”アンラーニング”スキルでアメリカを復活させる80万人の”元教師たち”
この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:アメリカで去年80万人の教師がコロナ禍で学校を離れた理由。グレート・リジグネーション(素晴らしい自主退職運動)とは何か。コロナで燃え尽きた教員たちの現実。なぜ、教員こそ世界経済復興の秘密兵器なのか?アンラーニングとは何か?
なぜ、アメリカで教師がこんなにやめるのか?
高校生の皆さん、元気ですか?
元気じゃないよね。オミクロンがこんなに流行っていて。
先生は元気?
元気であるわけないよね。
でも、先生はやめてないよね。
今日は、アメリカの先生の現状の話だよ。
2020年1月から11月にかけて、全米各地で教える先生の退職者の数が80万に達した。そのうち、私立学校を辞めた先生は55万人になる。
コロナ前の同時期と比べると148%増、でこれを他の業種と比べれば、例えば小売業の退職者は27%増だ。
成人向き転職サイト大手リンクトインに、教職を辞めて登録した教師の数は、62%増えている。
日本はどうだろう。
まだ、アメリカみたいに、コロナ禍で教師が大量離職、なんていう、ニュースもデータもない。
アメリカも、辞めた理由を詳細に分析するデータはない。
ただ、The Wall Street Journalオンライン版2022年2月1日号を読むと、ちょっとそのへんのことがわかってくる。
この情報も参考に、この教師の大量離職を読み解いてみるよ。
おそらく日本人の大半は、こう考えると思うんだよ。
まあなんとなくわかるよね。
僕は、この教師が大量に辞めた理由は以下にあると考えている
理由その1:企業家精神が強いから
企業家精神という言葉、アメリカでは、そして経営学ではアントルプルヌアーシップとフランス語で表記することが多かっんだけど、1980年代によく言われた流行語だったんだ。今は誰も言わないけれどね。
アメリカで5年生活していて感じたんだけれど、アメリカ人は生来この精神を持っているように思う。
企業家精神を言う前に、彼ら彼女らは前向き、なんだよ。
チャレンジャーだし、七転び八起きと言うか、それが言い過ぎならば失敗にめげない国民だと思うよ。
この延長上に企業家精神があるんだ。
学問的な定義を持ち出すのはやめるけど、企業家精神って、なにか仕事に行き詰まると、なにか困難が生じると、前向きに「新しいことをやろうか」となる精神のことだ。
アメリカ人は、コロナにめげてなんていないよ。
その証拠に、今アメリカである種の国民的な運動が繰り広げられているだよ。
グレート・リジグネーション(The Great Resignation素晴らしい大量自主退職時代)ってやつだ。
コロナ禍を奇貨として、今の仕事辞めちゃおう、新しい人生を始めよう、っていう運動なんだよ。
教師の大量離職もその流れだ。でもね、それは無責任って言うことは当たらないと思う。その理由は次に述べるよ。
理由2:教師が追い詰められ燃え尽きているから
学校によって差はあるけど、今回アメリカの学校のロックダウンは日本より頻繁で、教師はオンライン授業と対面を行ったり来たりで、心身ともに”燃え尽き”ていることがひんぱんに報告されている。
たまに学校に来てもマスクの子供たちと、「エアハグ(ハグのまねをするだけ)」で挨拶、ストレスで機嫌の悪い生徒、保護者、学校関係者と顔を突き合わせざるを得ない毎日。
先ほど、日本ほど教師の社会的地位が高くないといったけど、アメリカでも教職ライセンスは価値があるよ。
でも、学期途中でやめるとペナルティとして免許が取り上げられちゃうんだよ。
それでも去年、教師が辞めた時期は9,10,11月の学期の真っ只中が一番多かった。
このことは何を意味するか。
子供に学校に迷惑をかけちゃいけない、でも自分のメンタルヘルスが危ないから、背に腹は代えられない。アメリカの教師たちは追い詰められているんだ。
理由3:社会と企業が教師の能力を高く評価しているから
企業は、いま熱烈に辞めた教師たちにラブコールを送っているんだ。
ITサービス、コンサルティング、病院、ソフトウェア開発などの業界が、マネージャークラスで採用したがっているんだよ。
教師のどこを評価しているのか。
それはここだ。
こうした能力は社内教育のインストラクター、営業職、ソフト開発エンジニアなどにうってつけだというのだ。
これは教師の能力を社会が正確に、高く評価しているということ同時に、こうしたタレントを持つ人材がアメリカに潜在的に足りないことを示している。
僕はこの教師の持つ能力こそ、国境を超えて、今の人類に最も求められている能力ではないかと思うんだよ。
経済成長をもたらす新しい態度=アンラーニング
アンラーニング(unlearning)とは、忘れることだよ。
覚えたものをいったん忘却する、頭の中から追い出すことだ。成功経験を忘れる、と言い換えてもいい。
変化の超激しい現代は、これまで学んだもの、常識、成功を忘れることこそが大事なんだよ。
そして、また新しい知識、常識、成功する態度を学ぶ、ラーンlearnするんだ。
アメリカの企業は、ちゃんとわかっているんだよなあ。教師の本質的な態度を、才能を、能力を。
The Wall Street Journalを読んでみると、アントルプルヌアーシップに駆られた、元教師たちの本音もうかがえる。
それはカネであり、自身の成長であり、新しい仕事のやりがいだ。
言ってみれば人間の野心、だ。
岸田さんの新しい資本主義の掛け声がただただ虚しく響く日本、結局、成長って野心がないとダメなんだよ。
日本人の野心って、結局東大出て、官僚になることだろ。
大企業に行って安定することだろ。
そんなちっぽけなものが”野心”なんだろ?
東大を目指しているキミ達も、どうせそうなんだろ?(挑発😁)
テレビで東大王なんとかとか、東大いけないから人を刺しちゃったとか、今だにそんな価値観なんだもんね。
実力をつけることじゃなくて、肩書を得ることが野心って、
結局今だにカタチだけなんだな、欲しいのは。
それは社会に夢をつかむ仕組みがないからでもある。
敗者復活なんてなく、実力じゃなくて大学の名前で
ほぼ人生が決まってしまう。
そんな空気が蔓延している。
オミクロンじゃなくて、そんな空気こそ蔓延防止措置を
とるべきじゃないか。
アメリカに蔓延している空気って、カタチにとらわれなくて、自由で、
夢があるよ。
高校生の皆さん、アメリカには、諦めない空気が、挑戦したくなる空気があるよ。
それがアントルプルヌアー・スピリッツ、企業家精神ってやつだ。
それこそが経済の本質、だと思う。
そして、その空気には、どんな経済学もかなわない真理が含まれている。
行って、吸えば、わかるさ。
ブルース・リーの言葉を君に贈ろう。
「考えるな、感じろ」。
今日も最後まで読んでくれてありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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