アメリカ中央銀行、金利戦略のジレンマ
インフレ退治は歴史に学べ
アメリカのインフレ率は7.4%だって。
史上最悪の物価高に見舞われているんだ。
インフレを収めるには、金利を上げるしかない。
金利を上げれば、お金を借りにくくなり、経済がヒートするのを防ぐからだ。
でもその副作用として、失業が増えるとされている。
実際今回のインフレは80年代の、ジミー・カーター政権下のアメリカに似ているという指摘がある。(ニューヨーク・タイムズ2022年5月8日(U.S. interest rates are a global concernアメリカの金利は世界の関心事)
カーターはアメリカの中央銀行にあたる、連邦準備制度理事会(FRB)のチェアマンにポール・ボルカー氏(Paul Volcker)を起用、そして彼は利上げを敢行したんだ。
失業率は10.8%を記録したものの、インフレは沈静化に向かった。
ボルカー氏はにわかに救世主扱いされ、先見の明ある伝説のFRBチェアマンとして名を残すことになる。
ボルカーショック
しかし、この政策の副作用ともいうべき悪影響が、途上国を襲ったんだ。
いわゆる”ボルカーショック”と言われる現象で、途上国の未払いの借金が膨れ上がりますます返却できなくなったのだ。
途上国ではアメリカの金利が上がると、資本が海外に逃げることを防ぐためと、自国通貨の安定のために、アメリカに負けじと金利を上げたのだ。
そうすると、借金の金利が上がり、ますます返せなくなる→経済がダメになるという悪循環が始まった。
犠牲になった途上国はラテンアメリカ諸国だ。つまり、メキシコ、ブラジル、コロンビア、ペルー、アルゼンチン、キューバだ。
ボルカーショックの内容はGDP(国民総生産)の急降下、失業率高騰、貧困の拡大、そして経済復興に10年かかった。ラテンアメリカ、史上最悪の経済不況とも言われる。
もしキミがアメリカ大統領だったら
ニューヨークタイムズの見出しにあるとおり、アメリカの金利は世界の一大関心事と言われるのは、そのためだ。
日本だって、アメリカの金利の上昇で、円が売られドルが買われた結果、円安になって、輸入品の価格が上がり、最近の狂乱物価になってるでしょ。
ここで、近未来の世界をリードしなくちゃならない、高校生のキミに聞きたい。
キミがもし大統領だったら、カーター時代のように、国際的反響を無視して、金利上げを強行するだろうか?
今と80年代が大きく違うのは、さよう、ウクライナ危機だ。
西側諸国は結束して、ロシアに対抗してるよね。
でも、中国みたいにロシアの肩を持つ国もいるし、トルコみたいに様子見の国もいる。
でもアメリカとしては、一国でも多くの賛同者がほしい状況だ。
トランプさんが、メキシコの不法移民を壁を作ってまで拒否した、ああいうことはできない状況だ。
キミが、バイデンだったら、どうする?
えっ?アホなこと聞くな、って?
なに?
なるほど。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー