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プロレス&マーケティング第85戦 猪木vsゴッチにみる「プロレスとは権威じゃなく実力だ」。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:プロレスは”権威”だと言った。じゃあ、”実力”はどこへ行った。どこへも行かぬ。プロレスは”実力”なのだ。どっちなんだ、「権威」なのか「実力」なのか?いや、本当はどっちでもないのだ。ほら、プロレスがその二者択一で迷うあなたを笑っているよ。プロレスはちょっとしたトリックなんだよ。

プロレスマーケティングの華は「ことば」

プロレスファンしかわからないと思いますが、プロレスでファンをエキサイトさせるのは、東スポが認定するベストバウトとか、伝説の名シーン例えば長州力の「噛ませ犬」「またぐなよ」「北尾暴言」とかだけじゃないですよね。

僕を最も興奮させるプロレス的現象って、言葉なんです。

プロレス言語と言えば、プロレスファンの皆様は、かの古舘伊知郎がライブ実況で放った数々の名セリフを思い出しますよね。

アンドレ・ザ・ジャイアントを称して「ひとり民族大移動」、高田延彦は「青春のエスペランサ」、藤波辰爾が長州力にサソリ固めを決めると「掟破りの逆サソリ」などの絶叫が蘇ります。

しかし、僕を一番エキサイトさせた言葉は、これなんです。

「実力世界一決定戦」

伝説の猪木対ゴッチ

これは1974年の8月8日、日大講堂で行われた、アントニオ猪木対カール・ゴッチの一戦です。

https://x.gd/zGWdd

この戦いを形容した「実力世界一決定戦」という言葉こそ、僕をエキサイトさせるものはないのです。

それはなぜかというと、「権威」の反対語が「実力」だからです。

というと、お前はこのあいだからずっと「プロレスは権威だ!」と叫んできたではないか、今度はそれを撤回して「プロレスは実力だ!」とでもいうのか?と皆さんから怒鳴られますよね。

いいえ、プロレスとは権威です、権威のないプロレスなんて「クリープを入れないコーヒー」と同じです。(昭和の皆さん、笑って!)

https://x.gd/F9kxX

でも、世の中には隠された真実、っていうものがあるのです。

その伝でいくと、「プロレスは実力だ」になるのです。

もう皆さんは、なぜ僕がいまなおこの「実力世界一決定戦」に胸を打たれるか、おわかりでしょう。

プロレスの本当の真実つまり「プロレスとは実力だ」を、これ以上なくさらけだしている言葉が、この「実力世界一決定戦」だからです。

正反対の存在があってこそジャンルが栄える

「実力世界一決定戦」というワードがしびれるのは、プロレスに権威というものが存在していたからです。

NWAを始めとする、世界王座。AWA、WWA、WWF。そしてそれを認める団体にも、権威が付与されて、世界マットを牛耳っていました。

権威というワードはトリッキーです。

それは権威の影に隠れた「実力」という言葉を、実は恐れており、排除しようとしているからです

しかし、今も昔もそのプロレスが金科玉条と奉る「権威」をゆるがす「実力」をもったレスラーは、世界で二人しかいませんでした。

”神様”カール・ゴッチと、”燃える闘魂”アントニオ猪木です。

https://x.gd/gBeCh

この事実に気がついたファンは、プロレスの本質とは「権威じゃなくて実力」なんだなとわかったのです。

そう、プロレスとは「実力」のことだったのです。

プロレスの醍醐味は「実力」、言い換えれば「強さ」ということなのです。

だから、「プロレスは権威である」という言葉には、明らかな”行間”があるのです。

それは「本当は実力だけどね」という解釈です。

「言葉がプロレスをする」という事実

しかしここなんです、みなさん、この「プロレスは権威である」という言葉がトリッキーなのは。

プロレスが権威であると言えばいうほど、「実はプロレスはその反対に実力こそがすべてなんだけれどね」という影のニュアンスが大きくなるからです。

猪木vsゴッチの「実力世界一決定戦」というネーミングを見た、当時のファンは「これなんだ!」と心から快哉を叫んだのです。

そして初めてもやもやしていた「プロレスとは何か」に初めて気がついたのです。

でもそれは、「プロレスは権威」だったからなんであり、実際にプロレスが権威だったからこそ、隠されたもう一つの概念が浮上したのです。

「実力世界一」という言葉こそ、プロレスそのものだったのです。

とまあ、みなさんはただただ、「わかった、お前はほんとに狂った『猪木信者』ってことは認めるよ」とあきれるでしょうね。

あえて、それをさえぎって、まとめちゃいましょう(笑)。

きょうのプロレス・マーケティングのまとめは、「対立概念が存在し、それが戦う時、業界は活性化する」ということです。

だから、社会を考えると、今の時代は「ヘイト」とくくれるでしょう。

ヘイトが跋扈すればするほど、「多様性」が自然に出てきます。

多様性を応援する陣営は、だから、「ヘイト」を放置しておくのが最もベストな戦略なのです。

みなさんも、ぜひ、いろんな局面でこの「実力世界一決定戦理論」を応用してみてください。

野呂 一郎
清和大学教授


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