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「時代の声」を聞くための(珍)マーケティング研修の提案。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:現代を定義することの重要性と、それが困難であるというもう一つの事実。時代の声を聞くことの重要性。答えは、しかし、そこかしこにある、という事実。マーケターにすすめたい、超絶カイジ流フィールドワーク。トップ画はhttps://qr1.jp/5s3ptm
「不確実性の時代」を定義せよ
これからのマーケティングは、常に時代とは何か、現在我々が生きているこの世の中とは一体どんなものなのか、を考えないと、うまくいかないのではないでしょうか。
欧米のマスコミは、近年「不確実性」(uncertainty)という言葉を非常によく使います。
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これは僕らがマスコミも含めて、現代という時代を定義しそこねている、という現実を表しているのではないでしょうか。
だからこそ、僕らは時代とは何か、を考え、それを言葉にして表さなければならない、そう思うのです。
でも、時代って何かヒントを落としてくれていると思うのです。
例えば、人々の言葉の端々にそれが上ることがある、そう思うんです。
マーケターは、それを拾い上げるためのフィールドワークが必要ではないでしょうか。
銀座のネイリストが漏らした言葉に慄然
最近、こんな事があったんですよ。
僕はたまに銀座で食事をします。
豪華な!いえいえ、銀座で一番安い、あのスパゲティ屋さん、ですよ。
あの素朴でありながら、ナポリタンを大盛りを鬼のように盛ってくるB級グルメを楽しむのが、貧者のぜいたくなのです。
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隣にやけに爪を綺麗にカラーリングしている、20代後半と見受ける二人の女性がいたんです。
どうやらネィリストのおねえさんがたです。彼女たちの会話は、聞くとはなしに聞こえてきました。
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僕は一人のネイリストの、こんなことばに衝撃を受けたんです。
「ああ、幸せになる出会いって何なんだろう」。
えっ、「それ言う?」って。
偏見だったんです。
ファッションの最先端で活躍している若い彼女たちは、恋愛なんて空気みたいなもので、フィーリングが会えば付き合う、合わなければすぐ別れる、そんなことを繰り返している人たちだろう、そういう偏見です。
しかし、同時にこうも考えたのです。
銀座に生息し、ファッションの最先端にいる人達だから、時代の本質を一番わきまえてるんじゃないか。
「誰と付き合ったら幸せになれるか」、これって、いろんな解釈ができますが、現代って伏魔殿、ということもできるし、現代ってみんなが真剣に人生のことを考えてる時代、とも読めると思います。
思えば未曾有のコロナという試練、だれでも「人生って何」を考えさせられたはずです。
人間と人間のつきあいとは、友達って、恋人って、ケッコンって何、誰でも人生というものを突きつけられたこの3年間ではありました。
でも答えはともかく、僕は彼女たちから「現代とはこういう時代だ」という一つの答えをはっきり聞いたのです。
最強のマーケティング研修の提案
こんな研修はどうでしょう
題して「銀と金(ぎんときん)」研修。
銀と金、って?
金と銀、とはですね、一斉を風靡した福本伸行先生の「カイジ」の、前に出た作品の名前なんです。
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「カイジ」が傑作なのはもちろんですが、僕はこの「銀と金」はそれを超えるのではないか、と信じているものです。
主人公の銀さんこと、平井銀二(ひらい・ぎんじ)という裏社会を知り尽くした頭も切れて腕も立つスーパーヒーローのもとで、様々な試練を課されて成長していく、森田鉄雄(もりた・てつお)という風来坊の若者が、この物語の主人公です。
銀と金というタイトルは、平井銀二の銀に、銀から独立してやがて金になる森田という若者の可能性が込められているのです。
さて、その森田がある時、平井銀次から「大きなヤマをとってこい」、つまり大金になるような事案を見つけて、首を突っ込んで、全部かっさらってこい、という指令を受けたのです。
雲をつかむような話で、それでも森田は、と信じて、毎日高級ホテルの喫茶店で、羽振りの良さそうな男たちの会話を盗み聞きすることにしたのです。
あるとき、食い詰めているような画商の男が、さかんに自分の美意識を盾に、作品を売ろうと、金持ちの紳士を口説き始めました。
森田はそれを見てひらめいたのです、「カネのためなら、人間とことん悪になれるんだな、しかしそれは結局破滅への道、おれがわからせてやる」。
こうして森田は、喫茶店での他人の口に上ったことばから、悪のビジネスのきっかけをつかんだのです。
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長々と福本作品を紹介しましたが、要するにこの研修とは、「マーケターの聞き耳を育てる研修」です。
ゲーム感覚で2泊3日で行います。
参加者は貴社のマーケティング部員5名、研修内容は「人の話に聞き耳を立てて、その言葉から現代を定義せよ」というものです。
2泊3日の期間、参加者はどこへ行ってもよく、でも、時代を明確に表した言葉をハンティングしなければなりません。
その言葉がどこで狩ってこれるのか、も自分で考えなくてはなりません。
2泊3日が終わったら、会社の研修室に全員帰還し、発表をおこないます。
発表の要領は、
1.ことばをなぜそこで得られると考えたかの理由
2.採集した言葉(会話)の内容
3.なぜ、その言葉が現代という時代を表現していると考えるのか
口頭発表ですが、紙に書いてまとめることも課せられます。
研修のねらい
1.時代は人の口の端に上るという、ある種の真理に敏感になること
2.現代という時代を言葉で表現する訓練
3.現代とは何かをマーケター同士で、定期的にディスカッションする習慣をつけることで、現代とは何かを常に考える癖をつけること
この研修は、もちろん実戦で活かせます。
必ず、現代とは何かという「仮説」が出てきますから、それを利用して新製品、新サービス開発をするのです。
ダメだったら?
いい質問ですね、PDCAサイクルを回せばいいのです。
最初っから、もうかるアイディアなんか出ません。
プランして、Doして、チェックみんなで考えて、そしてまたアクション行動に移す、それを成功するまで繰り返せばいいのです。
この「銀と金・研修」をやれば、最強のマーケティングチームができると思うのですがね。
なんだったら、僕もお手伝いしましょうか(笑)
それでは、また明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
清和大学教授