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キミだけのPK理論を創れ。(大学生向け)
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:「理論」は学者の占有物ではない、あなたも理論を創るべきだ。理論は定量データと定性データでバランスがとれる。なぜ、PK理論はゲン担ぎやジンクスを超えた重要性があるのか。トップ画はhttps://qr.quel.jp/pv.php?b=3VUW1FW
定性データとは何か
PK理論の補足だが、ゲイル・ジョーデット博士(Geir Jordet)の研究の特徴は、PKを失敗したキッカーにインタビューしているところだ。
その時の状況や失敗した後の心境、なぜ失敗したのか、なども記録し、分析に加えている。
これは「定性データ」と呼ぶ。定性データとは、具体的な数字で表せない特質、観察、感想などを指す。
これと対照的なのが、定量データだ。
文字通り、具体的な数値がついた情報であり、データのことだ。
このPK理論における定量データとは、助走が何メートルだともっともPKが決まりやすいだとか、決まったPKの何%がゴール角に決まったとか、キーパーを見たとき、見ないときの成功率など数字のことである。
私見だが、研究は定量データ、定性データ両方あってこそ、真理により近づくのではないか。
研究は学者の専売特許ではない
考えてみると、森保監督も、これはできるんじゃないだろうか。
特にキックの失敗例などの定性データなどは、選手に近い森保監督の方が、収集しやすいし、インタビューの巧拙は選手がいかにインタビュアーを信頼するかにかかっているから、これもクオリティが期待できる。
イチローや中田英寿は、ありきたりの質問をするインタビュアーを時に罵倒し、インタビューに応じもしなかったことはよく知られている。
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その意味で森保監督は、誰よりも日本代表から質のよいPK失敗談を引き出せるはずで、それだけだって森保流PK理論ができるはずだ。
キミたちに言いたいんだ、研究は学者の専有物じゃないってことを。
論理、筋さえ通しておけば、研究のアプローチなど自由だ。
学者だから正しいという思い込みは、権威主義に過ぎないよ。
PKリーダーシップとは科学であり、アートである
しかし、僕もそうだけれどさ、世の中は科学的という言葉に弱いよね。
自分で考えるよりも、科学という権威にゆだねる。
それはもちろん、コロナワクチンといった、命に関係するものは科学的根拠が大前提だけれど、勝負だとか、ビジネスの意思決定っていうのは、それに頼り過ぎると墓穴を掘る。
PKを成功に導く理論は、科学というより、むしろアートだ、と思う。
結局、その時の状況を読んで対応できる監督が、PK戦にも勝つんじゃないか。
PK理論を応用する
キミはこの理論の応用も、心がけるべきだ。
確かにPKは一種の極限状態だ。
しかし、われわれの人生にだって似たような状況はある。
入社試験、面接、大学受験、社運を賭けたプロジェクトのプレゼンテーションなどなど、だ。
これらの試練も、博士のアプローチであるクールダウンとチームワークで乗り切れるかもしれないのだ。
確かに、ここ一番で絶対に勝つ、平常心を保つという方法は、個人レベルではいくつかある。
例えばゲン担ぎ、とかルーティンなどだ。
ヤクルト野村監督は勝っている時は、絶対に下着は取り替えなかった。
イチローのあの動作や、ホームゲームで試合がある時は毎朝欠かさずカレーを食べるという習慣は、同じ所作をすることで、精神を安定させる効果があると言われている。
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しかし、このPK理論が新しいのは、それが個人のアプローチではなく、組織のアプローチである、という点だ。
経営学はますます組織、チーム、集団という概念が重要になってきている。
個人で成しうるものは、しょせん限界があることが広く認識されてきたからだ。
その意味で、近い未来、社会のいろんなところでリーダーになる大学生のキミは、キミだけのPK理論が必ず必要になる。
誓ってもいい。
だから、準備せよ。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー