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みんなどこへ行った?ー金融リテール営業職からの転職事例

はい、というわけで、こちらは前記事に続き、悩める金融リテール営業職というテーマの記事です。


この記事では、転職したくて悩んでいる20〜30代の金融リテール営業職の方や、リテール営業に配属された後のキャリアプランを考えたい就活生金融リテール営業職を温かく見守るOBOGの紳士・淑女の皆様などを想定しています。


転職事例集を意識して書きましたので、最後の業界OBOGの皆様におかれましては、「いや、こんな転職もあったよ」みたいなことがあれば、ぜひ私のTwitterなどにコメント頂けると泣いて喜びます。

↓前記事



さて、前記事では「悩む」→「そうだ、転職だ!」となってしまいがちなところ、ストップをかけたいというところからスタートしました。

それでも転職を考える場合は、前記事で書いた営業職の3つの軸(①プロダクト、②顧客、③取引形態)に加え、そもそもA) 業界 × B) 職種という、転職一般の軸をずらしていくことを考える「軸ずらし」が重要です。
この記事では、具体的にどうやって軸ずらしするのかなどの前に、NorMが見た限りの証券・金融業界のツワモノ達がどんな転職をしていったのか、事例的に書いていき、イメージが膨らむようにしたいと思います。

当然、本人が特定されないよう、ボカシ多めですし、具体的な社名などは質問いただいても絶対にお伝えできませんので悪しからず。


と、言ってみたものの、事例をただ書き連ねてみたらものすごく読みにくかったので、全体をざっくり①同軸もしくはほぼ同じ、②軸ずらし、③大冒険という分類で書いていきたいと思います。

分類分けの仕方やその雑感は私個人の意見なので、異論反論大歓迎です。


※なお、noteを書き始めて、初めてViewとスキの数が分析できることを知りました。
書いた記事の内容に需要があるかどうか調べながら書いていきますので、内容がいいなと思ったらぜひ、記事タイトル下のスキボタンやフォローをお願いします


1. 同軸

①外資系生保営業

えー、いきなりですが、プ●デンシャルです。

「さっき個別名は出さないって言ったじゃん!」という声が聞こえてきそうですが、もはやプ●デンシャル生命はネット界隈で市民権を獲すぎて一般名詞化したと判断しましたので書いてます。


いや、それくらい多いんですよ、実際。

この転職は、取り扱いプロダクトが保険特化になる以外ほぼ同軸であり、まさにやることは新規開拓・拡大の繰り返しです。

転職した多くの同胞は、だいたい

  • リテール営業、新規開拓は好き

  • 投資性商品を売るのは疲れた、もしくは合わない

  • 日系金融機関のインセンティブ設計じゃ頑張れない(もっと欲しい)

このうちのどれか、もしくは複数です。

逆に、「転職したいけど、他に行ける業界もなさそうだから・・・」みたいな奴は、悪いこと言わんからやめとけ。

そんな弱者営業マン、屈強なプ●ゴリ族(褒め言葉です)の間では人権が生まれずにマジですぐ消えます


外資系生保と書きましたが、同種族にいる生保業界他社に行く例も聞きますね。

いずれにしても修羅の道を歩いて札束を手にする選択肢です。


②プライベートバンク・IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)

昔からの王道=プライベートバンクへの転職は見る限り減る傾向にあり、最近はIFAを選択をする勢が多くなってきました。


「IFAって何?どんな仕事?おいしいの?」

みたいな話をし始めると、それだけで記事が書けそうな量になるので、ここでは割愛します。

ざっくり、「個別の証券会社には所属せず、独立系として自分が販売したor残高を管理している分のインセンティブ(手数料の40〜60%くらいと聞いたことあり)が入る形の営業職」と理解しておけば良い気がします(最近、報酬体系が異なるIFA法人も出てきているみたいですが、割愛します)。


正直、証券会社時代とほぼ完コピで同じことをするわけですから、他の転職者達と違って、この人種は根本的にリテールセールスが向いているタイプなんでしょう。


訊いていくと彼らの転職動機は至極単純で、「営業は好きだが、証券会社でやるのには愛想が尽きた」ということにほぼ集約されます。


これは、報酬体系的な(証券会社はいくら稼ごうが、フルコミッションじゃないでしょ?)ことだったり、もっと組織体制的な不満だったりですが、いずれにしても「私、一匹狼の方が性に合っているんですよ。」というタイプですね。

③金融リテール職(他社)

「これ、意味あるの?」
という声が多いのが、他金融機関のリテール職への転職。

私も元々は少々懐疑的でしたが、今は回り回ってアリかなと思っています。

銀行・証券・信託銀行で扱っているプロダクトは差がなくなりつつあるとはいえ、連綿と受け継がれてきたカルチャーはそう簡単には変わりません。

同じリテール店舗でも、業界違えば雰囲気は変わる。

ちなみに、証券会社から見た銀行・信託銀行はすっごくマイルドなので、「マイルド寄りに環境チェンジしたい」という方、いらっしゃいます。

だって、今月の数字が未達だからって、「今月の目標未達を生んでしまった、生まれてから今までの私の反省」とかいう狂ったテーマでA4で50枚のレポート書かされたり、上司の机横に直立不動のまま4−5時間詰められるとかないし・・・


結論:同軸だとほとんどキャリアは変わらない

さて、1はあまり参考にならなかったですかね。だいたい「今の仕事(リテール営業職)は好き」「会社or環境or報酬に不満」というのがメインの転職なので、まあ、猛者の転職って感じはしますよね。


キャリアの観点で重要なのは、「同軸での転職はキャリアの幅を狭く、深くすることなので、再転職の際にピボット(転換)するハードルは上がる」ということです。


「証券リテールの仕事とお客様が大好きでIFAになったんです。生涯愛するお客様と寄り添います!」

の2年後に

「たくさんのご迷惑をおかけしますが、キャリアのニューステージを求め、この度IFAとしての活動を終了することとしました。」

となったら、


「あれ?これ逃げたんじゃね?トんだ?」
と見えてもおかしくはないですよね。そう。そういうことです。

「やるなら慎重に。」同軸転職のご利用は計画的に。

 

2. 軸ずらし

さて、ここからは、私が個人的に薦める軸ずらし転職の事例です。

「具体的にどの軸をどうずらすのが良いのか」については、冒頭申し上げた通り、別記事にて書きたいと思っております。

①アセットマネジメント会社×営業職

アセットマネジメント会社(通称アセマネ)への転職は、数自体は少ないものの、随分前から割とあるあるルートとして業界で認知されています。

この転職をタイプ分けするなら、①プロダクトは投信に特化、②エンドユーザーはリテール顧客のまま、③取引形態がBtoCからBtoBtoC(通称、代理店モデル)に変わるということでしょう。

自分が投信を販売していた立場なので、売る側の気持ちはよくわかるはず。

それを生かして、今度は「リテール金融マンに売ってもらう営業」をするということですね。

なお、注意が必要なのは、顧客先金融機関の本社投信企画部への提案を行う業務(割と役職が上がると可能性が出てくる)はまた違ったスキルが必要になってくるので、安易に「転職して、リテールの現場と一緒に新しい投信を作っていくんだ」みたいなのは避けた方がいいですね。そんな簡単にできないから。


また、これもいずれ記事にしようと思っていますが、アセマネ会社には、営業と言っても、Aリテールチャネル、B機関投資家チャネルの2種類があることが多く、多くの場合、Bの方がよりスペシャリスト志向が強いので、未経験からのハードルの高さはレベチです。

またこの転職、引き抜かれる側の銀行・証券はたまったもんじゃりませんから、ちょっと会社間でピリピリしたものが流れるらしいです(実際、私が内定もらったアセマネ会社の方からも「ぶ、無事に・・・円満退職・・・でき・・・ますよね?と遠慮がちに訊かれたので、BtoBtoCモデルはなかなか複雑ですね。

②ネット証券、金融ベンチャー×プロダクト企画職

リテール金融の世界では、証券でも銀行でも信託銀行でも、プロダクトの企画部署はだいたい花形です。つまり、ハードルが高い。

「うーん、自分のキャリア適正は営業って感じでもなさそうだな。。。営業職からどうやったら抜けられるかな・・・」

と感じているそこのあなた!



奇遇ですね、私も同じことを考えて転職しました。

結果、私自身は内定を蹴ったのですが、アリだなと感じた選択肢の一つがこれ。
(私の場合は、ネット系証券会社の投信企画部でした。)

言い換えると、「組織的にまだ固まりきっていない業界他社、もしくは関連業界の企画部に潜り込む戦法」です。

これをやると、次の転職では、比較的幅広くキャリア機会が広がるでしょう。


注意点は一点。

営業ばかりやってきた貴方が本当に企画職に向いているのか/やれるのか、は何度もシミュレーションした方がいいと思います。

企画職は営業のように、「自分の数字を上げれば良い」みたいなロジックでは評価されませんからね。

どうやったら自分は活躍を認めてもらえるのか、最低でも評価のツボを分かった上で転職したいですね。


③金融機関×プロダクト職

個人的には軸をずらしてキャリアを広げていく観点で、アセマネへの転職に次いでおすすめなのはこちらです。
私が選んだのもこの道で、結果的に金融機関系のプロダクト営業→プロダクト企画などを転任して、最終的に外資系ファンドに転職しています。

いったん金融リテール職で社内上のキャリアに色がついてしまうと、別部門、しかもプロダクト系の部署に異動するのはなかなかハードルが高かったりします。

もちろん、社内公募などの機会はフルに使うべきだと思いますが、それでもダメなら、他社の同じポジションに転職するのは妙手です。

「社内公募に応募したが、実質的には満枠に近く、異動できる状態になかった」
「十分な興味を持って社内でもリサーチをしてきたし、この業務をやり遂げる自信はある」

このロジックであれば、転職面接でも自信を持って話しやすいかと思います。

自社で人が足りていて異動できないなら、人手が足りていない他社に行けばいいのです。

ほんの一例ですが、証券リテール職→他証券エクイティマーケティング職(マーケッツ部門)や、証券リテール職→銀行プロジェクトファイナンス部、などがこのパターンです。

④他業界BtoC営業

扱う商品を金融商品からずらすパターンですね。


比較的多く見かけるのは「転職エージェント・ヘッドハンター」です。


自らが転職に迷ったからなのか、「個人営業 高収入」で検索したら出てきたのか、それなりにいます。


また、「M&Aコンサルタント(M&A仲介会社)」の多さも見逃せません。

一時期よりだいぶ下火になりましたが、日本M&●センターをはじめとした大手M&A仲介会社には金融リテール上がりの人材が多数います。

④は、確かに軸がずれているので、金融リテール職からの脱却に成功したといえると思いますが、ここでうまく立ち回らないと、次のキャリア展開が手詰まりでその仕事を続けざるを得なくなります。

もちろん適性が合っていれば続ければいいのですが、キャリアを複層的に発展させていきたいと考えていくとちょっと物足りない感はある、と見えますね。


結論:軸ずらしだと、キャリアが広がる場合も(逆に狭まる場合もあるので注意)

以上、他にももちろん例はありますが、ざっくりと累計分けしてキャリア軸をずらしたパターンでは、共通するのはほとんど「年収が大幅にダウンした」というような話を聞かないことです。

キャリアチェンジが大成功かどうかは分かりません。
そもそも成功かどうかはその人が60歳になってみて初めてわかることだと思っているからです。

ただ、この人たちは、少なくとも(大幅に社風に合わない、とかがない限り)幸せそうに働いている例が多いことは観測の限り事実です。


さて、視点を変えて、これらの職に行き着いた方々は多くが「転職はしたいが、年収を下げたくない」と思って職探しをした方々です。

結果として、自分が持っている知見やスキルを活かさざるを得ず、軸を一部ずらした選択をとったことになりますが、それが奏功している。

私がアドバイスを求められた際には、必ず軸ずらし転職を推奨している理由です。


転職の際は、目の前の求人に飛びつくのではなく、「今持っている武器のうち、どれをどこまで使えるのだろう?」と考えることから始めるべきだと思っています(冒頭記載の通り、具体的には、別記事で書きます)。

また、同時に、移った後の次の一手も考えておくべきでしょう。

軸ずらし転職の中でも、最後の④などは、プロダクトの選び方によってはその先発展的なキャリアを積むことが難しい場合もあります。

「今持っているもので、何(=どんな待遇)が得られるか。次に移ってどんな経験・知見を得たら、その先に何が見える(=次のキャリア)のか」

これこそ、自分自身に問うべき質問なのかもしれません。

3. 大冒険

3つ目の分類は、2つ以上の軸をずらして今とはかけ離れた環境を選択する「大冒険」なキャリアです。

私の古巣では、このパターンも割といました。

ざっくりいうと、成功半分、屍半分ですね。

成功しているタイプは、いろいろ策を巡らせていて、ある程度確信を得ているケースがほとんどです。

「これなら絶対にイケる!!!」

と確信が持てない限り、やめといた方が無難な選択ではあります。


①ベンチャー×経営企画

「リテール職時代の営業経験」
「プロダクトを勉強しながら走り続けた経験」
「明日の提案対象先がない中で捻り出しながら動き続ける経験」

これら全てがデフォで必要とされる業界があります。

そう、ベンチャー業界です。

業界・企業が未成熟ゆえ、徒手空拳で営業しながら考え続けることが求められるため、行動力比重高めなリテール人材は格好の的です。

経営企画職、と言っても、事業を創りながら営業もしなくてはならない立場。

事業立ち上げをやってきただけの事業会社景気出身者よりも一日の長があったりします。

このタイプは、このような構造を理解した上で有望なベンチャー企業に入り、ファーストペンギンを狙う戦略ですね。

また、このタイプの中には、将来自身で事業を起こしたい(③起業の予備軍)タイプもいて、だいたい野心家かつ自信家です。

そして、無関係のベンチャーではなく、ちゃんとフィンテック業界なんかに行ったりします。


②経営コンサル

6〜7年くらい前からですかね。

経営コンサルの市況が盛況になり、各ファーム採用を増やす中で、ちらほらと若手の移籍を目にするようになりました。

行き先は、MBBもいれば総合系・会計系・IT系もいます(当然、MBBはだいぶ狭き門ですが)。


地頭に自信があるタイプなら、体力は勤務経験で証明済のはずなので、若手にとっては比較的取りやすい選択なのかもしれませんね。

ただ、キャリアのつながりはないに等しいため、「生まれ変わって頑張る!!」くらいの強い気落ちが必要です。

この選択を採るタイプは、キャリアの大幅チェンジを目論んでいる場合がほとんどなので、「精神と時の部屋に入って修行する悟空」くらいのマインドを持っていないと、フリーザ様に滅殺されます

こちらについては成功・失敗を議論できるほど豊富に事例がないため、評価保留です。


③起業

私は証券会社の出身ですが、結構いますね。

これは証券会社出身だからなのかもしれません。

証券リテール営業には良い意味で「勘違いできる野郎」が多いので、

「俺がこの業界を変えてやる!」
「俺ならなんでも売れる!」

この精神で本当になんとかしちゃうタイプが割といます

(そもそも営業職の皆さんならお気づきかもしれませんが、社長自身が「なんでも自分で売れる」なら、プロダクトさえあれば後は社長自身が売りまくればいいだけの話なんですよね。)

私が目にしている限り、フィンテックから飲食系まで、様々な分野で活躍しています

リテール営業職時代の経験がどこまで糧になっているか分かりませんが、世の中の起業の成功率に比べると、割と生存率は高めな気がします。

結論:みんなそれなりに勝算あり。未経験業界×未経験職種で埋もれたやつは星の数。

これ、書いてて気づきましたが、この大冒険パターン、キャリア上全然違う軸にワープしているので、そもそも会わなくなったりするケースが多いんですよね。

そして、上記挙げたケースは印象に残っているケースだけ。

つまり、埋もれたやつは、そもそも思い出すことすら難しいってことに今気づきました・・・


勝算があるなら試す価値あり。ただし、埋もれたときは星になれ。

大冒険タイプのキャリアは博打好きなあなたにはきっと合います。


終わりに

最初の投稿で「一記事あたり5000文字にします」とか宣いながら、つらつら書いていたら、7000字近くなってしまいました。。。

この記事は単なる「こんなタイプがいたよ」という事例集です。
個別企業の名前が出せないので、ちょっとモヤっとする方もいるかもしれませんが、プライバシーの問題もあるので、掘り下げは限界ありです。


また、「じゃあ、具体的にどうすべき?」とか「転職後の再転職時に何を想定すべき?」みたいな話はまた別記事にしようと思います。


少し長くなりましたが、この記事はこれで終わりです。

拙い文章ですが、頑張って書いたのでフォロー・スキボタンタップ、いいなと思ったら拡散よろしくお願いいたします!


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