
風雪に耐えたユーロ。ヨーロッパの時代が始まった。
ユーロがなぜ強いのか
ニューヨーク・タイムズ2022年6月5日号は、生誕20年を迎えたユーロを評して、resilient(打たれ強い)と評している。

ユーロがなぜ強いのか。
それは、ユーロに全ヨーロッパ人の強い思念が込められているからだ。
「ヨーロッパ経済をなんとか立ち直らせたい」という強烈な思いがユーロに結実しているからだ。
さよう、今日はこのニューヨーク・タイムズの記事をダシにして、オレ流経済理論を披露しようというのだ。
それは「経済を動かすのは金利や為替じゃない、人々の思念である」というものだ。
思念を情熱と、執念と、あるいは強い思いと言い換えてもいい。
経済とは、人の思いなのだ。
あながちそれは、野呂の我田引水とだけ決めつけられないかもしれん。
ユーロとはヨーロッパ人の思いの結晶だ
僕の経済の教科書Economics, Principles & Practices, Gary E. Clayton, Glencoe, 2005のユーロの記述を見ると、経済が思念であることがわかる。
ヨーロッパは覚悟を持って、相当な血を流してユーロを作ったのだ。
まず、企業が血を流した。
ヨーロッパを拠点とする企業は、何百億ドルを投資したんだ。
企業のオペレーションを全部ユーロ対応にし、消費者、業者へのコンピューター上での支払いを全部ユーロ建てにした。
給与や手当の支給もユーロにした。一部のオペレーションは現地通貨とユーロの二本立ても残した。
消費者もユーロ一本の覚悟があった。
共通通貨ユーロを、速やかに受け入れたのだ。
それだけではない、後で述べるが、共通通貨を守るために、ヨーロッパ全体の結束を強めた。
それがユーロの強さを生んだ。
若者よ、ヨーロッパを見ておけ
今度の戦争は、結局ロシアが負けるよ。
誰に負けるのか。
ヨーロッパにだ。
ユーロが強いのは、それがヨーロッパ国民全員の結束の象徴だからなんだ。
ヨーロッパ経済がこのままでは崩壊する、そのヨーロッパ人の思いがユーロを作ったんだ。
それは、ヨーロッパに行くとよくわかるよ。
僕がこの間行ったスロベニア、世界経営学教員合宿で2週間滞在したんだけれど、仲間と週末にイタリアに行ったんだ。
隣国イタリアに入るのもビザ見せる必要ないし、スパゲティ食べるのもユーロで支払えばいいから実に楽だった。

30年前ドイツに出張した時見たヨーロッパは、もっとギクシャクしていた。
今のヨーロッパの安定と強さは、共通通貨から来ている、それは言い換えれば、ヨーロッパ人の結束だ。
キミも、ヨーロッパを見てこい。
それが実感できるはずだ。
どこかの中央銀行総裁のように、トマトの値段を知らないようじゃ、経済なんてわからないよ。
経済とは、金利や為替レートじゃないんだ。
この経済テキストを書いた、クレイトン先生(Gary E. Clayton)は、ユーロの未来について、20年前にこう予言めいた発言をしている。
「ユーロの未来は、EUの経済成長にかかっている。もう一つ、失業率をいかに低く抑えられるかにもかかっている」。
この20年、ヨーロッパ人は共通通貨ユーロができれば、もうヨーロッパ経済は安心だ、などとは思わなかった。
頑張ったんだ。経済成長も、失業率を下げるのも、頑張ったんだ。
それはひとえに、ヨーロッパ経済を立て直す、という思念だ、意識だ、執念だ。
今回ウクライナ戦争で浮き彫りになったのは、EUの結束だ。
ドイツもイタリアも、フランスもエネルギーをロシアに大幅に依存しながらも、経済制裁で同調しているのは、まさにEUの結束の強さだ。
それが共通通貨ユーロを守ってきたのだ。
日本を結束させることができない無能な政治家
一方、日本はどうだ。
超円安の局面、日本はあいかわらず低金利政策で、需要を喚起すれば円安は収まるという腹だ。
そうじゃないよ、国民の思念が、意識が成長に向かってないだけだ。
参院選、どうする?
僕は以上の経済論に照らして、
国民の結束を呼びかけ、実現させる力を持つ候補者に入れるな。
岸田さんが、「分配なくして成長なし」なんて言っているけれど、ナンセンスだ。

「物価が高くなるのはしょうがないけれど、それに負けないで豊かな日本にするために、経済成長をさせるぞ、具体的にはこうやる。」
そう言って国民を結束させなきゃ。
でも誰もそんな事できるような候補はいなさそうだな。

じゃあ、また明日ね。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー