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人事の明日を占う①今年、人事担当者はもっと非常識になるべきだ。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:年頭だから、「今年は・・なる、今年は・・すべき、でいくよ。今日は「今年人事担当者は何をすべきか」を考えてみるよ。シリーズで行こうかな。

人事管理は必要か

1996年にハーバード・ビジネス・ジャーナルの編集者トーマス・スチュワートさん(Thomas Stewart)さんが、メジャーなビジネス雑誌フォーチュンで、こんな爆弾発言をしたことがあるんですよ。

スチュワートさん https://x.gd/A8e6V

それは、

「人的資源管理なんて、官僚的で非効率で、企業の成功にほとんど役に立たない。ぶっ壊すべきだ!」

The Future of Human Resource Management , Mike Losey, Sue Meisinger, Dave Ulrich著、John Wiley & Sons, Inc. 2005 p.xx

えぇー、それってHRM(人的資源管理)の全面的な否定じゃん!

でも、あらためてこの人的資源管理界隈を震撼させたスチュワートさんの、この言葉を現代になぞらえて考えてみましょう。

官僚的という悪

ようするに、スチュワートさんは、人的資源管理なるものは、「官僚的」だからダメ、って言ってるんですよね。

官僚的ってなんでしょう。

それは1900年代の初期に、マックス・ウェーバーという偉い学者が規定した、大きな組織を効率的に運用するやり方です。

野呂の授業でも、組織論の鉄板ネタとして取り上げることがあります。

野呂大学講義より

官僚制の特徴をあげてみました

野呂大学講義より

要するに、今の人的資源管理は、仕事はをかっちり型に当てはめたルーティンワークで、試験で選ばれた上長が部下を管理する、ということです。

野呂講義より

これを人的資源管理にあてはめて解釈すると、人事部はやたら規則やルールを作りたがるのは、出世のため、となります。

スチュワートさんは、人的資源管理は、単にエリートの人事部員が、出世のために従業員のためじゃなくて、自分たちの保身と出世のために堅苦しいルールを作ってるだけだ、と批判しているわけです。

人事部改革論

なんぴとたりとも、組織のルールを守らせる。

これが官僚制度の良いところであり、悪いところです。

従業員を平等、公平に扱うのはいいのですが、それが組織の創造性を奪い、自由闊達な意見や行動を邪魔しているとしたら、本末転倒ではないでしょうか。

本来、官僚制度は、組織の生産性を高めるために作られました。

役所をイメージするとわかりやすいです、要するに細かい規則をたくさん作り、それを厳格に守らせることによって、効率的な仕事が達成できる、わけです。

しかし、ここに官僚制度の落とし穴があります。

現代における仕事とは、創造的なアイディアであり、ブレイクスルー(画期的な問題解決策)のことです。

堅実な固定化した仕事ルーティンワークを積み上げるならば、ロボットや業者に任せればいいのです。

スチュワートさんの「人的資源管理をぶっこわせ!」は、今から考えると「予言」だったのです。

3・11を予言したと言われる漫画https://x.gd/av1LH

処方箋:脱官僚的な人的資源管理を目指せ

当時も今も、人的資源管理には官僚制度的な要素が多かったわけですが、時代が複雑になり、現代ではさらに規則やルールがやかましくいわれるようになり、企業の成長を防げているのではないでしょうか

例えば、成果主義とは「減点主義」のことです。

でも、プロセスにおいて衆知を集め、理を整え、勇気を持ってことをなしたなら、かえってプラスに評価すべきではないでしょうか。

失敗が続いたとしても、大きな成功をすれば、失敗はチャラにしましょう。

こうした制度こそが、脱官僚的な人的資源管理です。

結論を言うならば、今年、人事部員のあなたはもっと非常識で、柔軟になるべきなのです。

野呂 一郎
清和大学教授


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