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マクドナルドはどうやって20年前の危機をのりこえたのか。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:我が世の春を謳歌するマクドナルドだが、20年前に最大のピンチがあった。きっかけはあの映画だった。発想の転換のマーケティングで、ピンチを乗り越えた物語をお届けする。
マクドナルド最大のピンチ
昭和の若者、令和のおじさん、おばさんたちは覚えているかもしれませんね。
「スーパーサイズ・ミーSupersize Me」です。
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主人公が1ヶ月食事をマクドナルドだけにして、自身の健康状態を報告するという映画です。
あれから20年、主演俳優スパーロックさんは今年の5月23日に、53歳でガンの合併症でなくなったということですが、マクドナルドの食事との関係は報告されていません。
映画はヒットしましたが、にわかにファストフードへの風当たりが強くなったのです。
マクドナルドは当時販売していた「スーパーサイズ」メニューを取りやめました。
広報担当者は「メニュー取りやめと、映画は全く関係ない」と強がりましたが、このときがまさにマクドナルドというブランド最大の危機だったのです。
しかし、20年たった現在、マクドナルドは全世界で4万2千店を数え、毎日全アメリカ人の36%にあたる1億1500万人が訪れ、株価は当時の約千倍に膨れ上がりました。
マクドナルドの危機克服作戦1
それは、世間の逆風に先手を打ったことです。
アメリカは世界一の肥満大国で、映画スーパーサイズ・ミーは、間接的にファストフードが子供の肥満の原因であることを示唆していました。
マクドナルド、そしてハンバーガー業界No.2のバーガーキング他各社は、業界への逆風を察し、この問題に取り組むことを決意、”子どもの食物と飲料広告構想 Children's Food & Beverage Advertising Initiative” という名の業界横断組織を結成し、自主的に13歳以下の子供向けマーケティングに自主規制をかけたのです。
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現在ではマクドナルドは、キッズミールと呼ばれる子供向きのメニューと、ヘルシーメニューの広告の割合を全支出のちょうど2%に調整しています。
マクドナルドの危機克服作戦2
マーケティングの発想の転換も功を奏しました。
スーパーサイズ・ミーで不健康の代表というイメージが広がる中、マクドナルドはコンサルティング各社と、真剣な協議を重ねていました。
そのひとつウィーデン&ケネディ(Wieden & Kennedy)ニューヨークのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのブランドン・ヘンダーソンさん(Brandon Henderson)は、当時を回想してこう述懐します。
「マクドナルドは、アンチの声ばかり聞いていたんです。でも我々は逆のことを提案したんです。スキの声を聞くべきだってね」。
マクドナルドは、僕らの提案を受け入れて、ヘイターズ(hatersマクドナルドのアンチ)の声に耳を傾けるのをやめて、ファン(fan)の声だけ聞くようになったんです。
爾来、マクドナルドは、ファンとのエモーショナルな関係強化をテーマに、マーケティング戦略を大転換したのです。
発想の転換がマクドナルドを救ったのです。
野呂 一郎
清和大学教授