
対チャットGPTの戦術①自分だけの表現のカタチ(高校生向け)
この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:AIが支配する今後の世の中で、チャットGPTに負けないスキルを鍛えるためのヒントその一。AIが持つ、たった3つの能力を暴く。表現者としてのキミにとって反面教師になるAI。
AIが人間の創造知に本格進出してきた
高校生の皆さんこんにちは。
先日、高校生よ、チャットGPTはやるな、とこのnoteで警告した。
誹謗中傷も来たけれど、僕のnoteとしては珍しく、かなり多くの数のいいね、を頂いた。
僕の意見を変えるつもりは毛頭ない。
きょうは偶然目にしたニューヨーク・タイムズの記事に、僕と同じ見解を見つけたので紹介したいんだ。それも、具体的にAIへの対抗策が記してある。
ちょっと紹介するね、この記事はニューヨーク・タイムズWeekly 2023年2月12日号でこんな見出しがついている。
In the Age of AI, Learn to be more human (AIの時代、より人間的になることを学べ)。
このタイトルだけで、この記事の作者ディビッド・ブルックスさん(David Brooks )の言いたいことがわかるね。
記事は、昨年夏コロラド・ステイトフェア(Colorado State Fair)という催しで、人工知能が作った芸術作品が一等賞を取ったことに触れている。
ブルックスさんはそれを見て最初は「クールだ」と思ったそうだ。
でも、もう一度見たらlifeless(生命の輝きがない)と感じたと言う。
ある芸術家は「深いところまで行こうとしたけれど、阻まれた。イメージと対峙したら深まるどころか、何かが崩れ始めた」と、評している。
プロの芸術家もすなるチャットGPT
いい悪いでは、もはやない。
AIはすでに創造のツールとして使われており、芸術コンテストで堂々と賞をとってしまう現実がそこにある、ということだ。
ブログ界隈の書き込みを見ると、もうすでに知的な仕事についている専門家たちが、実際にチャットGPTを使っている。
小説の下書きをさせて、自分が手を入れるという寸法だ。
創作のプロのくせに、つくづく情けないと思うね。
創作物をオートメーションと思っているらしい。誰がそんなものを読むと言うんだろう。
まあ悪口はそのくらいにして、すでに大人、いやプロの作家にしてからがもうそういう機械を使っているのが現実だから、そのうち高校生の皆さんのまわりも、友達は全員、宿題や大学推薦入試のエッセイに使う、ということになると思うよ。
えっ、もうそうなってる?
だけどさ、よく考えてごらんよ、キミはこれから絵を描き、彫刻を彫り、小説を書くんだろう。
AIに下書きをやらせるのかい?
便利だから?
まあ、そう言うんならやったらいい。
でも、創造のほんの一部でも他者に委ねて平気という感性自体、芸術とは程遠いと思うね。なぜならば、芸術とは人間の、自分の感性を信じることだからだ。
ああ、またこんなことを言うと、「駄文書きやがって」とかひどい中傷が来るな(笑)
AI対抗策その1 自分だけの表現形式を持て
ごめんごめん、きょうはチャットGPTの悪口じゃなくて、AI対抗策の話だよ。
考えてごらんよ、便利うんぬんじゃなくても、チャットGPTなんかに乗るのはバカだって。
AIが支配する時代はもう来ているわけじゃん、じゃあこれから求められる能力って何って考えれば、答えは明らかだよね。
そう、AIが持ってない、できない能力を身につけることだ。
ニューヨーク・タイムズのこの記事によれば、まずは
distinct personal voice (はっきりした自分だけの作風)なんだ。
voiceっていうのは、声っていう意味じゃない。
ある識者の定義はこうだ。
「voiceとはあなただけの見解であり、書きぶりである。それは言葉の使い方、表現、トーン、ムード、フィーリングを通じて形成される(Voice is your unique view, your writing personality. It's created through the use of language, phrasing, tone, mood, and feelings.)」。
チャットGPTの致命的な欠陥
いいかい、逆にチャットGPTの特徴を考えてみよう。
それはたった3つだ。
非人間的=機械的(impersonal)直線的(linear)、通俗的(general)。
冒頭で話したAIの芸術作品の正体が、これさ。
ヒューマンタッチが感じられず、これまで評価されてきたいい作品という”直線上”から外れず、新しい芸術という気風がない、ってことだよ。
小説家を目指すキミも、チャットGPTを使って下書きをすると、こういうプロット(梗概)しか出てこないよ。
チャットGPTは、とにかくメカニカルつまり無難なあらすじ、構成をまず書いてくるよ。
そしてどんどん過去の小説の表現やあらすじをストックして、気の利いた展開を書いてくるけれど、しょせんは直線的、今までの域を出やしない。
そして、チャットGPTはどこまで行っても、過去のものまねに過ぎず、通俗的つまり平凡な筋や表現しかできない。
今日の教訓は自然に出たね、つまり、AIはどこまで行っても人間臭さなんて表現できない、ってことさ。
どこまで行っても過去の延長であり、新しいことなんて提示できないんだって。
AIの時代だからこそ、自分だけ信じたほうが得策じゃね?
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー