広瀬すずCMにみるAGCのCSR(企業の社会貢献活動)
SDGsは科学的なのか
戦いをテーマにした、孫子の兵法もそろそろ終わりだ。現代の戦いとは何か、というテーマになっているわけだが、現代には昔の戦いになかったカスタマーという強敵がいる、ということがわかった。
しかし、さらに、ここ10年と言っていいかも知れない、現代の戦士=企業にとって急速に存在感が大きくなってきた敵がいる。その名は”世間“だ。
いくら、競争相手に売上で勝っても、世間に勝てないと今や企業は存続を危ぶまれる時代だ。
だから、企業はいい悪いなどは考えずに、世間の意向に従う。例えば今流行りのSDGs(えすでぃーじーずSDGs:Sustainable Development Goals持続可能な開発目標)、SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標だ。
とにかく今は、企業は「環境」って言っていれば、それに賛同していれば世間の受けがいい。だから猫も杓子もSDGsだ。
しかし、SDGsが合意された科学的エビデンスに基づいているかには異論があり、僕も別の記事でそのことに触れた。
BtoBってなんだ?
しかし、とにかく世の中が環境って言っているんだから、その反対に行くわけにはいかないのだ。企業の最大の敵は、世の中、つまり、評判なのだ。イメージと言ってもいい。
世間にいいイメージをもってもらえなければ、何をやってもうまくいかない時代、それが現代である。
高校生のみんなは、BtoB(びぃーとぅびぃ) とか、BtoC(びぃーとぅしー)とかいう言葉を聞いたことがあるかい。
Bはビジネス=企業を表す。Cはカスタマー、お客さん、消費者だ。BtoBは企業同士の関係、BtoCは企業と消費者の関係を表す言葉だ。
テレビのコマーシャルは、この2つのどちらだろう?そう、BtoCだ。企業がその製品を買ってくれるお客さんにアピールするものだよね。
だから、テレビCMは基本BtoBはありえない。テレビの視聴者は特定の企業ではないからだ。
企業が取引先の企業に使ってもらっている製品をPRするには、テレビCMではなくて、直接アピールするほうがずっと効果的で、費用対効果もいい。つまりBtoBのテレビCMは存在しない。
しかし、これからご覧いただく、あの広瀬すずが出ているAGCのCMは、完全にBtoBだ。
AGCはこの前まで会社の名前は旭硝子(あさひがらす)、ガラスメーカーで、そのお客さんはテレビを見ている一般消費者ではない。ガラスを使う企業である。だから、AGCはテレビCMを流す必要などないのだ。
世評という最大の価値をわかっているAGC
なぜ、ではAGCは効果のなさそうなCMをうつのか。
それは、世間ということだ。企業イメージをよくするためだ。
そもそも、旭硝子でいいじゃない、ずっと100年以上使ってきて産業界に浸透している名前でしょう。
あさひがらすでいいじゃない。なぜAGCに変えたの。
それは世間がより受け入れてくれるからだよ。CMのコンセプト、内容、構成も、世の中に受け入れられやすいということをテーマによく考えられているよね。
広瀬すずの明るく、コミカルな、好感度高い部分を、上手に企業イメージに反映することに成功しているように見える。
すずが既婚者じゃないところもポイントだ。離婚したり、不仲になったりのリスクがないから。
CSR(企業の社会貢献活動)の時代
企業イメージというテーマが、なぜ企業にとって最大の経営課題になっているかというと、1980年代から、世界が急速に企業に倫理を要求している現実がある。この倫理という価値観を企業もこころえ始めた。これをCSR(企業の社会貢献活動)という。
AGCが異例のCMを流しているのは、企業イメージ向上のためというよりも、CSR(企業の社会貢献活動)をきちんとやる企業ですという、アピールをしているともいえる。
CSR(企業の社会貢献活動)については、また後日詳しくやろう。キミが世界のリーダーになるための必須教養だからね。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
また明日会おう。
野呂 一郎