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スターバックス初の労働組合誕生が、世界の労働運動を加速させる

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:スターバックス初の労働組合誕生の顛末。世界の労働争議のなう。労働組合をめぐる現実。現代において労働組合をどう捉えるべきか。以上に関する考察。

スターバックス労組誕生の衝撃


労働組合関係の動きは、ここ数年The Wall Street Journalでも他の媒体でも見たことはありませんでしたが、今回注目すべきニュースが飛び込んできました。(The Wall Street Journal今日付記事 2021年12月11日号Starbucks Union Vote in Buffalo Energizes Labor Leaders. Union officials say push will help fuel broader organizing movement; others say it is too small to make a difference  (バッファローのスターバックス組合投票が労働運動リーダーを活気づける。労組の役員は「より広範な労働運動に火をつける」しかし「この程度じゃ労働運動は変わらない」と冷ややかな見方も)

それは、スターバックスに同社始まって以来の組合が誕生するというニュースです。

これはニューヨーク西部バッファローの近隣3店で、組合組織化の是非を巡っての投票があり、票は割れたものの組合結成の票が上回ったというのです。

スターバックス初の労働組合誕生店舗。https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.bbc.com%2Fnews%2Fbusiness-59588905&psig=AOvVaw2Ref-fXxJCwHAjxNzkZT2u&ust=1639307241729000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwibmOu_zdv0AhWTI6YKHV1EDAkQr4kDegUIARCrAQ

このスターバックスの組合誕生が、全米企業の労働運動を加速するのではないかと言われているのです。

スタバ組合は世界の組合運動を加速させるのか

アメリカ労働総同盟・産業別組合会議・コミニュケーション・ワーカー・オブアメリカのフライトアテンダント部門の(American Federation of Labor and Congress of Industrial Organizations the Association of Flight Attendants-CWA Communication Workers of America, AFL-CIO)の国際プレジデントのサラ・ネルソン(Sara Nelsons写真)氏はスターバックスのこの動きについてこう話します。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.forbes.com%2Fsites%2Ftedreed%2F2018%2F02%2F26%2Fsara-nelson-to-american-airlines-flight-attendants-invite-me-to-charlotte-we-want-to-talk%2F&psig=AOvVaw1IhrbcE-Tupw1O0njuLyGc&ust=1639307474313000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjRgN-uztv0AhVbAYgKHYFzAhQQr4kDegUIARC9AQ


「この投票は信じられないくらい象徴的な勝利よ、他の労働者はこの動きからインスピレーションをもらうでしょう」。

ネルソンさんはこう続けます。「この動きをアメリカ中の労働運動に関わっているみんながシェアし、こう言うわ『彼らのやったことを見て、私達もできるわって』。

 冷ややかな見方

しかし、これに懐疑的な味方もあります。たかがスターバックスの1店に労組ができただけじゃないか、労組結成の動きはレストランなんかのサービス産業でこれまでも随分あって苦戦してきた、というものです。

バー&フォアマンLLPという組織の伝統的な労組グループ(chair of the traditional labor relations practice group at Burr & Forman LLP)の会長職にあるマルセル・デブルージ(Marcel Debruge)氏は「ニューヨークのバッファロー近辺で何人かが労組を組織したって言ったって、そんなのが労働運動を推し進めるなんてことにはならないよ」と冷ややかです。

スターバックスといえば、労働者にやさしい企業としてつとに有名で、今回のことは同社の幹部も動揺を隠せません。

「労働組合は企業と労働者の良い関係をきづつける。我々は従業員と直接対話を望んでいる。賃上げも、労働条件の改善も考えている」と話します。

しかし労組はオーバータイムペイ(残業代)、賃上げ、ベネフィット(各種手当)改善、より安全な職場環境、人員増強その他の条件の改善で交渉すると強気です。

労働組合は今の時代どうなのか

ケロッグは2か月にわたってストライキを行いました。

ケロッグのキャラクターと一緒にストライキ。https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.npr.org%2F2021%2F10%2F05%2F1043511226%2Fkelloggs-cereal-plants-workers-plan-to-strike&psig=AOvVaw3LS-gnQHTzWv-PmhsS2PT2&ust=1639307704315000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjznbWcz9v0AhWV7GEKHVMUCLgQr4kDegUIARC2AQ

最近、コーンフレークが食べられなくなったアメリカ人という報道がありましたが、サプライチェーンでなくてストライキだったわけです。

農業機械メーカーのディア・アンド・カンパニー(Deere)は1ヶ月のストライキの結果、ボーナス、給与の増額、年金の改善を勝ち取りました。

食品世界3位のモンデリーズ・インターナショナル(Mondelēz International, Inc.)も、自動車の雄・ボルボも今年ストライキを行っています。

コロナがワクチンでおとなしくなった途端、世界で労働運動、ストライキが目立ってきました。

その理由は、コロナ禍で労働者はあらためて自分たちの立場の弱さを痛感したからです。

 いま労働者には追い風が吹いています。人手不足です。時給、給与を上げる動きが急であり、サービス産業ではロボットではなくリアルな人手が必要なことを企業は痛感しており、企業の弱点も露呈されました。

しかし労組反対派はこう反論します。

ストライキをやられビジネスがストップしたら、供給も止まり、結局物価は上がり、消費者にダメージを与え、結局は自分の首を絞めるというのです。

特に世界的な供給不足の今、ストライキが頻発したら世界経済は虫の息になるでしょう。

労組でもなんでも経済活動は数がものを言います。経済的な損得に関しては日本人より敏感で、いい意味でドライなアメリカ人が、コロナで順風も逆風も吹く中、どう出るんでしょうか。

アマゾンvsスタバ

コロナ禍で疲弊した経済を、ストライキで悪化させてはなりません。

企業のトップはその責任があり、それは企業が今守るべき倫理といえるでしょう。 

二つの方法があります。一つはアマゾン型です。パワーで、力づくで労働者を黙らせる手法です。

アマゾンは徹底的に人をコストと考えて行動する企業です。

働きが悪い労働者はロボットが生産性をチェックして、能率が悪ければお払い箱です。

ある種の恐怖支配で、そんな文化のところには労組など成立しようがないでしょう。

ほら、今見てる別のWSJの記事でアマゾンの労働者の7割が労組反対を表明したそうです。そもそも労組っていうのは、ある程度健全な労使関係があるからできるんですよ。

もう一つはスターバックス型です。従業員と積極的に会話して、お互いの利益を確認するやりかたです。そこには基本的には従業員を大事にする、という文化があります。

スターバックスに労組ができたのは、労働者の不満がスターバックスでもあるのかという意味でショックですが、スタバはあくまで労働者第一の姿勢を崩してはいません。

そもそもスターバックスに労組ができたのは、長く働けるような文化があったからでしょう。

スターバックスの会長の言葉が泣かせます。「労組の労働者も、非労組の労働者も等しく我々の財産だ」。

労組がなくても常に労働者との協議に応じるスターバックスは、人間的経営を堅持していると言えましょう。ストライキを未然に防ぐでしょう。

労働組合とは、そもそも労働者を守るためにそれはあり、労働者の基本的権利です。

労組なんてなくても、労働者が満足できる働く環境を企業は整える義務があるわけで、特に人間性重視が企業の生存の前提であるこの時代、労働問題のある企業の株価は下がり続けるだけでしょう。

SDGsが流行りだけれど、企業はまずは従業員が気持ちよく働ける環境を整えるべきだと思います。

野呂は30年前から、このことを拙著で説いているので、一応お知らせしておきますね。

今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。
ではまたあしたお目にかかりましょう。

                              野呂一郎
               清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー

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