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岸田内閣の経済政策スローガンは「100%テレワークで経済復興」だ。
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:日本の組織の致命的弱点についての多様な理解。残業についての考察。
残業亡国論
noteって、意外なことが起こりますよね。これは力を入れて書いたし、自分でも絶対自信があって、スキもたくさんもらえるはずだ、と勢い込んで投稿した記事が全然だったり、その逆もあったりで。昨日の記事は後者でした。
意外な反応をいただけた余勢をかって(笑)残業が日本をダメにしているというテーマで今日はお話します。
ノー残業デーなどという言葉が一時流行りましたよね。
残業をなくそうという声かけ運動みたいなものの名残ですが、今はあまり聞かなくなりました。
しかし、アメリカには基本残業という言葉はありません。
だって昨日お話した職務記述書で、基本の労働時間が9時から5時までと書いてあるわけですから。残業は例外的な但し書き事項に過ぎないわけです。
アメリカ経済最強の秘密は残業がないこと
もう30年も前のはなしですが、僕のアメリカ時代の経験をお話しましょう。
アメリカ人学生に日本語を教えながら、ビジネススクール(MBAを取るための大学院)で勉強していた頃の話です。
その講義は午後6時から始まるstudies in change(変化の研究)という科目でした。
50人が定員でしたが、全員仕事を持った社会人で、でもみんな遅れずに来るんです。6時に間に合わせるためには、5時きっかりに仕事を終わらせる必要があります。
僕はアメリカの強さを目の当たりにしたんです。
「そうか、残業がないから、こうして夕方からの時間を自己啓発やMBA取得に使えて、その結果能力が向上し、キャリアアップも果たせ、結果アメリカ経済はどんどん強くなるんだな」とつくづく思ったのです。
僕は渡米前に日本企業で5年弱働いており、残業が当たり前の日本の実態を知っているから、アメリカで遭遇したこの事実はある意味衝撃でした。
妻のケアより上司のケアを優先
日本は5時に帰るなんてありえないですよね。
せいぜい7時位、それも上司に「ちょっと一杯やってかない」などと言われ、それも日本では仕事の一部ですから断るわけにも行かず、愚痴を聞かされ、二次会はカラオケをつきあわされて、上司の十八番「昴」が終わるまで帰れず、気がついたら終電だったみたいなルーティンは、今も健在なはずです。
そもそも、日本は労働生産性などという考えがないんですよ。
職場も家庭と同じ家族が暮らす共同体だから、なかよくなあなあでやっていく場所なんです。
自分だけが先に帰るなんて許されないんです。
上司という父が「飲む」、と言ったら付き合わないとならないし、それは会社の”書かれてない儀式unwritten rules“であり、家族としては欠席は許されないのです。
飲み会という苦痛
僕は日本のサラリーマン時代、苦痛だったのはこれらの飲み会でした。「ああぁ、この時間を勉強に当てられたらなあぁ」と何度思ったことか。
でももっと苦痛だったのが「運動会」と「社内旅行」そして「つきあいゴルフ」でした。
それは30年前の話で今は流石に日本企業もやってないよ、と言われるかもしれませんが、でもこの手の儀式は家族の結束を強めるという日本の組織存続のリクツがあるので、絶滅はしてないと思います。
機会があれば、社内旅行とゴルフについてはまた稿を改めましょう。
とにかく、「みんなで仲良く」これを強制されるのが、苦痛でした。
でも申し上げたようにこの仲良し儀式で育まれる家族的なハーモニー、一心同体、以心伝心こそが日本の組織の強みなんです。
儀式への参加の誘いは、踏み絵です。
断れば一生出世できないぞ、どうするという脅しが含まれているのです。
でもあなたが新入社員で、儀式に参加しないという、意思表示をしたら、まずはたしなめられます。
無理矢理に飲みに連れて行かれ、上司への正しいビールの注ぎ方を教わってから「会社というところはな・・・」から始まる説教を聞かされるのです。
それでも飲み会や運動会、社内旅行を断ると、仕事の内外でいじめが始まります。
なぜ、石破氏が首相になれないのか
村の共同体では、同じ規範で行動しないものは不満分子として、仕事ができるできないの前に、受け入れてもらえないのです。
なぜ、自民党の石破茂氏が実力がありながら、いつまでたっても総理になれないのか。
今回も小石河連合を作った途端に、河野さんがずり落ちちゃった。
どんだけあんたきらわれてんの石破さん、ってみんな思いましたよね。
嫌われてる理由は、たったひとつ、「つきあいがわるいから」それだけです。飲み会に参加しないからですよ。それだけ。
でも、日本の共同体・村の論理では、つきあいが悪い=組織を乱す最悪の資質、ととらえられ、実力があっても冷遇されるのです。
そもそも飲み会にでないような社員はチャンスさえ与えられないので、肩書すらもらえません。
飲み会というインフォーマルな義務
飲み会は実は義務なのです、給料はでないけれど、仕事なのです。
ナレッジ・マネジメントの研究者は、飲み会を組織知を共有する場、などといって肯定する人すらいます。
まあ、インフォーマルな情報を共有する、いわば会議なのだという考え方も、できなくはないです。
だから、飲み会に参加しない人は、つきあいが悪いという以上に、「大事な会議に欠席し、情報を共有せず、仕事をサボってる」のです。
誰と誰が仲がいい、俺はあいつが嫌いだから、お前も嫌いになれ、大奥にいる50代女性のA子には気をつけろ、気難しい副社長のCにはこれが禁句だぞ、みたいな情報が飲み会ではやり取りされ、飲み会の所作で性格や組織への忠誠もチェックされます。
飲み会に参加しないことは、こうした人物考査の機会も上司に与えない、となり、それだけでひどいマイナス評価を受けてしまいます。
日本経済の実体は30年間成長なし、昇給なしで、先進国最低です。
それは、飲み会を始めとする隠された労働時間が長すぎて、勉強できないばかりか、見えないルールに気と時間を使いすぎて疲弊しすぎているからです。
一方で彼ら彼女らは家庭や社会での活動量が多くなってきており、ダブルで疲れ果てています。
No残業のテレワークで日本経済再興を
いま、ワクチンが効き始めたのか、感染者が減ったことをいいことに、日本企業は一斉に社員に対し、テレワークの終焉を宣言、早く会社という共同体に戻るように呼びかけています。
マスコミはこれを「強制出社」として大きく報じています。
しかし、日本のほぼ100%の会社員はこれに反発していますが、リモートワークで、やらなくてもいい、残業、つきあい、飲み会という仕事がなくなったことで、どれだけ人生が楽になったかを知ってしまったからです。
岸田内閣の経済政策は、もうこれしかないでしょう。
「100%テレワークで経済復興」。
今日も最後までお読み頂きありがとうございます。
ではまた明日。
野呂 一郎