桜前線開架宣言 山田航
山田航は札幌出身の歌人である。
だからというわけではないが、彼が新聞などで文章を書いているとほとんど必ず目を通すようにしている。
本書は1970年以降に生まれた歌人の歌を集めた歌集である。
穂村弘にも云えることだが、すぐれた歌人は選ぶ歌もとてもいい。
この上なく個人的でオリジナリティにあふれている。
いちど目にしたらわすれられない歌が並ぶ。
おおげさな物言いに聞こえるかもしれないが、同じ時代に生きていて良かったなあと心から思う。
これらの歌はほぼ口語体で書かれており、したがっていわば敷居が一見して高くないように見える。
だからといって誰でも書けるかというと、そうはいかない。
たとえば僕はまったく歌を書けない。
すばらしいジャズのピアノを良いと思っても、それを弾くことが出来ないように。
だからこれらの歌を書ける歌人たちに僕は尊敬の気持ちが多大にある。
憧れと羨望がある。
そしてそれらの歌をただしく発掘し見つめ続ける山田航や穂村弘を心の底から尊敬する。
札幌には才能あふれた歌人がまだまだたくさんいる。
もっともっと、これからきっと世に出てくるようになるだろう。
楽しみでしょうがない。
B60-2022-12
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