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電車プロレスにGo!
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:”電車プロレス”の可能性。異なるものの合体から生まれる、無限の価値についての考察。ヘタレプロレスパンフ編集長の妄想。
新潟ゆきの新幹線車中で思う
大学での会議が終わって、いま、上越新幹線の中にいる。
そうだ、明後日19日、新潟プロレス三条大会のためだ。
以前はリングに上がって、レスラーとトークショーなどをやっていたが、今は解説、いやゲスト席に座わるだけだ。
でも、いちおう新潟プロレスのアドバイザーとして、試合を見届ける役割はある。
そして、新潟プロレスマガジンという、大会パンフレットの編集者としての仕事もある。
次号の構成、新企画を考え、そして何よりも今日のレスラーたちのファイトを、目に焼き付け、後日文字に起こさなくてはならない。
取材活動は、会場に着いた時から、いやもう新幹線に乗った時から始まっている。
上越新幹線に乗ると、目に飛び込んでくるのが、前の席のラックに見え隠れする旅の雑誌だ。
表紙がこちらに向けられている。読め、というのだな。
この新幹線の客だけしか読むことのできない冊子は、巻頭のエッセイで、まず、引き込まれる。
旅をテーマに、有名作家の筆がさえまくる。
旅のエピソード、土地の美食、やはり小説が上手な作家はエッセイも上手だな。
旅とサイクリング、旅と古代史、そして旅と食など、旅をありとあらゆる角度からとらえ、あわせて鉄道の魅力を引き出している。
駅弁の解説シリーズは、絶対食べたくなることうけあいだ。
こっちはプロレス団体のパンフレットの編集者に過ぎないが、吹けば飛ぶような存在といえども、雑誌を作っているのは同じだ。
ライバル意識を掻き立てられる、などと言うとおこがましいが、プロレスのパンフレットだって、雑誌の端くれ、虫けらの魂だってあるわい、という虚勢を張りたくなったのだ。
電車プロレスにGo!
新幹線に揺られて、旅の雑誌を眺めていて思い出した。
三条大会の翌日は、電車プロレスが開催されるのだ。
わが新潟プロレスが新潟と福島の県境を走る、”只見線”で開催し先鞭をつけた画期的なプロレス列車が、今度は大日本プロレスの協力を得て千葉の久留里線で展開される。
新潟プロレスと大日本プロレスの精鋭が多数参加する、電車の中で戦うノールールに近いバトルである。
この電車プロレスに、パンフレットを付けたら面白いだろうな。
そう思った。
新潟プロレスマガジン特別号として出すのだ
企画を考えた。
第一特集・旅とプロレス編では、新潟プロレスのエース・シマ重野とめぐる久留里線の歴史を探る。第二特集・鉄オタレスラー全員集合、オタク自慢。第三特集電車プロレス覇者に聞く、電車内での戦い方 by初代電車王・新潟プロレス・前田誠選手。
これに加えJRのプロレス好き駅長インタビューとか、電車プロレスのお供・アサリ弁当の魅力だとか、いろいろ書けるぞ。
プロレスと鉄道、ありそうでなかった、このコラボは夢が広がるなあ。
これは可能性が広がるマリアージュ(結婚)かもしれない。
鉄道とプロレス、広がる可能性
上越新幹線は、そんなに混んでないせいか、自由席にも車内販売のカートが来るんだ。
売り子のお姉さんの声が聞こえてきた。
「ビールは新潟限定の地ビール、それとサッポロ・エビスががありますよぉー」。
新潟地ビールと聞いて、飲まないわけにはいかない。
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地ビールを頼むとすかさず、「おつまみはいかがなさいますか?」
と、畳みかけてくる。
よもや断ることのできない、間の良さ。じゃがりこも買うしかないではないか。
マーケティングのヒントがうかんだぞ。
今度の電車プロレスでも「車内販売をしよう」。
新潟プロレスマガジンも売る、その前に電車プロレス記念ビールを作って売ろう。
プロレスグッズも、お姉さんにカートを引いてもらって売ろう。
久留里線だから、超地元代表レスラー”クルリ仮面”も登場させて、マスクもカートに乗せて売るぞ。
記念ビールがあるんなら、久留里線電車プロレス記念特別チケット発行も、マストだな。
だから、最初は久留里線周遊の旅で、ビールとおつまみと景色を堪能してもらって、プロレスグッズを売る。
プロレスのファイトは二周目にする、のはどうだろうか。
あらら、知らない間に寝込んでいた、ビールでいい心地になっちゃたんだな。
もう新潟駅に着いてるじゃないか。
「お客さん、終点ですよ」。
何だ、今のはやっぱり夢だったのか。
へたれ編集長はつらいよ。
じゃあ、また明日。
プロレスに来ているんで、明日もプロレスの話をしようかな。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー