんは続けます。
”あるある”のもう一つの例は、インフォーマルな面接はあるけれども、フォーマルな面接がないことです。
自閉症をケアする医療機関のチーフ・オペレーティング・オフィサーとして入った女性は、この会社にきてすぐ、フォーマルなパフォーマンスマネジメントシステムが欠如していることに気がつきました。
彼女はこう言います。
さて、皆さんいかがだったでしょうか。
一つ言えることは、評価面接という人事の教科書に書かれている基本が、意外とぶれていたり、重視されてなかったりしている事実です。
それと、この評価面接が概ね従業員から忌み嫌われており、システムとして機能しているのか、甚だ疑問だということです。
企業側、経営側のリクツはそのとおりですが、特にコロナ、そして未曾有のハイパーインフレ、そしてますます不確実性を深める現代において、評価面接は制度疲労をおこしている、こう結論して拙論を終わりたいと思います。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー