インド人IT技術者をどう引き寄せるか(日本語訳)
この記事は、少し前に書いた
を日本語に訳したものです。
この原文の日本語は、これです。
日本語を英語にすると、まったく違ってしまうという例をご参考にしていただければと思います。
死ぬほどインド人IT技師が欲しい日本
日本はIT技術者が80万人足りません。
インド人がメインターゲットです。
日本はインド人に日本のことを知ってもらいたくて、インドの文化イベントを後援するなどして頑張っています。
楽天やメルカリは、インドに人材リクルートの拠点も開きました。
しかし、首尾よくいってません。
ニューヨークタイムズ2023年1月1日号は「日本がテクノロジー業界のインド人労働力を切実に求めている」との見出しで「インド人労働者は当初は日本の安全と清潔に満足していたようだが、結局は就職した日本のIT企業を辞すことになる、と報じています。
なぜでしょうか。
ニューヨーク・タイムズによれば、インド人ITエンジニアたちは、文化的差異が原因であまりケアされていると感じないこと、これが原因だとのことです。
いわゆる、「イングループ理論」「アウトグループ理論」が、このことを解き明かします。
日本人は「イングループ・メンタリティ」が高い、つまり日本人のグループ内で強い密着性があるのです。
一方で彼らは、アウトグループつまり彼らのサークルの外の人間、他社の人間、外国人などに対してはよそよそしいのです。
これがインド人エンジニアが、疎外感を感じている理由です。
外国人で最初に日本で政治家になった男
ニューヨーク・タイムズは日本で立志伝中のインド人、ヨゲンドラ・プラニックさんの言葉を引用しています。
彼は外国人で初めて、日本で政治家になった(江戸川区議)人物です。
プラニックさんはインド人の労働者が、職場で日本人のボスに足を蹴られてパワハラされたり、学校で日本人の教師からいじめられたインド人に、訴訟の手続きを教えたりしてきました。
彼の主張は、インドの文化フェスティバルを後援するよりも、インド人に日本語や日本文化の教育をしたほうがいい、というものです。
3つの悪
多くのインド人エンジニアは、問題は3つの要因にある、といいます。
1.安い給料
2.びっくりするほど頭の固いヒエラルキー
3.高い文化障壁
これらの問題にふれた文献はほとんどないので、わたくしめがご案内しましょう。
安い給料
インド人ITエンジニアは、日本で良い生活を送れるくらいのサラリーはもらっています。
しかし、給与は年功序列の賃金システムで支払われているんです。あなたの仕事の成果より、全体のバランスと年功に重きをおいたシステムです。
とどのつまりインド人は、自分の評価より少ない給与に甘んじているのです。
びっくりするほど頭の固いヒエラルキー
インド人たちは”鋼鉄をまとった”企業ヒエラルキーと、表現します。
この組織はゴールを達成するよりも、ルールに従うことを重んじる組織構造です。そうです、官僚主義です。
高い文化障壁
私が書いたように、日本人は馴染みのないものには十分なケアをしません。
言い換えると、自分が違和感を感じる相手には、オープンではないのです。
道理で日本初心者のインド人は、疎外感を禁じえないはずです。
どうやって問題を解決するか
インド人エンジニアたちは、IT業界をこう定義します。
その定義とは「IT業界とはリスクを取ることであり、イノベーション」である、です。
この2つの概念は人間が介在すること、ともに働くことがなければ成立しません。
人と人の関係がなければ、どうしてリスクテイクとイノベーションが可能でしょうか。
私は日本人が執着してやまないものを手放さない限り、日本はデジタル化とやらを達成できないと思いますよ。
野呂 一郎
清和大学教授